第157話 孤児院の子供達と交流するんだぜ
みんなで孤児院に行くと、子供達がわあっと寄って来た。
「遅いよマコねえっ!」
「マコトおねえちゃんっ、いらっしゃいっ」
「もう、もっとしょっちゅうきてよねっ」
「あはは、ごめんごめん、寂しかった?」
「うん、さびしかったよーっ」
子供にたかられて困っちゃうねえ。
「マコトは子供好きなのね」
「うん、楽しいからねっ」
「マコトおねえちゃんのお友達?」
「うん、今日はお友達みんなできたよっ、この子はカロル、私の親友だよっ」
「よろしくねえっ」
「わあっ、お姉ちゃん、おばあちゃんちの匂いがするっ!」
「あはは、錬金術で薬を作ってるからね」
「良い匂い、私はすきーっ」
カロルも子供達にたかられておる。
「マコトちゃんよう、俺らは帰りてーんだが」
「ああ? 聖剣鑑賞代として、子供と遊んでいけやー」
「むむ、早く帰って作剣してえが、まあ、そう言われると困るな。おう、こんちわー」
「わあ、ひげもじゃだっ、えっとえっと、その」
「ドワーフさんだよっ、わたしドワーフさんを見るの初めてっ、お髭触っていい?」
「あはは、良いぜえ」
バルトロ部長と鍛冶部にも子供がたかり始めた。
ドワーフ人気すげえな。
メリッサ嬢が緊張しておる。
「わ、私一人っ子だから、子供は、どう扱っていいか、わかりませんわ」
「大丈夫、私のお家は子だくさんだから、任せて、メリッサ」
「おしえておしえて、マリリン」
「おー、すごい大きい女の人ー」
「私はマリリン・ゴーゴリーよ、よろしくねっ」
「よろしくっ、マリリンっ!!」
マリリンは女の子を抱き上げて高い高いをした。
女の子はきゃっきゃと喜んだ。
「わあ、小さい子もいる、私たちと同じぐらいかなーっ」
「わたしはハーフリングなので、こどもではないですよー、おねえさんですよー」
「うっそだーっ! 同じぐらいだよーっ!」
「ちがいますよー」
ミーシャさんが子供のエネルギーに困っておるな。
ゆりゆり先輩はとけそうな笑顔で、それを鑑賞しておる。
助けてあげなよう。
「メガネのおねえさんはマコねえちゃんのお友達?」
「そうだよ、寮では同じ部屋」
「わああ、いいなあいいなあ、魔法学園での寮生活、いいなあっ」
「楽しいよ、君らでお勉強が出来る子はどこにいくの?」
「んーとね、神学校だよ、卒業したら尼さんとかお坊さんになるのー」
孤児院の子供の将来は、勉強の出来る子は神学校に行って、教会組織の官僚になるんだよ。
お勉強が出来ない子は、手に職を付けて社会に出たり、メイド学校でメイドになる子もいる。
ここでいうメイド学校はハウスメイドを育てる学校ね。
諜報技術は教わらない。
「お、凄い剣、え、これ聖剣かよ、兄ちゃんっ!」
「おうよ、聖剣ホウズだ、借りてるんだぜ」
「本当かよっ! 兄ちゃん勇者なの?」
「違うけど、聖女マコトを守る為に特別に貸してくれたんだぜっ」
「うおーっ、マコ姉ちゃんを守る騎士なのかーっ! かっけーっ!!」
『ちびっ子達よ、体を鍛え、勉強をせよ、未来は君たちに開かれているぞ』
「「うわーっ!! 剣がしゃべったーっ!! すっげーすっげーっ!!」」
剣術組にも男の子たちがたかり始めた。
カーチス兄ちゃんも子供好きそうだな。
カトレアさんは、どうしていいか解らずにオロオロしている。
エルザさんは笑って、子供の頭を撫でている。
さすがの女子力だなあ、エルザさん。
「ね、ねえちゃんのそれも聖剣? なんていうのっ?」
「これか、エッケザックスという、勇者ステファンさまの佩剣だぞ」
「ステファンさまっ! 知ってる、ドラゴンを倒す人だっ! すっげーっすっげーっ」
抜いてみて抜いてみてという男の子のリクエストに、カトレアさんは剣を抜いて見せているな。
「わ、蓬莱刀だっ! 侍? おねえちゃん?」
「おじいしゃんが侍だったみょん」
「うわー、おじいさん、蓬莱から来たのー、すごいなあっ! それから北方なまりだーっ」
「北方の人は初めてみょんか?」
「ううん? 助祭さまの一人が北方の人だよー、おんなじなまりー、みょんとかいうーっ!」
「同郷の人がいるみょんかー、みんな頑張ってるみょんねえ」
メガネをかけた真面目そうな女の子がカロルの前にやってきた。
「あのあの、錬金術の、オ、オルブライト様ですかっ」
「はい、私はオルブライト家の人間よ」
「私は属性が土なんです、錬金術師になりたいんですっ、どうしたら良いですか」
「そうねえ、お勉強をして、錬金の実習をすれば、錬金術師になれるわよ」
「神学校には錬金の授業が無いんです」
女の子は悲しそうに顔をゆがめた。
ああ、錬金術師になるには、土の魔力が相当ないとキツいからね。
カロルは笑って、女の子の頭を撫でた。
「あなたのお名前は?」
「ナ、ナタリーですっ、私、錬金術師になりたいんですっ」
「土曜日と日曜日、学園に来られるかしら? 私の仕事のお手伝いをしてくれたら、かわりに錬金術を教えてあげるわよ」
「ほ、本当ですかっ、オルブライトさまっ!!」
「うん、うちの領では、錬金術師が沢山必要だから、ナタリーが大きくなったら、錬金術師としてオルブライト領に来て貰うわよ」
「ありがとうございますっ!! うわーっ、うわーっ!! 就職先までーっ! 領都ファルンガルドに住めるーっ」
ナタリーのテンションが爆上がりだなあ。
なかなか錬金の基礎授業って教わるのが難しいもんね。
「可愛い弟子ができたねえ」
「うん、楽しみだわ」
カロルはナタリーの頭を優しく撫でながら微笑んだ。
もー、良い奴だなあ、私の嫁はっ。
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