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第1437話 魔導都市ヒッパリオ

 蒼穹の覇者号は一路魔導都市を目指して高高度飛行をしている。

 魔導都市のある場所はだいたいスイスぐらいの山の中だな。

 魔導の材料の鉱物資源が多い山に魔法使い達が住み着いて街となり、大学が出来て学術の魔導都市になったのだ。


 蒼穹の覇者号が高度を落とすと、山の峠にへばりつくように尖塔がニョキニョキ生えた魔導都市が見えて来た。


 私は伝声管の蓋を上げた。


「こちらは、コールサイン547498、聖心教所属、蒼穹の覇者号です。ヒッパリオ管制塔、着陸許可をおねがいします」


 しばらく待ったが返事が無い。


「最近、飛空艇の文化が途絶えているからねえ。管制塔も生きて無いのかも」

「魔導都市なのに、飛空艇来ないのかね?」

「街の東に……、駐機場っぽい場所……」


 確かに駐機場っぽい空地がある。

 管制塔っぽい建物もあるが、なんだか寂れてる感じだなあ。


「適当に着陸させましょう、問題があれば何か言ってくるでしょう」


 カロルは駐機スペースにふわりと蒼穹の覇者号を着陸させた。

 駐機場のゲートも開きっぱなしだし、勝手に街に入っていいのかな?


 私は船内伝令管の蓋を開けた。


「お知らせします、こちらは艇長のマコト・キンボールです。ただいま目的地、魔導都市ヒッパリオに到着いたしました。皆様押し合わずに整然と下船をお願いします」


 ラウンジとスイート客室の派閥員がどやどやと歩いて来て、タラップを踏んで下船していった。

 メイン操縦室の子供達や従魔も下船していく。


 私はディスプレイで船内に人が残って居ないか確認したあと、メイン操縦室から出た。


 タラップを踏んで地上に下りると、なんだか肌寒い。


「山の上だから、夏用の服だとちょっと寒いね」


 カロルが外套を出して着込んでいた。

 私も収納袋からパーカーを出して羽織る。


「おお、山の上は涼しい! そして雨は居ないな、うんうん」


 アダベルが涼しげな格好でいた。


「アダベル、あんた、もうちょっと着なさいよ」

「別に着込んでも鱗の変化だから、特に快適という訳ではないのだ」


 ああ、ドラゴンの服は見た目だけなのか。


 子供たちの服もなるべく暖かいカーディガンとかを引っ張り出して着せた。

 風邪引いたら困るしね。


 飛空艇駐機場から街は壁が無くて、直通であった。

 街の壁があるのは街道沿いだけみたいだね。

 船の後部ハッチを開けるとヒューイが出て来た。

 乗るのも何なので子供達をヒューイの鞍に乗せた。


 街に入ると、なんだか魔法使いっぽい人達ばかりが歩いていた。

 さすが魔導都市だな。

 大学があって学生の街でもあるので若い魔法使いが多い感じだね。


「おろ、アップルトンの魔法学園の制服だ」

「本当だ、こんちは、夏休みの旅行なの?」


 女子大生っぽい二人組の魔女に声を掛けられたぞ。


「こんにちは、観光旅行だよ、お姉さん達は魔法学園のOG?」

「OGOG、懐かしいなあ、学園出てこっちに留学だよ」

「すばらしい、我が校の誉れですね」

「あはは……、あ?」

「え? ケビン王子?」

「違いますよ、私はただのちりめんの産地の御曹司ですよ。王子とは他人のそら似です」

「そ、そう……、というか、聖女さんも居るし」

「聖女派閥の観光旅行よ、南の島でバカンスしてたらハリケーンが来たので、嵐避けで観光です」

「そうなんだー、というか、南の島から相当遠いけど」

「飛空艇があるので」

「そうかー……」


 OGのお姉さんたちはなんだか引きつっていた。


「もしよかったら、魔導都市を案内してくださいませんか」


 カロルがそう言うと、OGのお姉さんは顔を見あわせた。


「んまあ、王子さまとか、聖女さまを無下にすると将来罰があたりそうだからいいよん。私はデボラ」

「私はヴァネッサだよん」

「バラチェ伯爵家とゲット子爵家の紋だな」

「……、宰相の家の人の気がする」

「いや、他人のそら似だ」

「さ、さようですか、マクナイト様」


 アダベルが前に出て来た。


「何か楽しい所は無いか」

「あまり子供が楽しい所は無いかなあ」

「残念無念」

「でも山は涼しくて空が青いし、宝石とか一杯売ってる」

「色んな街があるのねえ」


 孤児達や村の三馬鹿、トール王子とティルダ王女を見て、お姉さんズはほっこりした表情を浮かべた。


「まあ、まずは魔導大学かな」

「そうね」


 お姉さんズは私たちを誘って街を歩き出した。

 青い石造りの町並みでとても綺麗だな。

 ウインドウには貴石や魔導原料などが売っていて面白いね。

 カロルがとても目をキラキラさせて街を見ていた。

 やっぱり将来は魔導大学に進みたいのかな。


「錬金術も魔導都市は強いんですか?」

「そうね、結構やるけど、錬金術はファルンガルド大学が強いかな」

「やっぱり錬金の本場だしね」


 カロルの領の大学が一番錬金は強いのかあ。


「カロルは留学しなくて済むな」

「そうね、コリンナ」


 デボラさんが話を聞いて眉を上げた。


「オルブライトさまですか、これはこれは」

「あ、ええ、まあ」

「デボラ……、あの美少年……、クレイトンさまだわ」

「え……、なにこの集団」


 よく考えたら現代のアップルトン魔法関係者の上澄みばっかり居る派閥なんだよなあ。

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― 新着の感想 ―
他人の空似でゴリ押す気満々であるww
筆頭みたいなおまゆうだな 子供は楽しめないしカロルは行かないのならあまり観光以外の楽しみは少ないのかな?いや山の上の魔道都市だしパラグライダーで空を飛ぶとかは無理かな
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