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第1469話 ヤクシム島に戻って晩餐だ

 ガフサの街観光組がお菓子を買い込んでいてメイン操縦室で子供達と分け合って盛りあがっていた。

 私も貰ったけど、外国のお菓子って味が素っ頓狂だよね。

 パリパリ。


 蒼穹の覇者号は高空まで駆け上がりヤクシム島まで高速飛行をしている。

 午後三時頃の空は遠くに夜が近づいて来て綺麗よね。


 カロルが副艇長席で操舵輪を押して高度を落とし始める。

 そろそろリシュエール諸島上空であるね。


 流れるように蒼穹の覇者号はヤクシム島へと降下していき、浜辺のいつもの位置へと着陸した。

 エバンズが後部ハッチから下りて温水パイプを繋いでいるな。

 マメな事だ。


「うおう、海うみ!!」

「泳ぐぞ~!!」

「ザニア大陸は暑かったあ」

「ヤクシム島の方がちょっと涼しいね」

「アダちゃん、ブレスして~」

「おお、ぶおおおお」

「「「「涼しい!!」」」」


 子供達が騒ぎながら蒼穹の覇者号を下りていった。

 さて、私たちも下りるかな。

 一応モニターで全員の下船を確認して、……。

 まあ、飛空艇の先生方はエンジンルームで何か研究しているが。

 艇長の私は最後に下りた。


 波音が聞こえるとヤクシム島に帰って来たって感じがするね。

 メイドさんたちがザニア大陸の食材を厨房テントに運び入れる。

 さすがに芋虫は買ってこなかっただろうね。

 海老味だけど。


「マコト、泳ぎましょう」

「そうね」


 楽しいバカンスも残すところ、あと四日である。

 あっという間の二週間だったなあ。

 悔いが無いように泳ぎ遊んで思い出を作るのだ。


 私たちのテントに行って水着に着替える。

 一日ほっといたからテントの中がサウナみたいだね。

 通りがかりの守護竜さまが聖氷ブレスで室温を下げてくれた。

 たすかるよう。

 アダベルはいわば歩くエアコンだな。


 水着に着替えて砂浜を走る。


「うわ、砂が焼けて痛い」

「早く水際に」

「わんわんっ!」


 マメちゃんも熱いのが嫌なのか凄い速度で走って行き海に飛びこんだ。

 私たちも命からがら海に入った。

 うわ、やっぱ海は良いなあ。


「マコねえちゃん、水中眼鏡水中眼鏡」

「私も私も」

「はいはい」


 群がる子供に障壁水中眼鏡を作ってあげた。

 水の中で視界が取れるのは楽しいからね。

 来年までにシュノーケルとか作ろうかな。


「水中に潜る魔法とかは無いの?」

「水中呼吸の魔法があるけど、あまり流行って無いわね」


 そうか、あるのか。

 錬金器具で酸素ボンベからアクアラングを一式作るという手もあるなあ。

 あ、障壁で作るか、酸素ボンベ。

 なんでも障壁で作ってしまう、私である。

 ええと、円筒状の障壁を大きく作って、半分ぐらいに圧縮、口に繋ぐ障壁パイプを作って……。

 いかん、マウスピースの構造が解らない、噛むと空気が出るんだっけか。

 ここが解らないと肺にどどっと空気が入って死ぬな。

 残念だが、やめておこう。

 前世でやった事がない事は応用が利かないなあ。


「あれ、なんかしてたのにやめたの?」

「酸素ボンベを作って潜ろうかと思ったけど構造がわからないのでやめたの、あぶないし」

「そう、残念ね」

「来年には海中行動ができるようになりたいね」

「水中用の魔導具とかもあるとか聞くけど、わりと貴重らしいわよ」


 迷宮の中には水没している場所もあるので、その需要で出来た魔導具かな。

 この世界は色々と魔道具があって面白いな。


 蒼穹の覇者号の甲板からヒューイがドドンと飛びこんで来て一緒に泳ごうと誘ってきた。

 カロルと一緒に乗り込み、鞍にマメちゃんを乗せた。

 というか、皮の鞍は海水は大丈夫かな。

 ダルシーがお手入れしてくれるだろうか。


 ヒューイが猛然と泳ぎだして子供達が笑いながら進路から避ける。

 ジャブジャブとした高速移動だなあ。

 爽快であるよ。


 背中に伝わるカロルの体温が心地よいね。


 アダベルが猛然と泳いできてヒューイと並んだ。

 人間体なのに魚雷みたいな速度で泳ぐなあ。

 息継ぎもほとんどしてないね。

 速い。


《負けないぞ姉上》

「ひゃはっはっは」


 ヒューイは、バババババと泳いで羽を展開し、最後には飛行して空を舞った。

 さすがのアダベルも追随できなくて、空の上のこちらを目で追っていた。


「飛行は反則だ~」

《姉上がムキになるから》


 竜族は負けず嫌いでいけないよなあ。


 アダベルの体が膨れ上がり、古竜モードで飛び上がり追いすがってきた。


『待てー』

《待たないぞ》


 浜辺上空で時ならぬ飛行追いかけっこである。

 速力は古竜アダベルが速いが、ヒューイは小型なので旋回能力高い。

 複雑に立体的に追いつ追われつをした。

 なんだか、ぐるんぐるんと天地がひっくり返るのでくらくらしてくるね。


 しばらく追いかけっこをしたあと、浜辺に着地して終わりとなった。

 勝負はどっちが勝ったのやら。


「アダちゃん乗せて-」

「乗せて乗せて-」

『おお、気を付けて乗るが良い』


 アダベルは大きいから事故るとヤバイが、奴も慎重に子供達を乗せて湾の中をすいすい泳いでいる。


 やっぱり海遊びは楽しいね。

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アダベルは冬は子供たちからちょっと距離を取られそうだな…寒いから(笑)
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