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第1447話 ヤクシム島で遊び呆ける

 剣術組を積んで蒼穹の覇者号は一路ヤクシム島へと向かった。


「聖剣が三本もあるんだから、一般迷宮だと楽勝じゃないの?」

「エルマーもいるから大分楽勝だが、迷宮慣れしとかないとな」


 まあ、迷宮では魔物との戦闘だけじゃなくて、スタミナの配分とか、迷宮内の歩き方とか、色々な総合的な力がいるからな。


「中級ぐらいだと走破すると魔石で結構もうかるみょんよ」

「お小遣い稼ぎに良い」


 まあ、それはオルゲートで荒稼ぎしたので解らんでもない。

 収納袋の素材を直産したのでえらくコストが安くなったのだ。

 というかほとんど只と言っていい。

 『約束の大地』さんを雇った賃金ぐらいかな。

 あと、迷宮入場料。


 素材はカロルが暇を見つけて作業して収納袋にしてくれている。

 二学期にはみんなが収納袋持ちになれるね。


 ヤクシム島の海岸が見えてきたので、いつもの場所に着陸させた。


「ありがとうな、マコト、明日も頼むわ」

「海で遊びなさいよ」

「いやあ、わりと飽きた」


 飽きっぽいわね。



 エバンズが後部ハッチから出て、温水パイプを繋いでいた。

 というか、船の中は冷房が掛かって快適だけど、外に出るとムッとするね。

 海風は涼しくていいんだけど、日光がすげいぞ。


 海では子供達や王家主従とかが遊びまわっていた。


「あ、マコト水中眼鏡、掛けて」

「わたしもわたしも」

「俺も俺も」

「解った解った、並べ並べ」


 並んだ子供達と王家主従と、早くも水着に着替えた剣術組に順番に水中眼鏡障壁を掛けていった。


「なんだみょん、これー?」

「水の中で見えるようになるんだ、やってみようぜ、コイシねえちゃんっ」

「おもしろそうだなっ」


 コイシちゃんとカトレアさんが、村の三馬鹿と潜って見える見えると歓声を上げていた。


「取るにはどうすんだ、殴る?」

「無理すれば取れるよ、外すと次は入らないからまた作って上げるよ」

「そうか、解った」


 障壁だから岩に強くぶつかったりすればバリンと割れて消滅だが、そういう物騒な外し方はやめて欲しいわね。


 夕方に海で遊ぶのは楽しいなあ。

 コリンヌさんなんかはもう電池切れのようでデッキチェアで甲羅干しをしていた。

 ライ一郎、ヤギ次郎、ヘビ三郎も同じようなポーズで甲羅干しをしてるのでおかしい。


 ティナちゃんがティルダ王女と一緒に砂浜を駆け回っていた。

 子供は無限の元気があるよねえ。


 私も水中眼鏡障壁を掛けてドボンと海に潜った。

 おお、さすがの透明度だぜ。

 海竜モードのドリン君が寄ってきて鼻面で背中を押してくれた。

 一緒になって泳いでいると、魚が逃げて行って綺麗だなあ。


 波間に浮かんで空を見上げる。

 ああ、このまま夏休みが終わりませんように。


 浜辺に上がり、厨房テントに寄ってオレンジジュースを貰ってテーブルで飲む。

 子供達もちょこちょこ寄ってきてジュースを飲んでいた。

 気が付くとカロルが隣で収納袋の作業をしていた。

 やっぱり働き者だなあ。

 アンヌさんが冷えたお茶をカロルの前に置いた。


「そういえば、また契約が要るのかい、カロル」

「あ、コリンナ、そうなのよ、水中眼鏡をガラスとスライムゴムで作ってオルブライト商会で売り出すわ」

「おー、それは売れそうだね」

「バカンスが終わったら、オルブライト商会と聖女派閥でロイヤリティ契約を結んでおいて」

「わかった、これも儲かりそうだな」


 わりと水中眼鏡は売れそうだ。

 というか、まだ無かったんだねえ。


「マコト、また婆っちゃの所に行ってアイス液を買おう」


 アイス中毒ドラゴンがやってきおった。


「もう、あんまり行っても迷惑じゃないかなあ」

「アイスは毎日でも食べたい!」


 そういや、オレンジジュースを凍らせたらシャーベットだな。


「ジュースを凍らせたらどうかな」

「なにっ!」

「何……」


 アダベルとエルマーが同時に反応した。


「やってみるか、エルマー」

「そうだねアダベル……」

「そういや、ジュースを缶で買っていた」


 私は牛乳缶に入ったオレンジジュースを収納袋から出して二人に渡した。

 二人はアイステントに入り、冷凍缶にオレンジジュースを入れて、外側に氷をざくざく入れて、アイスブレスで冷やし始めた。


 しばらくすると、子供達がアイステントの前で並び始めた。

 あはは、みんなアイス好きだなあ。


 できあがりを見て、アダベルが首をひねっていた。

 エルマーがスプーンでシャーベット状のオレンジジュースを搔きだしてお皿に入れた。


「おお、しゃりしゃりー、おおおお、冷たくて甘ーいっ!」

「甘酸っぱいっ、ミルクアイスよりさっぱりしてるね」

「ショリショリしてるー」


 アダベルもお皿にシャーベットを山盛りにしてワシワシとかき込んだ。

 氷竜だから、頬張っても頭がキーンとしないらしいのよね。


「ショリショリでなかなか美味い!」

「うん、美味しい……」

「婆っちゃのアイスの方が美味しいけど、これも簡単で良いな。マコト、このジュースは?」

「マリーテで買ったよ。マンゴージュースとかもあったから試してみれば」

「おお、それは美味しそうだ、明日行こう、エルマー」

「そうだね、アダベル……」


 すっかり氷菓コンビが仲良くなっているなあ。


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― 新着の感想 ―
凍る温度や材料、製造工程もアイスクリームよりシンプルなはずだけど、どのみち安くはないからシャーベット普及してないのかな。かき氷も無いのかしら。アイスクリームと同じく食べ過ぎ注意ではある。
『ああ、このまま夏休みが終わりませんように。』 光魔法の暴走でエンドレスエイトいけるかも。ファイト!!٩( 'ω' )و 「エルマー」 「そうだねアダベル……」 仲良し!!(=´∀`)人(´∀`=…
>すっかり氷菓コンビが仲良くなっているなあ。 どんな関係性に育っていくのだろう。 私、気になります!
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