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第170話 寮に帰って美味しい晩餐を食べる

 夕暮れ迫る王都のメインストリートをカロルと一緒に歩く。

 ああ、西の空が赤いね。

 偽アフリカの方から夜が来る。


「おなかすいたねえ、晩餐は何かな」

「本当ね、なにかちょっと食べようかなって思ったけど、マイルズさんが来ちゃったからね」

「まったく、ワイエス家の人たちは困るねえ」

「あそこの家はエキセントリックだと聞いていたけど、ここまでとは思わなかったわ」


 伯爵家クラスタでワイエス家は噂になってたのかね。


「元々は普通の農業領だったんだけど、デボラさんのお爺さんが、ちょっと変わった人で、諜報に目覚めてしまって、諜報家の仲間入りしたのよ」

「代々の諜報家じゃないのね」

「そうなのよ、でも、ワイエス家のお爺さんは才能があったみたいで、ジェームズ翁に引き立てられたみたいだけど、孫娘さんには、その血は伝わってないみたいね」

「偽諜報家なのね、ずさんな諜報ほど迷惑な物はないわね」


 諜報じじいめ、ちゃんと孫娘に技術を継承させときなさいよね。


 校門をくぐり、女子寮へ向かう。

 あー、なんだか日曜が終わっちゃった感じだなあ。

 サザエさんのテーマが流れてきそうであるよ。

 来週はカロルとどこに行こうかなあ。


 ヒカソラは、さすがに乙女ゲームなので、王都にはデートスポットが多いのよね。

 ゲームではアンヌさんが色々教えてくれるのだけど、彼女のご主人とそこに行く事になるとは思ってもみなかったな。


 春に開いてるデートスポットは……。

 動物園、美術館、音楽会、植物園とかだなあ。

 あとは、繁華街を歩く、大神殿、自然公園、レストラン、武器屋、魔術屋、冒険者ギルドという所だろうか。

 あー、ゲームをやりこんでいて良かった。

 カロルとデートする場所には困らないな。


「じゃあ、また後で、楽しかったわマコト」

「うん、今日も晩餐は食堂で食べるの?」

「うん、みんなと食べると美味しいし、楽しいし」


 うん、そうだろうそうだろう。

 食事はみんなで食べる物なのだよ。


 カロルはエレベーターの方へ弾むように歩いていった。

 わたしは階段で二階へあがる。

 205号室に入ると、コリンナちゃんが机に向かって勉強していた。


「おー、がんばってますねえ」

「マコト、帰ったかー、どうだった、お芝居?」

「凄く良かったよ、面白かった」

「そうか、氷結湖悲歎はロングランするかな」

「しそうだね。評判になってるかな?」

「大評判だね、泣いた泣いたとみな大騒ぎだよ」

「みんな泣けるお芝居好きだねえ」

「大衆は人の事で泣いてすっきりするのさ」


 ああ、そういう所あるねえ。

 前世でも、ちょっと前の携帯小説系は泣き話ばっかりだったし。

 そのあとは異世界転移ばっかりだったけどね。

 受けると思うと、みんなそれをやり始めるんだよなあ。


「さて、晩餐を取りに行こうか、カロルは?」

「一緒に食べるって、エレベーターホールで待とうよ」

「そうだね、しかし、伯爵令嬢の友人が出来るとは、入学前は夢にも思わなかったよ」

「私は、カロルと友達になれる予感はあったけどね」

「そういや、聖女候補と友達になるのも同じぐらい夢にも思わなかった事だった」

「縁は異な物だねえ。私もコリンナちゃんと仲良くなれて嬉しいよ」

「よ、よせやいっ」


 あ、コリンナちゃんが赤くなってデレた。

 うひひひ。


 二人で連れ立って部屋を出て施錠する。

 ぱたぱたと歩いて移動する。

 階段から見る窓の外は、いつの間にか暗いね。


 エレベーターホールには、カトレアさんとコイシさんの剣術組と、メリッサさんとマリリンのお洒落組とジュリエッタさんがいた。

 女子寮にはエルザさんも居るはずなんだけど、彼女は伯爵令嬢だから自室で夕食を取ってるのかな。


「メリッサさん、エルザさんは晩餐に誘わないの?」

「前に誘ったんですが、なんでもアレルギーがあるらしくて、自炊の食べものしか駄目らしいですわよ」


 エルザさん、ひよこ堂のパンは大丈夫なのに、何アレルギーだろう、鶏かな?

 今度聞いて見よう。


 カロルがエレベータで降りてきて、聖女派閥の女子が揃った。


「みんな、おまたせー」

「そんなに待ってないよ、いこいこ」


 みんなで食堂へ入る。

 日曜日なので、結構すいてるね。

 週末に家に帰った生徒は、夕食を取ってから学園に戻る子も多いからなあ。


 カウンターで並んで、今日のお料理を取る。

 今日は、豚肉のソテー、トマトサラダ、ポタージュスープ、黒パンであった。


「あ、マコトさん、いらっしゃい」

「今日も美味しそうね、メリサさん」

「まかせて~」


 メリサさんも明るくなって良かったなあ。

 クララにも挨拶をして、トレイにお茶を乗せてテーブルへ。


 みんなが揃うまで待つ。

 今日もジュリエットさんが危なっかしいけど、一人でトレイを運んでドヤ顔をした。


「えらいえらい」

「だんだん慣れてきましたわ」

「本当にジュリエット様は侯爵令嬢さまなのに気さくですわね」

「あら、マリリンさま、ありがとうですわ~」


 さて、みんなも揃ったし、食べようかな。


「いただきます」

「「「「「女神さまに今日の糧を感謝を」」」」」


 なんだよ、隣のテーブルの子まで、私を拝むなようっ。

 まったく、照れくさいなあっ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さん、更新はお疲れ様です! 本当にカロルさんは辛いですね。。。マコトさんが居て良かったです〜 コリンナさんも可愛いかも。 デボラさんの仕業、ちょっと繰り返し過ぎかつ酷いですから、簡単に…
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