第1457話 カタロニア王国へ飛んでいこう
まずは朝恒例のコリンナちゃんの追い込みである。
が、さすがに毎日海岸をランニングしていたら奴も慣れたようでわりと走った。
今日は良い姿勢で往復の最後まで行ったな。
「偉いぞ、コリンナちゃん」
「やったわね」
「ひゅーひゅー」
まあ、走った後に前後不覚になるのはしょうが無いか。
とりあえず、船の中のシャワーブースで汗を流してさっぱりしよう。
シャワーを出て、洗い立ての下着に替えて、さっぱりとしてサマードレスである。
執行部の三ロリはだいたい同じような格好なのだな。
小さい八尺さまみたいな格好である。
厨房テントで朝食プレートを貰い、海を見ながら朝ご飯だ。
コーヒーがうめい。
今日の朝ご飯はトーストにハムエッグ、コーンポタージュである。
アダベルとか孤児たちも同じテーブルでモシャモシャたべているね。
「カタロニア王国かー、ワインの産地か、どんな所か、後で教えて」
「気になるならアダちゃんも来れば良いのに」
「魚が私を呼んでいるのだ」
アダベルは釣り馬鹿になりおったなあ。
子供組の男子は釣り、女子はだいたいカタロニアであるな。
ティルダ王女は釣りだ。
「ああ、ワインセラーに、いきなり行って見学させて貰えるかしら?」
「ペネデス市行政局にケビン王子の名前で圧力を掛けましょう」
「あら、ジェラルドさま、頼もしいですわ」
いや、外交問題にならないか、それ。
まあ、ケビン王子とか、ロイドちゃんの名前を出すと、街の役場とかは平伏するけどね。
「ペネデス市の市役所前に駐めるか」
「それが手っ取り早いかもしれないね、キンボールさん」
「近場のワインセラーで見学出来る所を教えてもらう感じだね」
「試飲してえ」
カーチス兄ちゃんは意地汚いな。
「お昼はワインセラーのある街で取って、三時頃、ヤクシム島に帰投かな」
「そんな感じだね、しかし飛空艇があると予定が柔軟に組めて良いね」
「やはり、小型飛空艇が欲しいですな、ケビン王子」
「キンボールさん、手近な飛空艇を見つけてください」
「いや、馬車を買い付けるんじゃないから」
今は生きているエンジン見つけるので一苦労だからなあ。
「ワシらが生きているうちに、エンジンを自作できるようになればええのう」
「エルマー君に期待じゃのう」
「頑張るよ、爺さんたち……」
飛空艇マニアの博士たちの言うように、エンジンが自作できれば、新造飛空艇が作れて、航空路も整備できるのになあ。
そうすれば、もっと気軽に旅行とか行けて楽しい世界になりそうだ。
前世日本みたいにさ。
とりあえず、朝ご飯を済ませて、カタロニア組は蒼穹の覇者号に搭乗である。
釣り組はシルビアのヨットに乗り込んで行った。
メイン操縦室に入り艇長席へよじ登る。
「今日は操縦……」
「わかったー、エイダさん、機関士席へ操縦を移行します」
【了解いたしました】
エルマーが出力レバーを押し上げエンジンの回転をあげて離陸、である。
【カタロニア王国、ペネデス市へと向かいます。推定飛行時間は一時間四十分、高高度飛行を使います】
「了解……」
蒼穹の覇者号はカタロニアの方角へ回頭し、高度をあげていく。
しばらくすると雲の上にスポンと出て水平飛行に入った。
ここまで来るとあと自動的に飛べるね。
ダルシーがお茶を持って来てくれた。
ありがとうありがとう。
「やはり、ワインセラーに忍び込んで、特許を盗んできますの?」
「まあ、ヒルダさま、そんな物騒な、普通に見学してみるだけですわ」
「敵国のワイン事業なぞは潰してしまうと良いのです」
なんというか、諜報系の令嬢は過激でいけないね。
「カタロニア王国のワインは、そんなに良いの?」
「ええ、気候がよろしいので、良いワインを作るシャトーが建ち並んでますのよ」
メリッサさんのアンドレア領もワインのシャトーが一杯並んでいたなあ。
アンドレア城でワイン作っていたのも驚いたけど。
「何本か買って、アンドレアワインと飲み比べてみようぜ」
「カーチス、あんた親父臭いわよ」
高等生の発想じゃねえぞ。
「カタロニアにも良い大迷宮がありますな、殿」
「おお、カルロータ大迷宮な。卒業までに行ってみたいなあ」
「どんな迷宮よ」
「火山迷宮で暑いんだよ。アダベルとエルマーを連れていかねば」
「任せて……」
火炎迷宮か、それは暑そうで嫌だな。
というか、ファイヤードレイクとか懐いてきそうでいやなのである。
ほっとくと、五色のドラゴンが全部そろいかねないからなあ。
テイマー勇者アランさまには成りとうないのじゃ。
しばらく海上を飛行すると、緑の大地が見えて来た。
偽スペインのカタロニア王国だな。
初スペインであるな。
気候は良くて、タコを食べる国民性と聞く。
酢蛸が食べたいなあ。
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