第1470話 晩餐はザニア式チャーハン
「ご飯ですよ~~」
東の空が暗くなり、西の空が真っ赤に燃える頃、マリオンさんが晩ご飯の合図をする。
腹ぺこの子供達がわあっと厨房テントに群がり列を成した。
派閥員は列を作って順番を待つのだ。
今日はいつもの鉄トレイに、ジャンバラヤ? みたいな、キムチチャーハンみたいな、赤色の焼き飯系が乗せられて、大きい蒸し肉と蒸し野菜、コンソメスープが載せられた。
「これはなに?」
「ガフサライスですって、市場で現地の人の教えて貰いましたよ」
「おーー」
お昼には出なかったな。
ガフサの街のお袋の味なのかもしれないな。
刺激的なスパイスの匂いがするぞ。
トレイを持ってテーブルに付く。
やっぱ海を見ながらの食事は雰囲気が良いよねえ。
全員席についたので食事のご挨拶。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリ。
おお、ピリ辛、キムチチャーハンというか、ビリヤニというか。
長米でパラパラなので不思議な感じだなあ。
なかなか美味い。
蒸し肉は豚っぽいね、ザニアっぽいピリ辛ソースが掛かっていてなかなかの味わいだなあ。
蒸し野菜と一緒に食べると美味しい。
「ご飯系も色々な味わいがあるのね」
「ツバメ食堂で食べられるのは短米で、これは長米だね、パラパラしてるね」
「明日はどうする、マコト」
「海~~」
「よし、じゃあ、釣りをしようぜシルビア」
「そうね、アダベル」
「何時もの海か」
「明後日、どっかに観光に行って、その次の日に海で、その次はバカンスお終い」
「「「「おおう~~」」」」
「バカンス帰りに帰省するなら飛空艇で送るよ」
「私は帰り道にちょっと下りますわ」
ユリユリ先輩の領は通り道だからなあ。
「ユリーシャの領都でお茶を飲もう飲もう」
「はいはい、良いですわよ」
アダベルはまたクッキー食い放題するつもりだな。
クッキーモンスターかお前は。
「ああ、もうすぐバカンスも終わりですのねえ」
「本当に一生物の思い出が作れましたわ」
「楽しかったですわねえ」
最終日に帰省する人はスケジュールがあるのでコリンナちゃんに申し出てもらう事とした。
というか、カーチス兄ちゃんとかは王都に寄ってリチャード兄ちゃんとか積んで行かねばならないのであるよ。
他の派閥員は大体、親御さんが領に居るので本人を送り届ければオッケーだね。
「カロルは?」
「ブロウライト領までで良いわ、そこから馬車で一日だし」
「直接ファルンガルドに着けるよ」
「いいわ、遠いし」
くそう、なんだかオルブライト領に来んなって雰囲気で嫌だなあ。
なんで、私を領に入れたくないのじゃ。
男か、彼氏がいるのでは無かろうなあ。
ぐぎぎ。
王都で下りる人と、ホルボス村で下りる人が多いな。
あとは、前に飛んだ順路でいけば良い感じか。
「明後日はガドラガに行く?」
「行きたいみょん、行きたいみょんよ」
「殿とマコトだけずるい、私も行きたい」
あ、そうか、私とカロルとカーチス兄ちゃんだけ一足先にガドラガ行ったけど、他の子はまだなんだよね。
この前は大混乱の中帰ってきたけど、ちょっとは落ち着いたかな。
「じゃあ、ガドラガ日帰り観光にしようか」
「迷宮内にはいれるか?」
「どうみょん?」
「入れるけど、まあさわりぐらいだね、街を観光したほうが楽しいかもしれないよ」
「迷宮に行くみょんよ」
「迷宮だ、ガドラガだ!」
まあ、頑張れ。
二年になれば自動的に行けるのだが、早めに行くのもいいだろうね。
「私はオルブライト商会の支店がちゃんと回ってるか視察しないと」
「私も教会が動いてるか見に行かないといけないな」
意外にガドラガに行ってもやることが多い。
二年生はガドラガかあ、という顔をしているな。
まあ、彼らは二学期にも行くからね。
「クッキー修道院に行きたい!!」
「マルコアス修道院ね、朝に行って、お昼の予約が出来ないか聞いてみましょうか」
「まあ、あのクッキーのマルコアス修道院ですのっ」
「ガドラガ定番のお土産の産地修道院ですわっ」
「お料理も美味しいから、このまえディナーで行って美味しかった」
「くそう、私は行けなかった!」
「院長先生が残念がっていたわよ」
「そうか、院長は敬虔な信者だ」
アダベルは沢山食べるから、居ると居ないで分量が違うから残念がっていたのだが、まあ、言うまい。
「それでは朝からガドラガに飛んで、午前中は街中観光、お昼にマルコアス修道院、それから三時まで、迷宮か観光で」
「異議無し~~」
本当は泊まりにしたいのだが、人数がね。
キャパをオーバーして船内泊ができないからどうしてもね。
沢山居る方が楽しくて良いからいいんだけどね。
ザニア晩餐を食べて、満腹して、食後のお茶を飲んで海をみていた。
灯りをくれと言うので光球をあげると、メイドさんが小ぶりのザニアのスイカを買ってきていて、またスイカ割りである。
今日は中盤ぐらいに行ったアダベルが見事にスイカを砕いてガッツポースを取っていた。
おめでとう、アダベル。
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