第1480話 抜け道を下りに下った場所とは
抜け道に入った。
というか、ガドラガ教会が出来た時にはもうあったんだよな、この抜け穴。
光魔法の封鎖だから出入り口を作ったのはビアンカ様っぽいなあ。
だが、全体の通路の作りが先史古代文明っぽい。
私は壁にあるパネルに光魔法を流し込んだ。
ぱっと灯りが灯った。
「明るいわね」
「すごいなあ、なんだここ」
わりと広いのでヒューイもライ一郎も楽々通れるね。
「とりあえず、降りれる所までおりよう」
「そうだね」
「そうね、だけど……、何て量のオリハルコンかしら、剥がせば一財産だわ」
「何を言うのかと思ったら、ビアンカ邸基地とか、ホルボス基地のアマダンタイトだって剥がしたら一財産よ」
「そりゃまあ、そうね。ビアンカさまは頭がおかしいわ」
「たしかにおかしい」
私、カロル、コリンナちゃん、コリンヌさん、あと従魔のみなさんで階段を降りて行く。
結構下まで続いてるね。
もう、二十階の出口の階まで来た。
「通路だけだねえ、隠し部屋は無いみたい」
「まあ、敵の出ない通路だけでも相当貴重だけどねえ」
ベルモントが居た玉座の間まで来た。
迷宮の自動修復が効いているのか、レアキメラが暴れこんで来た水晶の天井は直っていて、日の光を外から運んでいるね。
結構深いのに、前世の光ファイバーみたいな感じで光が伝わってるのかね。
増水していた水堀も今は落ち着いていて、静かに流れる水だけが見える。
「この部屋で一応籠城できるみたいだね」
「こっちに寝室があるわね、あと物置とか」
雑多な物がかたづけられずに残っていた。
アンヌさんとダルシーが現れて片付け始めた。
この階は結構広くて、部屋も多いね。
トイレや浴室、厨房なんかもあって、結構籠城できそうだ。
物資はガドラガの街から持ち込めば良いしね。
偽キメラが出て来た部屋も残されていて、飼料などが干からびていた。
「ああ、ここに居ましたねえ」
「ガウガウ」
「メーメー」
「シャーシャー」
コリンヌカルテットが懐かしそうに魔物部屋を見渡していた。
コリンナちゃんが植物紙ノートを出してマッピングしていた。
マメだなあ。
「何の部屋なのかなあ、ここは」
「なんだろう、昔のガドラガの制御室、みたいな?」
「そうか、ガドラガも最初から深かった訳じゃ無いから、浅い頃の本拠地跡なのかも」
「後世の人、ビアンカさまとかが作った場所じゃ無くて、もの凄く古い場所ね」
玉座の後ろにドアがあり、そしてまた階段があった。
「まだ潜るのか、ここ、結構深い場所でしょ?」
【ガドラガの赤道、地下四十階相当の深度です】
わっ、急にブローチでエイダさんが喋るからびっくりした。
「というか、通じるの?」
【はい、中央制御室跡には魔導通信ケーブルがあり、地上と交信できます】
「あ、なんか知ってるでしょ、エイダさん、ここの事」
【禁則事項で、解説を許可されておりません】
「ビアンカさまがらみね」
【さようです】
「んにゃろう」
「まあまあ、ビアンカさまだから」
「あの人こういうの好きよね」
しかし、赤道四十階か、相当深いね。
ここら辺の出入り口から出ると超強敵がゴロゴロしているのだろうなあ。
ドラゴンも出るって聞いたな。
やだやだ。
再び階段を十階分ぐらい下りた。
ガドラガ五十層、そうとうな深度だね。
横に長い通路があって、結構歩く感じ。
「地下道……、学園の奴と似ているね」
「ここをモデルに作ったのかな」
光魔法の触媒の魔導灯が左右に点いて明るい。
そして、最奥に大きな扉があり、壁に光魔法のパネルがあった。
「隠し部屋は無さそうだよ」
「ありがとう、コリンナちゃん。さて、ここが終点かな」
「マコト、早く開けましょうよ」
カロルがわくわくが止まらないような声でそう言った。
奇遇だね、私もわくわくが止まらないよ。
光魔法パネルに魔力を注ぎ込む。
ドアはウイイイインと音を立てて左右に開いた。
中にあったのは……。
「飛空艇!」
「飛空艇!」
「飛空艇! 夕焼けの疾風号か!!」
『いらっしゃい、エンジンは無いよ、皮だけ、エンジンは黄金の暁号に移植された』
水晶玉が机の上に置いてあって、ビアンカさまがにこやかに笑っていた。
『ジャックポッドのエンジンと魔導頭脳をぶっこ抜いてこれに入れると、小型戦闘飛空艇、夕焼けの疾風号改のできあがりだ』
「正直いらん」
『サイズの子供にでもやっちまうんだな、あとエバンズと飛空艇教授たちは喜ぶぞ』
くそう、ビアンカさまの手のひらの中だなあ。
「なんだか格好いいわ」
「というか、ここ乾ドックだな、蒼穹の覇者号は入るの?」
【入ります、蒼穹の覇者号をガドラガ迷宮基地に移動しますか】
「まあ、来てみて」
【了解です】
あ、しまった蒼穹の覇者号にはエバンズと学者さんが……。
まあ良いか、どうせ連れてくる事になるんだし。
『ガドラガ迷宮基地には宿泊施設もあるから、泊まる事もできるよ、黄金の暁号で狭い目にあう必要は無いよ』
「うぐぐ」
「いやあ、学校行事ですよ、良いのかしら」
また、贅を尽くした寝室とかお風呂とかあるんでしょうね。
『迷宮深部温泉からお湯も引いてるよ』
やっぱり!
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