第1479話 コリンナちゃんがいるので抜け穴探検
昼食が終わったので蒼穹の覇者号でガドラガの街に戻る。
ああ、美味しかったね。
駐機場に蒼穹の覇者号を駐めて、迷宮に行く剣術組たちを見送る。
「マコトはこねえのかよ」
「なんで用も無いのにガドラガに潜らなきゃならんのだ」
「まったくなっとらん」
なっとらんのはカーチス兄ちゃん、あんたや。
なんでバカンスに来て迷宮に入りたがると思っているのだ。
とはいえ、剣術部とヒルダさんと、オスカー、あとシルビアさんとドリン君は迷宮に行くらしい。
残されたのは、執行部とお洒落部と子供と王家主従だな。
「それじゃ、僕たちはまた役所へ行ってくるよ」
「ちゃんと帳簿のチェックしないといけないからな」
王家主従は役所へ視察にいくっぽいな。
「私も手伝いましょう」
「じゃあ、行こうかコリンナくん」
「まてい」
「ん、なんだキンボール」
「コリンナちゃんはガドラガの謎の抜け道を探るのだ」
「ああ、報告にあったやつ」
「謎の地下通路か、コリンナくんがいると何が?」
「コリンナちゃんの見破り眼鏡でギミックを解くのだ」
「そうか、では、行ってきたまえコリンナくん、市役所は我々でなんとかなるだろう」
「えー、そうですかー」
コリンナちゃんはしぶしぶこっちに来た。
悪いね。
恋よりもギミック看破なのだ。
「マコト、抜け道ってなんだ?」
「ガドラガ迷宮にある、怪しいショートカット通路だよ。どこかに繋がっているんだけど、この前はコリンナちゃんが居なかったから行けなかったんだよ」
「おー」
「二年になってから探検しようと思ってたんだけど、まあ、せっかくだから今日行ってみようかと」
「私たちも行ってもいいの? マコ姉ちゃん」
「子供は危ないかもだから、教会で遊んでなさい」
「ちえー」
「私は良いのか」
「アダベルは来てよ」
「解った」
とりあえず、みんなでドヤドヤと冒険者ギルドへと押し掛けた。
「ギルマス、預けて置いた抜け穴の解錠コインをください」
「おう、探検するのか?」
「そうそう、最深部になにか有るかもなんで」
「解った、時々救助なんかに使ってたけどよ、深い所は封鎖されて入れなかった、聖女さんなら入れるだろうよ」
ギルマスから解錠用コインを貰った。
よしよし。
これで行けるところまでは行ってみよう。
「魔物はいるのか? マコト」
「基本的には居ないが、深い所はちょっと解らないな」
「地下四階から入るのか?」
「いや、教会の講堂に出入り口があるからそこからだな」
ついでに教会に子供達を預けておこう。
みんなでドヤドヤとガドラガ教会へ。
尼さんに事情を話して子供達を預かってもらった。
カフェテラスでお菓子とジュースで歓待してくれるらしい。
「お菓子か」
「アダベルはあっち行ってもいいよ」
「いや、ガドラガのお菓子はあまり美味しくない……」
アダベルのくせにグルメな事を言うなあ。
礼拝堂に行くとなんか冒険者の一団がお祈りしていた。
「聖女さま!」
「はい?」
呼ばれて振り返ると、ドムズの親父であった。
「やあ、オヤジさん」
「まさか聖女さんと会えるなんて」
「わあ、ガドラガに来ていたんですね」
「あの時はお世話になりました」
「みんな元気にやってる?」
「はい、みんな仲良く迷宮探査にいそしんでますよ、ありがとうございます」
「そうかそうか、それは良かった」
「誰?」
「前にテイムした魔族の親父さん。ドッペルゲンガーがシェイプチェンジャーに進化したよ」
「うおお、魔族」
コリンナちゃんがびびりおった。
「今は私がテイムしてるから安全だよ」
「そ、そうなのか」
ドムズの親父はニコニコした人格者だが、魔族なのであった。
パーティーのメンバーに慕われて魔族を裏切って私にテイムされたのだ。
「聖女さん、今日はどうしたんですか?」
「ガドラガ教会の抜け道の探検だよ」
「ベルモント司祭の作った抜け穴ですか?」
「あっちじゃ無くて、元々あった風の抜け穴だよ」
ベルモント司祭の抜け穴はジャイアントワームの出て来た大穴だな。
あっちはガドラガの三階に繋がっている。
「俺達を護衛に使いませんか」
「まだ脅威度が解らなくてね、今の所抜け穴に魔物は居ないっぽい」
「そうですか、教会の近くに居ますので、何かあったら念話で呼んでください」
「ありがとう、何かあったら呼ぶわ」
「はい、お気軽にどうぞ、まだ何の恩返しもできてませんし」
ドムズの親父さんは魔族なのに義理堅い感じだなあ。
さすがさすが。
礼拝堂の舞台に上がり、幕をめくって入り口を探す。
ここらへんだったけどなあ。
「マコト、見えなくなってる光魔法パネルがあるぞ」
「おお、さすが見破り眼鏡だ」
こっち側のパネルは隠されているのか。
パネルに光魔力を流し込むと、横開きのドアが開いた。
大きめのドアで、ヒューイがぎりぎり通れるね。
さて、抜け穴探検だ。
底には何があるかな?
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