第1579話 橋を渡ってファルンガルド着、大聖堂参拝
綺麗な鐘の音で目を覚ました。
派手派手教会だけど鐘の音は良いね。
ぐいっと背伸びをして気合いを入れる。
カラスみたいな色彩の修道服を着込む。
アントンも泣きはらした目で起き上がり、髪をくしけずっていた。
派手な食堂に行くと、みんなテーブルに着いていた。
「お、なんだか豪華だね」
「まあ、聖女様効果だろうねえ」
「ありがたいありがたい」
朝ご飯にしては豪華な食事が並んでいるね。
ベーコンエッグに、ホワイトチキンシチュー、白パンにバターがいっぱいだ。
朝から分厚いベーコンは辛いぜ。
「日々の粮を女神に感謝します」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリ。
美味い美味い。
教会長の尻アゴ毛深い神父さんがこちらをチラチラみながら微笑んでいた。
こっち見んな。
朝っぱらから満腹になってだるいな。
これから歩くのになあ。
食事が終わったので、私とダルシーは厩舎に向かう。
おばちゃん尼さんがアントンに御詠歌集を渡していた。
「これはあの子の御詠歌集だよ」
「ミラナの……」
「スタンプを、引き継いでおあげな」
「はい」
アントンは御詠歌集を抱きしめた。
うん、それは良いかもね。
彼女は礼拝堂の前のスタンプ置き場に行ってスタンプを押していた。
私らはお馬さんたちに、飼い葉をやったり、肉を食わせたり、蹄鉄のチェックをしたりした。
ヒューイとクリスティーナに荷物を載せて、引いて行くと、巡礼団は隊列を組んで待っていた。
最後尾に私たちが並ぶと、先頭の尼さんが香炉を揺らして御詠歌を歌い、歩き始めた。
ああ、巡礼の旅ももうすぐ終わりだね。
ガランの街の西口には橋が架かっていて、これを渡るとオルブライト領に入ることになる。
歓楽街で朝帰りするおじさんたちと一緒に橋を渡る。
跳ね橋になっていて、大型船を通すときは橋を上げるらしい。
川風の良い匂いがするな。
橋を渡りきり、オルブライト領に入った。
「お昼にはファルンガルドに入れるね」
「ああ、やっぱり領が変わると空気が変わるね。浮ついた感じが無くなり、薬草ダンスの匂いがするや」
オルブライトの橋のたもとの街は小さめだけど、薬屋が沢山並んでいるね。
街に吹く風も漢方薬臭い感じ。
街道も整っていてゴミ一つ落ちてない。
清潔で良い領のようだね。
さすがはカロルの領だ。
しばらく歩いて行くと、丘の上にお城が見えて、その麓に大きな街が広がっていた。
「あれがファルンガルドだよ」
「旅の目的地だ」
「あそこの大きな青い屋根がファルンガルド大聖堂だよ」
おお、あそこなのか。
御詠歌に乗って歩きに歩いて、ファルンガルドの領都門に着いた。
満面の笑みを浮かべたカロルとオルブライト騎士団がお出迎えである。
「ようこそ、ファルンガルドへ、ヴィヴィアンヌ巡礼団の皆様を歓迎いたします」
おお、ありがとう。
「御領主代行様自らのご歓迎、恐れ入ります」
「いえいえ」
巡礼団は城門をくぐり、ファルンガルドの中に入った。
やあ、なんだか活気のある綺麗な街だね。
錬金問屋さんが多い感じ。
薬品の街なんだな。
綺麗な石畳を歩いて大聖堂を目指すのだ。
カロルが私の隣に着いて、一緒に歩き始めた。
「綺麗な街ね、カロリーヌさま」
「その格好の時の名前はなんなの」
「マリーだよ、お姉ちゃんはドリア」
「そうなんだ、マリー、よろしくね」
カロルと並んで歩くのは楽しいね。
マメちゃんもカロルの足にじゃれついて跳ね回っている。
巡礼団はファルンガルド大聖堂に入った。
やあ、目的地だねえ。
なんだか感無量だわ。
「歩いて来たなあ」
「二週間、お疲れ様」
「凄いなあ、歩きで来ると凄い聖堂が格別な物に思えてくるね」
ファルンガルド大聖堂はアップルトンの大聖堂の中でも五本の指にはいるほどの規模と歴史を誇るのだ。
大聖堂の厩舎にヒューイとクリスティーナを運んでいった。
カロルも付いてきて、荷下ろしを手伝ってくれた。
「今晩の泊まりは大聖堂の宿坊?」
「そうみたい」
「私の領城で一泊しない?」
「ああ、いいねえ、相談して見るね」
まあヴィヴィアンヌ巡礼団はここが目的地だが、王都の帰路もあるから解散って訳じゃないんだよな。
晩餐まで一緒に居て、泊まりだけ領城に行こうかな。
「お風呂ある?」
「あるわよ」
「一緒に入れる?」
「うふふ、まあ、考えておくわ」
にひひ、旅の疲れをオルブライト領城で洗い流そうか。
さて、カロルとダルシーを引き連れて礼拝堂で参拝だね。
煌びやかなステンドグラスの廊下を歩いて奥に行くと、とても綺麗な女神像が佇んでいた。
手を合わせて参拝する。
――やっと、ここまで来ましたよ、ありがとうございます。
いいのよ、と女神様に言われた気がするのだが、まあ、気のせいであろう。
やっぱり凄く大きくて凝った大聖堂なので、雰囲気が重厚でいいね。
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