第1466話 ザニア料理を食べてから迷宮へ
「なんか、リザードマンの子供がいるな」
「ああ、スガク、あれは違う、ドラゴンさまだ」
「え? ドラゴン?」
「しかもお二人いる」
「え、お二人?」
芋虫料理を頬張っているアダベルと、長いもスティックを囓っているドリン君だな。
「芋虫、んまいなっ!」
「海老の味がするわよね、アダベル」
「そうか、どこかで食べたと思ったら海老味か、うんうん」
「こちら、ザニア大陸の光の使者のスガクさんだよ」
「おお、ワンコ獣人だ、私はアダベル、王都で守護竜をやっている」
「守護竜さま、聞いた事があるけど、子供なんだなあ」
「人化してるからなあ」
「俺はドリン、海竜だ、よろしくな」
「こちらこそ、よろしく」
「ご尊顔を拝したてまつり、光栄にございます、リザードマンのドンです」
「同じ部族のガンです」
「うむ、よきにはからえ」
爬虫類カーストでドラゴンは最上級らしく、リザードマンさんたちのアダベルとドリンくんの持ち上げ方が凄い。
「これから、スガクさんはピラミッド迷宮行くのか」
「おお、なんだか悪質なアヌビスの悪霊が湧いてるので頼まれたんだ、カーチス」
「いいなあ、俺達も着いて行っても良いかい」
「カーチス、結構深くまで潜るみたいだから迷惑だよ」
「いや、良いよ、そんなに凄い敵でもないし、大陸の光武器があると心強いしな」
「良いのか!」
「迷惑じゃ無い? スガクさん」
「いいっていいって、カーチスも結構強そうだしな」
ガフサの街で観光するつもりだったけど、私も行った方が良さそうだな、何か有ると不味いし。
「じゃあ、私も行くよ」
「おお、そりゃいいな、聖女さん、ヒーラーが増えると助かる」
「じゃあ、私も行くぞ」
「俺も俺も」
「アダベルさまとドリンさまもですか、助かります」
「素晴らしいです」
「うっひっひ」
リザードマン兄弟に褒められてアダベルがニマニマしておる。
「それでは私たちはガフサ観光へ、マコトさまと剣術組は迷宮ですわね」
「わたしもわたしも」
「おれもおれも」
ドラゴンコンビもだな。
あと、剣術組というよりも、迷宮アタックチームなのでエルマーも迷宮だな。
「私も行くわ」
「カロルも来てくれるのね」
「マコトだけだと心配だし」
「失敬な」
「まあ、アヌビスの居る場所は掴めてるし、案内人も雇ったからすぐ倒せるだろうよ」
「おお、丁度良いな」
ジャーという音と共に、もの凄く大きなお魚が運ばれて来た。
うお、なんだこれ。
「きたきた、ガフサに来たらこれを食べないとね、メガロの姿焼きさ」
「おおお、すげえ」
インパラ獣人のウエイターさんが手際良くデカイ魚を解体して取り分けてくれた。
パクリ。
おお、淡泊な味だけど美味いなあ。
無酵母のナンみたいなパンによく合う味付けだ。
美味い美味い。
大皿料理をパクパクと平らげて、お茶とケーキがデザートに出た。
あー、美味しかった。
「知らない土地のお料理は楽しいわね」
「メガロの姿焼き、こんどきたらまた頼もう」
「今回は突発的な訪問なんだろ、正式訪問は何時よ」
「冬頃かな、ヨールト公爵に呼ばれてるよ」
「おお、ヨールトのおっちゃんに呼ばれてるのか、国賓だな」
「また一緒に飯を食べよう」
「いいな、聖女」
スガクさんはニッカリ笑った。
普段は凶相のディンゴ顔が笑うと人が良い感じになって良いね。
さて食べた食べた~。
コリンナちゃんがお会計をしていた。
いつもすまないね。
「じゃあ、観光班は私がとりまとめますわ」
「ヒルダさんが率いてくれれば安心ね」
なにしろ別の国だから治安が解らないからね。
「何かありましたら通信しますよっ」
「コリンヌさんもよろしくね」
コリンヌさんとは念話が使えるからね。
地上で何かあったらすぐ解るね。
迷宮組はまとまって街の外へ向けて歩いた。
オスカーがカロルの隣にちゃっかり居てムカつく。
んにゃろう。
街を出るとすぐ遺跡があって、遺跡の中にガフサリアピラミッドはあった。
規模は中規模、中身はアンデッド満載の墳墓である。
私はヒューイの手綱を持って歩く。
ピラミッドの前で、役人っぽいターバンのイタチ獣人がへこへことスガクさんに挨拶した。
「これはこれは光の使者様、お呼び立てしてしまってもうしわけありません」
「構わないよ、大陸から聖女さんが来たんで一緒に連れてきた、問題ないだろ?」
「え、ええ、もちろんですよ、ははは」
……。
なんか、うさんくさい人だな。
見るからに悪者で悪巧みしてる感じなんだけど、大丈夫か?
パキラさんを見たら、苦笑して手をひらひらさせた。
「ああ、イタチ獣人はみんなあんな感じにうさんくさいのよ、大丈夫大丈夫」
「人種的な物?」
「そうそう」
「そうですともっ! このピリンチは何も含む所はございませんぞっ、ガフサ市役所でも私は真っ正直で通っておりまするっ」
言えば言うほどピリンチさんはうさんくさいのだが、大丈夫なのかなあ。
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