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第1442話 山岳のヴァーレー料理

 シルビアさんは凄い剣客であるんだけど、殺伐とさせるだけではなく、ふんわりと場を和ませる事が出来る。

 性格的というか、なんかおおらかな感じからくる大物感だろうなあ。


 総本山の聖女シルビアと、アップルトンの女剣豪シルビアは笑い合って和やかな雰囲気を作った。

 私らも別にレストランにご飯を食べに来たのであって、喧嘩しに来たわけではないので、雰囲気が変わったので、スススと個室に向けて移動した。

 シルビアさんが、向こうのシルビアさんに会釈をして、二つの聖女グループは別れたのであった。


「ありがとう助かったよ」

「まあ、聖女がレストランで殴り合いの喧嘩ってのもいけ好かないからなあ」

「しねーし」


 個室に着いて、ゆりゆり先輩の指定で席についていく。

 といっても、子供達もいるから、それほどきちんとした席次ではない感じ。


 給仕さんがメニューを持ってコースの説明をしてくれた。


「ラクレットと山の幸のコースでございます。メインのラクレットチーズをかけた、お野菜とソーセージ、炙り肉のグリルをお出しいたします。サラダ、パン、スープと盛り沢山なコースとなります」

「それでお願いします」


 私が領袖なので、決定は私なんだよね。

 ラクレットチーズがメインのコースと頼んでおいたので、楽しめそうね。

 子供達はチーズが好きだしね。


 派閥員が口々にワインを頼んでいるね。

 チーズがメインだから白が基本よね。


「私も食前に白ワインを、後で冷たいお茶を出してください」

「かしこまりました」


 子供達は一律にお茶だね。

 カロルとコリンナちゃんも白ワインを頼んでおった。


 最初にサラダとパンと、具だくさんのスープが運ばれてきた。


「いただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 パクリ。

 おお、なかなか不思議な味わいのスープで美味しいね。

 わりとアップルトン風味の味がするね。

 料理文化圏が似てるのかも。

 アップルトンの東北部でもラクレットチーズ料理やってるしね。


「チーズはまだか」

「すぐ来るよアダちゃん」


 アダベルはこらえ性が無いよねえ。


 ソーセージとかジャガイモ、炙り肉とかが乗ったボールがそれぞれの前に配膳された。

 その上に、火魔法で炙られたとろとろのラクレットチーズが雪崩のように掛けられた。

 子供達が歓声を上げた、私たちもちょっと声が出たね。

 思ったよりも大量にチーズがなだれ落ちる。

 良い匂いだ。


 ボールの上でチーズがふつふつと溶岩のように沸騰しているね。

 美味しそうだ。

 フォークでソーセージを切って大量のチーズと共に口に入れる。

 あふあふっ!

 これは、美味しい!

 口の中にチーズの風味が一杯に広がって、野趣あふれるソーセージの味と絡まって美味しい。

 チーズフォンデみたいなんだけど、もっと野蛮な感じで美味い美味い。


「熱々、でも美味しいわね」

「ワインで口を冷やしながらいただくと美味しいですわ」

「あ、確かに美味しいわね」


 うん、魔導都市をおん出てヘリザウに料理を食べに来て正解だったなあ。

 こっちの街の方が料理が抜群に美味しいや。


「美味い美味い、チーズが美味いぞ」

「ジャガイモもお肉も美味しいねえ、アダちゃん」

「山の街の不思議な料理だなあ、美味しい美味しい」

「このチーズ、ホルボスで作れないのかなあ」

「というか、ホルボスは酪農やってねえし」

「あ、そうだった」


 守護竜牧場なら作れるかもだけど、あそこのチーズは別のベクトルで品質が良いからねえ。

 ラクレットチーズはとろとろがよろしいのだ。

 うまー。


 パクパク食べていたら、結構お腹に溜まるね。

 チーズの量が半端無いからしょうがないとも言えるけどね。

 ボールの中のチーズを平らげるとお腹はいっぱいになった。

 アダベルが足りないと言って、子供から食べ残しを貰って食べていた。


 食後にはミニケーキとヘリザウコーヒーが出た。

 味わい深くて香ばしいお茶だな。


 いやあ、満足満足。

 美味しかったなあ。


「凄いチーズだった、また来たい」

「そうだねえ、美味しかった」


 子供達にも好評だったようだ。


「いやいや、遅れてしまったよ、シルビア、すまないね」


 そう言いながらガマガエルっぽい法衣のお爺さんがドアを開けて入って来た。


「ス、スカラッティさま、こちらは違います、ご案内いたしますよ」

「お、おおっ、これは失礼したな、学生さん……」


 スカラッティって爺さんがこちらを鋭い目で睨んだ。

 こいつはあれだ、ベルモントの上役だな。


「爺さん、ベルモントが帰ったら伝えておけ、冬に挨拶に行くってな」

「貴様っ!! 平民の分際でっ!!」

「スカラッティさま、困ります、こちらへ」

「そ、そうか」


 爺さんはこちらを憎々しげに一瞥するとドアから出て行った。


「総本山勢で一悶着あるかな」


 カーチス兄ちゃんがコーヒーを飲みながらぽつんと言った。


「どうかね? 兵力を山岳都市に上げているとは思わないけどね」


 というか、山岳都市の教会は総本山系なのか?

 たしか、大神殿派閥だと思ったのだが。


「まあ、攻めて来たら撃退するだけだ」

「おまえ、それ、聖女様のセリフじゃあねえよ」


 コリンナちゃんに突っ込まれた。

 まあ、そうだね。

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― 新着の感想 ―
まあ昔の記憶というか記録が確かなら聖女と飛行艇は戦う存在だからな。そもそもリンダさんが突撃して本山の幹部やら人工聖女達が無事とは思えないしな。あの人サーチ&デストロイだろうし。
でも実際のとこ現時点では、マコっちゃんの『来るなら潰す』のスタンスはなんも間違ってないのよね もちろん挨拶やらで乗り込む時は別だけど、そもそも向こうが一方的に見下して、敵視してきてるんであって、マコっ…
総本山のベルモントさんの上司ですか。 冬には悪魔に乗っ取られてそう。 大神殿でおつとめ中の従魔経由で早めに情報取った方がよいかも。 ♪悪魔の力〜 手に〜入〜れた〜 ベル〜モ〜ント〜♪ ※ 第六章 …
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