第1474話 漁港で大怪魚メダリンを売る
巨大竜、二匹が漁港に近づいていくと漁民さんたちがパニックを起こして海に飛びこんだりした。
『心配するでない、聖女の仲間ぞ』
『シルビアのドラゴンだ』
漁師さんたちは腰が抜けたように座り込んで安堵の表情を浮かべた。
「みんな、メダリンが釣れたから、買い取れ」
「うおお、ひいさま、メダリンですか、それは凄い」
「おお、これはでかいメダリンだ」
漁師さん達が竜二匹が引いていた怪魚に取り付き、ロープを掛けて港に引き上げた。
「美味いの、メダリン」
「ああ、でも足が早いからなあ、派閥員で食い尽くすのは無理だ」
そうなのか。
「おひいさん、聖女さん、ちょっと焼いて食いますか?」
「いいの?」
「獲りたてを焼いて食うと美味いんでさあ」
「それは良い」
アダベルも喜んだ。
漁民さんが総出でメダリンを解体して肉に変えた。
美味しいらしい部分をコンロでざっと炙る。
なかなか良い匂いがしてきたな。
これは美味そう。
味付けは塩のみである。
「ささ、どうぞどうぞ」
「いただきまーす」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
焼けて熱々の所を口に放り込む。
おおおお。
甘鯛みたいな白身で淡泊な感じの味わいで美味しい。
見た目グロいのになあ。
釣り天狗だけじゃなく、従魔たちもムシャムシャとメダリンを食べていた。
《うまいうまい》
「ガウガウ」
「ワンワン」
「シャー」
ヤギ次郎はそこら辺の草の方がお好みらしい。
モシャモシャ食べていた。
メダリンを漁協に売ったら結構なお金になったな。
「ほれ、聖女さん」
「いや、それは釣り部で使いなさいよ、リールとか」
「え、良いのか」
「いいよ、あんた達が釣った魚だし」
私が貰ってもな。
「「「「わああい」」」」
「さっそく本島の釣具屋でなんか買おう」
「俺、竿が欲しいんだ」
「結構良いのまで買えそう」
釣り天狗どものテンションが上がって漁港近くの釣具屋に飛びこんで行った。
「みんな楽しそうね」
「釣りもなかなか楽しいわね」
海釣りの道具を、村の三馬鹿はどうするのだろう、まあ、池釣りにも使える釣り具を買えば良いか。
釣り道具を買い込んでホクホク顔の釣り天狗達を乗せて、またトローリングしながらヤクシム島へと戻った。
さすがに帰り道にはヒットしませんでしたな。
サバスポットに出くわしたので、乱獲して帰ったのであった。
浜辺に戻ってヨットを岸に上げる。
結構良い時間になったので、今日の釣りはお終いである。
大体四時頃だな。
「帰ってきたな、釣れたかい」
パーカー姿のコリンナちゃんが聞いて来た。
「いっぱい釣れて大怪魚も釣れたけど、でかかったから漁港に売って来た」
「おお、そうか、上がりは?」
「釣り部が稼いだお金だから釣り部にみんなやった」
「そうか、解った」
派閥へのお金の出入りがあったら帳簿に付けなければいけないからな。
まあ、今回は釣り部へのボーナスで無かった事となるだろう。
ヨットからサバとメダリンの切り身を出して厨房に運んだ。
メダリンはマグロフライと一緒に揚げると美味いかもしれないな。
晩餐まで時間があるので、水着に着替えて海で遊ぶ。
ジャブジャブと泳いでいると、ヒューイがやってきて背中に乗れとジェスチャーしてきた。
ヒューイの背中に乗って、カロルも引き上げて、ジャブジャブと泳がせる。
マメちゃんも鞍の前で顔だけ影から出していた。
ヒューイは泳ぐのも早いので結構楽しい。
水しぶきを盛大に剣術部とか王家主従にぶちまけて進むのだ。
孤児院の女の子たちがヒューイに乗りたがったので交代である。
彼女たちを乗せて、ヒューイはじゃぶじゃぶと泳ぎ回った。
カロルと笑いながら浜辺に戻り、デッキチェアでごろりと横になる。
空には大きな入道雲、夕暮れ近い暗い青空、海風が気持ちがいいねえ。
ダルシーがオレンジジュースを運んできてくれた。
ありがとうありがとう、ちゅうちゅう。
うまいうまい。
きゃあきゃあとみんなが海で騒いでいる声をバックにぼんやりとしている。
なかなか贅沢な時間の使い方だねい。
マメちゃんが影から出て来て私のお腹の上で香箱座りをしている。
ほわっと暖かいね。
しばらくぼんやりしてたら、マリオンさんのご飯コールである。
よっしゃあ、揚げ物の良い匂いだぜ。
厨房テントで今日の晩ご飯を鉄トレイに乗せて貰う。
今日は、マグロフライとメダリンフライ、あとイカリングフライの魚貝ミックスフライ、サバのブイヤベース、オニオンサラダに白パンであった。
テーブルに持って行き、みんなが揃うのを待つ。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリ。
ほほっ、ホクホクのフライだなあ。
美味しい美味しい。
「フライ美味しいなあ、これが怪魚か」
「怪魚なのに甘鯛みたいな味がするんだよ」
「でかかったぞ、ヨットの二倍ぐらいあった、ドリンと一緒に倒したんだ-」
あの戦いはヨットが転覆しないかとヒヤヒヤしたよ。
「明日はガドラガかあ、楽しみですな、殿」
「前は梅雨だったから雨で雨で凄かったよ、夏はどうなのかね」
「山の上だから涼しいはずだみょんよ」
ガドラガかあ。
五本指とか頑張っているかな。
「キルギスも今、ガドラガ教会なんだよな」
「そうだねえ、おねえちゃんと一緒で嬉しいって言ってたよ」
「早めに行って連れてきてやれば良かったかもなあ、五本指共々」
まあ、顔を見て一緒に昼ご飯食べて帰れば良いと思うんだわ。
うん。
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