第1475話 ガドラガに飛ぼうよ
朝の定番、コリンナちゃん追い回しだが、毎日やっていたら、足腰が育って走れるようになったな。
最初の頃のへろへろになっていた可愛いコリンナちゃんはもう居なくて、浜辺を往復完走するかわいげのないスプリンターに育ったのだった。
「結構走れるようになったね」
「フォームが解ったのと筋力が付いたからだよ」
「二学期も毎朝走って、維持しようね」
「お、おう」
あ、これはほっとくとさぼる奴だな。
夏休み後半は監視できないのがつらいな。
きっと二学期には元の木阿弥になりそうだ。
だが、今はちゃんと走れているので仕方が無いので朝ご飯にしよう。
厨房テントで朝ご飯プレートを貰う。
今日のメニューは、丸パントースト、ベーコン焼き(厚い)、ゆで卵、ミニサラダ、サバスープであった。
サバは昨日飽きるほど釣ったからなあ。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリパクリ。
うまうま。
「ガドラガかあ、キルギス元気にしてるかな」
「楽しみだねえ、教会で働いてるかな」
「楽しみね、久しぶりのガドラガ」
「馬車橋計画はちゃんと進んでいるかな」
「一ヶ月ぐらいだけど、仮橋が出来てたら大分楽かもね」
仮橋でも出来れば歩荷は要らなくなるからね。
馬車での輸送が無いとヤバイ人口の都市だからなあ。
そこら辺も視察しよう。
さてさて、派閥員全員でのガドラガ日帰り観光であるな。
今日のパイロットはエルマーだ。
「離陸する……」
「最初にマルコアス修道院に寄ってお昼の予約をしてきましょう」
「クッキークッキー!」
「「「「クッキークッキー!!」」」」
子供達が騒ぎ始める。
マルコアス修道院のクッキーは前に持って行ったら大好評だったしなあ。
「了解……、離陸する……」
【蒼穹の覇者号、離陸シーケンスに入ります】
蒼穹の覇者号は浜辺から垂直離陸をしてガドラガ方向へ回頭した。
エルマーが出力レバーを押し上げると、じわじわと速力と高度が上がっていく。
最高時速まで来て、そのまま高度を上げ、雲海に上がり水平飛行となった。
ダルシーがお茶をもってきてくれた。
相変わらず子供達はメイン操縦室が好きで床でごろごろしている。
王家主従と剣術部はラウンジ、お洒落組は一等船室と、まあ何時もの船内だね。
一時間ほど飛行して雲海の下に降りて行く、眼下に独特の山景が広がり、ガドラガに着いた。
手前の山で高度を落とし、まずはマルコアス修道院である。
エルマーは中庭にふわりと着陸させた。
「じゃあ、ちょっと行ってくるよ」
「「「「クッキークッキー」」」」
「クッキー貰いに行くんじゃ無いのよ」
私とカロルが代表して下りたのだが、アダベルが着いてきおった。
「なんだよう」
「院長に挨拶する、そしてクッキーも貰う、午前中の分だ」
「そんなクッキーはありません」
修道院の中からクリスティーヌ院長が走って出て来た。
わ、手に大きな包みがある。
クッキーかなあ。
「守護竜さま、いらっしゃいませ、クッキーをどうぞ」
「うむ、院長、偉いぞ」
アダベルはクッキーの大袋を貰って、手を突っ込んでモシャモシャ食い始めた。
子供達もタラップを下りてアダベルに群がった。
「す、すいません、クリスティーヌ院長さま」
「聖女様もいらっしゃいませ。また子供達を連れて会食ですか」
「お昼にランチを頼もうと思いまして、予約をしにきましたよ」
「あらあら、聖女様の家でもあるのです、予約などはいりませんわよ。市長が来ていても追い返しますわ」
そりゃまずいだろうよ。
「それでは、お昼のランチだけど、四十人ほど居るのですが」
「おまかせください、聖女様のお仲間は我がマルコアス修道院の仲間同然でございます。今日のお昼はたまたま予約が入っておりませんから大ホールでのお食事にしましょうね」
「デザートにケーキ!」
「ほほほ、わかりましたわ、守護竜さま」
クリスティーヌ院長さまは頼りになるなあ。
伊達に太ってないぞ。
お昼に来ると予約を入れて、私たちは再び蒼穹の覇者号に乗り込んだ。
アダベルと子供達がクッキーをもしゃもしゃ食べていた。
お腹いっぱいでお昼が入らなくなるよ。
というわけで、ボッシュートでございます。
「うわあ、あと一枚あと一枚」
アダベルの口に一枚クッキーを放り込んで収納袋にしまった。
子供は際限が無いからね。
エルマーがすいっと蒼穹の覇者号を離陸させて、ガドラガ山方向へ飛んだ。
「ガドラガ飛行場管制塔、応答願います。こちらはコールサイン547498、聖心教所属、蒼穹の覇者号です」
【ザザザ、こちらはコールサイン000547、ガドラガ飛行場管制塔。蒼穹の覇者号確認いたしました、西側からアプローチして第三駐機場へ着陸ねがいます】
雨が降ってないガドラガ駐機場は新鮮だな。
というか、風が吹くと砂埃が舞ってるな。
エルマーはふわりと蒼穹の覇者号を駐機場へと着陸させた。
「エルマーは上手いね」
「まだまだ……」
「すごく上手いわよ」
パイロット組の中でカロルが一番操縦が上手い、その次はエルマーだな、私は艇長だが運転は下手っぴであるよ。
「艇長のマコト・キンボールです。当機は予定通りガドラガ第三駐機場へと着陸いたしました。それでは押し合わずに班ごとに下船をおねがいします」
モニターの派閥員たちが船を下り始めた。
エンジンルームの学者さんは下りてこないなあ。
ガドラガとかには興味が無いのか。
さて、久々のガドラガである。
色々変わったかな。
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