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第1492話 一路ホルボス山へ

「おお、知らないうちにアイアンリンドで昼食を取っていましたな。いや実に飛空艇は素早いですなあ」

「エンジンルームに居ると浜辺でも山の上でもあまり変わりませんからなあ」

「先の山は前人未踏の邪獣山の山頂だったようですぞ」

「おお、一流登山家でも二の足を踏むという難易度の高い山ではないですか」


 あれだな、学者さんは浮世離れしすぎて、いっそすがすがしいね。


「さあ、学者さんたち、行きますよ。次の寄航地はホルボス基地です」

「素晴らしい基地ですよ、みなさん」

「それは楽しみですな」

「いやあ、ビアンカさまの遺産をこんなに沢山見る事ができるとは、長生きはするものじゃわい」


 学者さんはポセイごとホルボス基地に置いていこう。

 エバンズがいれば良いだろうし、お世話はジェーンさんとハナさんに丸投げじゃ。

 まあ、ビアンカ邸基地にも来そうではあるがね。


 学者さんは後部ハッチから、みんなは中央タラップから、ヒューイはヘビ三郎を巻いたまま甲板へ飛んだ。


 どやどやとメイン操縦席に入る。

 というか、カロルもカーチスも居ないから寂しくなったな。


「次は……、ホルボス山だね……」

「頼んだよ、エルマー機関士」

「まかせろ……」


 エルマーは出力を上げて蒼穹の覇者号を空に舞い上がらせた。

 発着場で、ブロウライト家の人達と、カロルがこちらを見上げて手を振っていた。

 なんとなく、寂しいね。

 夏が終わるまでカロルには会えないのか。

 うむむ。

 そんな事はゆるされない。

 変装して巡礼の旅でファルンガルド大聖堂を目指し、むこうでカロルに会うぜ。

 まっていろ。


「みんなが帰省していくと、なんだか寂しくなるね」

「残っているのは王都在住組というか、ヒルダさんは帰省しないんですか」

「しませんわ、マーラー家の主戦場は王都ですので、田舎は家令に任せておけばよろしいのよ」


 さすがは暗闘の家だな。

 マリリンもメリッサさんが帰省したので一人で寂しそうである。


「お友達と一緒にいると時間を忘れるぐらい楽しいのに、離れてしまうと寂しい物ですわねえ」

「夏休みも長いからね、王都大祭を楽しみましょう」

「そうですわね、メリッサさまが見られない分、私が見てエッセイを書きませんと」

「その調子だ……」

「はい、エルマーさま」


 というか、ロイドちゃんは普通に乗っていて、ジュリエットさんといちゃついておるな。


 蒼穹の覇者号は高空まで駆け上がり、巡航飛行に入った。

 こうすると大気が薄くなるので魔力消費の節約になるらしい。

 あと、速度も上がるらしい。

 前世のジェット旅客機みたいだな。


 自動操縦に入ったので、ダルシーがお茶を運んできた。

 お、アップルビー領のお菓子屋さんのクッキー付きだ。

 美味しい。

 ポリポリ。


 ポセイが子供がごろごろ寝転んでいるメイン操縦室を見て、なんか喜んでいるっぽいな。


「なんで嬉しいの?」

『それは、生活の飛空艇であるからですね。私の作られた時代は飛空艇はもっと洗練されていましたが、戦争に使う物で、みんなキリキリして動いていました。ですから、のんびりしたコクピットの風景がなんだか嬉しいのです』


 感情を持っているとは高級ロボだなあ。

 エイダさんもそうだが、魔導AIは、あまりに人間くさく作られてしまったから、何万年の時間に耐えられず発狂してしまうのだろう。

 そう考えると、彼らを作った先史魔導文明人は考え無しだよなあ。

 作った責任を持てよなあ。


 飛空艇が高度を下げ始めると見慣れた山塊が近づいてきた。

 トール王子とティルダ王女が浮かない表情をした。


「どうしたの?」

「バカンスが終わっちゃうんだなって思ったの」

「この二週間、みんなと一緒で、魚釣りしたりヨットを操ったり、凄く楽しかったけど、終わっちゃうんだなあって、思って……」

「平気だ、平気!!」


 アダベルが大声を出した。


「王都大祭もあるし、まだまだ夏は長いんだ、一緒にみんなで遊ぼうっ」

「アダちゃん」

「アダベル」

「おやびん」

「アダベル親分」

「でも僕らは農作業があるね」

「「それを言うな~!」」


 三馬鹿の二人がセルジュを怒った。

 うん、冷や水をかけてはならんよ。


 飛空艇はするりとホルボス山基地に入り込み、着陸マークの上にすたりとタッチダウンした。


「それじゃあ、聖女様、ありがとうございました。本当に今年の夏は楽しかったです」

「ありがとうございます」


 トール王子もティルダ王女も涙ぐんでそんな事を言った。


「まだ夏は長いし、秋にもいろいろ遊びましょうね」

「「はいっ!」」


 ホルボス山基地には、トール王子とティルダ王女とガラリアさんとアイラさん、あとポセイと学者さんを下ろした。


『私もここかね』

「学者さんの世話をしてね」

『なるほど、了解だ』


 というか、こいつポセイドンというか、ベイマックス味もあるな。

 うん、人間共に奉仕せよ。

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とうとう最新話まで追い付いてしまった… これからも楽しみにしています!
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