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第1491話 ポセイドンは子供に人気

「うおー、でっかい、ゴーレムー」

「汚れているから磨いてあげるね」

「わあい、高い高い」


 子供たちがポセイドンに夢中である。


「ポセイドンは長いから、ポセイにしよう、そうしよう」

「ポセイさんポセイさん」

『うん、好きに呼んでかまわない』


 くそう、ポセイめ、人気者になりおって。


 ヒューイが甲板から飛んできて、友鳴り草の匂いを嗅いだ。


「わ、食べちゃ駄目だよ」

《くさい》


 匂いを嗅いでただけか。

 マメちゃんも出てきてあたりを走り回っている。

 ポセイは子供を肩に乗せて、のっしのっしと歩き回っていた。

 風が吹いて雲を散らして、遠くの方の山々まで見えるようになった。

 綺麗だなあ。

 やっぱり、ここは深山なんだなあ。


「さて、そろそろ帰ろうか、カロル、必要な分は摘んだ?」

「ええ、五年分ぐらい摘んだわ、ありがとうマコト」

「なんのなんの、あはは」


 だが、カロルの好きそうな希少薬草の繁茂地をエイダさんに聞くのはやめよう、ビアンカさまが何かしらの罠を張ってる気がする。

 たくさんのロボをお供にするのは気に入らん。


 みんなを船に乗せるとポセイも当然のような顔でメイン操縦室に入ってきてちょうどいい椅子に座りおった。

 ポセイの席だったか、そこは。

 主にライ一郎が箱座りする場所であったが。


 エルマーが操縦して、アイアンリング城へと飛行した。

 ちょうどお昼前だね。

 イザベラお母さんが接待の用意をしていることであろう。


 エルマーは、お城の飛空艇発着場に蒼穹の覇者号をふわりと着陸させた、日々上手くなっているなあ。


「ポセイ、エンジンルームから学者さんを連れ出してきて」

『私がか?』

「あんたの事、学者さんたち気に入ってるからね」

『わかった』


 ポセイはエンジンルームの方へ歩いていった。

 廊下の幅も問題ないし、元々ポセイを乗せる用に設計されてる感じがするなあ。

 もしくは先史魔導ゴーレムの規格サイズなのかもしれないな。


「あらあら、お帰りなさい領袖、邪獣はいましたの?」

「あれが邪獣みたいです」


 ポセイが学者さんを先導して後部ハッチから出てきた。

 エンジンルームからだと、後部ハッチの方が外に近いのよね。


「あら、何かしらあれは」

「先史時代の魔導ゴーレムみたいです」

『初めましてマダム、私はポセイドン、みなはポセイと呼びます』

「まあ、しゃべれるのね、お利口さんだわっ」


 ドラゴン頭のセージ君が寄ってきた。


「これは不思議な代物ですね、興味深い。先史時代の遺産がこのように保存されていたとは」

『あなたは、竜人ですか?』

「いえ、アダベルさんに教わった人化の術で変化しているワイバーンですよ」

『おお、先史時代にも変化していたドラゴンは沢山いましたよ』

「それは興味深い」


 あーもー、セージくんも学者系のドラゴンだったわ。

 ほっとくといつまでも研究するタイプだわ。


「では、イザベラさま、昼食をいただきましょう」

「そうですわね、こちらへ」


 イザベラ母さんに先導されて、私たちはアイアンリング城のホールに通された。

 おお、今回もごちそうがこれでもかとテーブルに乗ってるな。

 ゆりゆり先輩がいないので、席次を決める人がいないのだが、まあ、ブロウライト家はわりと大雑把だから適当でいいだろう。


 適当に席に着いた。

 子供たちはコッペリアさんが上手く席を割り振ってくれたな、ありがとうありがとう。


「フィルマン、ごちそうだな」

「それは聖女さまと、守護竜さまをアイアンリンドに迎えるのだからな、豪華にもなるぞ」

「それはすばらしい」


 アダベルは子牛の丸焼きから目が離せないらしい。


「ではいただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 豪華な会食は始まった。

 うん、ブロウライト領は牧畜が盛んだから、お肉類がおいしいね。

 ハムソーセージベーコンもいい味だ。

 うまうま。


 アダベルがものすごい勢いで子牛にかぶりついているね。

 肉食竜であるよ。


「午後には王都に向けて帰ってしまわれるの?」

「はい、王都大祭を見たいですから」

「まあ、よろしいわね」


 イザベラ母さんは、はんなりと上品だね。

 

「カロルは領都まで送らなくていいの?」

「ええ、大丈夫よ、馬車ですぐだから」


 飛空艇なら一瞬なのになあ。

 くそう、領に何を隠しているんだ。


「じゃあ、夏休みの最後の日に迎えにくるのも、ここでいいの?」

「うん、こちらで良いわ」


 まあ、夏休み最後の日ごろは一緒にファルンガルドで過ごしている予定だがな。

 けっけっけ。


 食事が終わった。

 ブロウライト一家は名残惜しそうである。


「聖女さん、本当にありがとう、僕がこんなに健康になれたのはあなたのおかげだよ」

「いえいえ」

「うっきーっ」


 モンチーがそんなこと無いぞと言ってそうであるな。


「本当に夏休みでお暇ならば気軽にアイアンリンドに寄ってくださいましね」

「はい、また寄らせてもらいますよ」

「うん、自分の家だと思って来てくれ領袖」

「はい、では失礼しますね」


 ブロウライト一家は発着場まで見送りに来てくれた。

 さて、あとは王都に帰るだけだね。


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― 新着の感想 ―
カロル…
ロプロスはアダベルがいるからねえ。
ロボットじゃなくアダベルみたいに竜や、何か別の魔物かも知れないじゃないか。影犬増やせれば教会とかでも便利そうだけどな。
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