表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

178/1513

第175話 登校したら壁新聞が更新されていた

 今朝も相変わらずメイドさんの起きる音で目をさました。


「今日はまた一段と眠そうだね、マルゴット」

「まあねえ、夜中にトイレに行ったら外で猫が集会しててさあ」

「ぷっ、そんなもんを見ているんじゃあないよ。メイドは健康第一、睡眠はしっかりとらないとね」

「そうだねえ、カリーナの言うとおりさ」


 そう言って、マルゴットさんはふわあとあくびをした。

 猫見て寝不足とは、マルゴットさんらしいや。


「おはよう、マルゴットさん、カリーナさん」

「おはようっ、マコト、今日も良い天気だよっ」

「おはよう~、マコト~」


 カリーナさんは今朝も元気だなあ。


 メイド二人を送り出すと、コリンナちゃんが起きてきた。


「おはよう」

「おはよう、コリンナちゃん」


 さて、用を足したり、顔を洗ったり、歯を磨いたりしていると、ダルシーがケトルを持って入ってきた。


 コリンナちゃんと差し向かいでお茶を飲む。

 うん、まあ普通の味で目が覚めるね。


「さて、行こうか、コリンナちゃん」

「今日から授業か、やれやれ」

「授業無くても勉強しているくせに」

「数学とか進みがのろくて眠いんじゃあ」

「それはコリンナちゃんだけの悩みだなあ」


 鞄を出して、教科書を入れる。

 今日の時間割は、国語、数学、魔術理論、武術か。

 あと、午後は念願の錬金授業があるね。

 楽しみ楽しみ。


 廊下に出て205号室を施錠する。


 ぱたぱたとコリンナちゃんと小走りで階段を駆け下りる。


 エレベーターホールでは今日も聖女派閥の皆が待っていた。


「おっはよー」

「おはようございます、マコトさま」

「マコト、おはよう」

「おはようみょん」

「おはようございますわ、マコトさま、コリンナさま」

「おはよう、マコト、コリンナ」


 今日のカロルは早いな、私らの先にきているとは。


 チン。

 エレベーターが鳴って、ジュリエット嬢がグランドメイドのクレアさんと降りてきた。


「お待たせしちゃったかしら~、マコトさまおはようございます~」

「おはよう、ジュリちゃん、そんなに待ってないよ」

「よかった~、わたくし、最近みなさまとご飯を食べるのが楽しみでしょうがないです~」

「そうなの、それはよかったわね」

「ちょっと前だと、一人でご飯を食べて、一人で遊んで、おしゃべりするのもロイドさまだけで、面白くなかったのですけど、最近はみなさまと親友になれてとっても楽しいのっ」


 そう言って、ジュリエット嬢は、メリッサさんと、マリリンの手を取った。


「そんな、恐れ多いですわ、ジュリエットさま」

「私たちは身分が……」

「わたくし、身分と人の好ましさに関係が無いって、やっと気がつきましたの。お嫌でなければ、これからもずっと仲良くしてくださいましね」


 ジュリエット嬢は笑って小首をかしげて、とてもあざといが、とっても可愛い。

 メリッサさんも、マリリンも、赤くなってはにかみながら、こちらこそと承諾していた。

 クレアさんも笑顔で嬉しそうだな。


 食堂に入ると、けっこう混んでいるね。

 二つのテーブルに分かれて座る感じかな。


 剣術組とお洒落組、カロルとコリンナちゃんと私な感じに分かれた。


 カウンターでメダルを見せて、メリサさんからポリッジを受け取る。

 お茶をついで、テーブルへ。

 みんなが揃ったら食前のお祈り。


「いただきます」

「「「「女神さまに毎日の糧を感謝します」」」」


 だからー、私をおがむな~~。

 まわりの女生徒も笑みを浮かべて私を拝んでおるぞ。


 もういい、食べる。

 ぱくり。

 今日のポリッジは塩味、薄いチキンの出汁が美味しいね。

 副食はハムだった。

 カロルは塩味で、コリンナちゃんは甘々蜂蜜であるね。

 あー、今日も美味しいなあ。


 ご飯を食べ終わったら、食後の祈りを捧げて、食器を返して、登校だ。


 みんなでぞろぞろと歩く。

 さすがにカトレアさんも鞄を持って食堂へきているね。


 寮を一歩でると、日差しが強くて暖かい。

 春まっさかりですねえ。

 良い陽気ですな。


 寮から校舎へはそんなに遠くない。

 わやわやとおしゃべりしながらみんなで歩くよ。


 校舎に入ると、出入り口奥の壁に人だかりがしている。

 また壁新聞か。

 どれどれ?


『学園の勢力地図に激震走る! 毒蜘蛛マーラー家が公爵派閥を離れ、聖女派閥に!!』


 魔法学園新報が更新されていた。

 なかなか調べている記事だね。

 簡潔に事実だけを報じて、学園の勢力地図の変動を書きあらわしている。

 ふむふむ。

 公爵家の今後が大変だな。


 新貴族速報の方は更新されてないな。

 先週の壁新聞のままであるよ。

 ヒルダさんが釘をさしたかな。


「さて、公爵派閥の腰の座っていない家が右往左往しはじめるだろうな」

「そうだな、ジェラルド、欲しいだけ国王派が取っていいよ」

「ふむ、気持ちが悪いなキンボール、国王派が総取りで良いのか?」


 ジェラルドが眼鏡をキラリと光らせて、こちらを見た。


「かまわないよ、あまり構成員が増えると、管理しかねるから」

「たしかに、管理系の貴族が足りないか。戦闘系はブロウライト家がいるし、諜報はマーラー家だな。オルブライト嬢、あなたがユリーシャさまから派閥管理の手法を学ぶのだな」

「そうですね、それは考えていますよ、マクナイトさま」

「補助にグリニー嬢を使うべきか、彼女は社交界に明るい」


 グリニーさんというのは、エルザさんだな。

 というか、人の派閥の人事に口を出すんじゃあねえよ、陰険メガネめ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ