第1461話 夕方まで海遊び
船から下りて、テントで水着に着替える。
さすがに日中置いてあったテントの中は灼熱地獄だぜ。
アダベルが通りかかったので、アイスブレスでテントの中を冷やしてもらった。
聖氷竜は便利だな。
「帰りにアップルビー領でお茶してクッキー貰って来たよ」
「クッキー!! 食べる!!」
食いしん坊ドラゴンだなあ。
ダルシーが厨房テントに運び込んだ山のようなクッキーは小分けにされて、釣り馬鹿達のおやつとして出された。
「美味い美味い」
「アップルビー領でケーキも食べて来たよ」
「な、なにいっ!!」
「バカンスの帰りに寄りましょうって言ってたよ」
「それならばヨシ!」
バカンス帰りにお茶に寄るのが確定だね。
まあ、美味しいからいいけどさ。
というか、アダベルが盛大にクッキーをむさぼり食っている。
きりが無いなこれは。
「お腹いっぱいにならないんですか?」
「私の胃袋に底は無いのだ」
シェリーさんがイラッとした表情をして、クッキーの供給を止めた。
「後一枚、後一枚!」
「駄目です、また明日」
「ええええっ」
意外そうな顔をされてもな。
多分アダベルの胃袋の大きさは古竜モードと同じぐらいなのだろう。
普段は気を使って食べて無いだけなんだろうな。
牛一頭ペロリと食べる生き物だし。
アダベルはジュースを飲み干すと海に走って行き飛びこんだ。
さて、私も晩ご飯まで海で泳ぐかな。
今日も暑いから、海の中は快適だ。
ジャブジャブ。
私が海に入ると、皆が結界水中眼鏡を作って貰いに群がってくる。
一挙動で作って上げる。
「ありがとー!」
「水の中がよく見える!」
一渡り行き渡ったらみな海にドボンドボンと飛びこんで泳ぎだした。
私も海に入る。
ここら辺の海は遠浅で水の透明度が半端無い。
潜ると遠くまで見えて怖いぐらいだね。
熱帯魚が群れをなして泳いで、私が近づくと逃げて行く。
マメちゃんも影から出て来て横で犬かきをする。
ドボーン。
上空からヒューイが飛びこんで来て水が暴れた。
「なにをするっ」
《すまんすまん》
「わんわんわんっ」
ヒューイは吠えているマメちゃんをくわえ上げ、背中に乗せた。
奴がそのまますいすいと泳いでいると、子供達が寄ってきて背中に乗りたがる。
いやあ、海は楽しいね。
背泳して空を見ながら泳ぐ。
雲がのんびりと動いて良いねえ。
子供を満載した海竜モードのドリン君が泳いでいった。
楽しそうだ。
「ドリン君乗せて~」
『いいよ』
ドリン君が止まって乗りやすいようにヒレを出してくれた。
ヒレに掴まって背中に登る。
ああ、結構大きい竜だから視界が高いなあ。
子供達が一杯乗っているな。
海竜だから、アダベルみたいに鱗はなくて、海豚みたいにスベスベしてるね。
不思議な感触だ。
《主は俺に乗るべき》
「いろいろ乗りくらべをしないとさ、ヒューイ」
ヒューイの背にも子供が乗ってるね。
『湾を一周するぞー』
そう言うとドリン君は速力を上げて泳ぎ始めた。
おお、なかなかの躍動感。
ヒューイが競うように泳いで追いかけるが、海に特化してる海竜の方が早いようだ。
なかなか楽しいアトラクションであるなあ。
湾を一周したので、ドリン君から下りる。
知らないうちにヒューイの上にカロルが乗っていた。
手を差し出されたので掴むと引っ張り上げられた。
「騎獣は楽しいわね」
「色々と乗ると楽しいな。ドリン君も不思議な感触だよ」
ヒューイの上でカロルと密着するとなかなかドキドキしますね。
うひひひ。
そして海で遊んでいると、遠くの水平線に向けて太陽が沈んでいく。
ああ、今日も終わりかあ。
一日が早いね。
ヒューイは海から上がっても乗っていられるのでなかなか便利である。
温水シャワーの所まで乗せて貰って、シャワーを浴びた。
マメちゃんとか、ヒューイが割り込んで、一緒にシャワーを浴びたがるのでなかなか大変だ。
海水を洗い流して、テントでサマードレスに着替える。
なんか、大分日焼けしたなあ。
色黒聖女である。
そして格好は小さい八尺様で麦わら帽完備だ。
「夏はいいね」
「そうだね、凄く楽しいわ」
「派閥のみんなでバカンス出来るとは思わなかったよ、来年も来たいね」
「そうね、来年の夏も、この島でバカンスしましょう」
来年の夏はなんとしても花火を手に入れなければ。
夏の海で花火が無いのは興ざめである。
線香花火とかしたいじゃんよ。
ああ、でも浴衣も欲しいなあ。
来年までに手に入れたいものだな。
やっぱり、一度蓬莱まで飛ぶかなあ。
でも、まとまった時間がなあ。
二週間とか欲しいしな。
今年の夏の後半は秘密作戦があるから行けないし。
来年の夏かな。
うん。
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