第1434話 島に戻って勉強会
一足先に蒼穹の覇者号はヤクシム島の浜辺に着陸した。
ヨット組はまだ着いて無いね。
メイドさん達が荷物を背負って厨房テントに運んで行った。
彼女らは晩ご飯の準備であるな。
カロルとヒルダさんがテーブルに着いて収納袋作業を始めた。
ヒルダさんは布地を縫って袋を作って持ち紐を付けた。
オーソドックスな収納袋だね。
そこにカロルが魔法陣を書いた人食い樹の胃袋を縫い付けて完成である。
「はい、マコトの五十五号、上がったわよ」
「わ、ありがとう、早いね」
「うん、沢山作らなきゃだから、さっさと作業しないとね」
なんというか、働き者だなあ。
私はテーブルに着いて、元の二十号袋から五十五号袋に荷物を移動させた。
というか、色々な物が入ってるな。
聖剣フロッティとか、植物紙ノートが沢山とか。
教科書とか文房具も一揃い入ってるしなあ。
ソバボウロも入っていたので、もしゃもしゃと食べた。
先週買ったやつかな。
テーブルに広げておいたら、カロルとかヒルダさんがポリポリと食べていた。
二十号が空になった、この収納袋はコリンナちゃん行きだな。
私はスカートの下に五十五号を吊した。
サマードレスにも引っかける輪が付いてるんだよね。
海で遊んでいたコリンナちゃんが上がって来た。
紺の水着だが、体の起伏がないよなあ、この子。
「マコト、お帰り、早かったね」
「思ったより早く済んだのよ、はいこれ」
「なにこれ」
「収納袋、二十号、サーヴィス先生のお下がり」
「うお、いいのか、そんな大きいの」
「私は五十五号で時間停止付きのレア袋が今できたんだー」
「そりゃいいね、ありがたく使わせてもらうよ」
「銀の小型弓が入るから、日常的に弓持ってられるから便利よ」
「あー、それは確かに」
「武器は手元にありませんとね」
ヒルダさんがウエストポーチを作りながら笑って言った。
五十五号の新型は元の二十号の荷物を入れても半分以上容積が余っていて快適であるな。
だいたい大型リュック二つ分ぐらいの容量があるのでとても助かるね。
うひひ。
せっかくノートとか出したので、夏休みの宿題をちょっとやろうかな。
カロルと同じテーブルに着くと、コリンナちゃんが大型鞄から荷物を出して収納袋に入れ始めた。
「おお、なんでも入る、これは良いね」
「なんか、実際に使うと世界が変わるグッズだよね」
「うんうん、あはは、これは良い」
それで、彼女もノートを出して夏休みの宿題をやりはじめた。
あはは、真面目だなあ。
なにげにみんなで夏休みの宿題を始めて、海で遊んでいるのは、子供達と剣術組ぐらいであった。
「あんたたちは宿題やらなくていいの?」
「え、宿題はまあ、夏の終わりにやるもんだ」
「なるべく後でやるみょん」
「黙ってさぼれば怒られない」
カトレアさんの性根が腐ってやがるな。
豪傑の剣術組と、子供以外は、なんとなく夏休みの宿題をやっていた。
カロルとヒルダさんはせっせと収納袋の生産であるな。
「ごはんですよ~~」
マリオンさんが皆を呼んだ。
なんだかバターの良い香りがするね。
みんなは勉強用具を片付けて、厨房テントの近くのテーブルへと移動する。
「今日の晩ご飯は、スズキのバターソテー、オニオンサラダ、根菜スープ、白パンです」
おお、美味しそうだねえ。
スチールのトレイにお料理を乗せてもらい、カップスープを載せてテーブルに移動する。
このスズキを買うために漁船待ちしてたのね。
アダベルとかトール王子とかの釣り組には、なんかの魚のフライが付いていた。
釣った奴を料理してもらったのかな。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリ。
んー、バターでソテーしたスズキの味わいが深くて美味いねえ。
香草も散らしてあって不思議な味わいだなあ。
やっぱりマリオンさんはお料理上手いね。
私の足下でマメちゃんが煮こごりをワシワシと食べていた。
「人の料理は美味いなあ」
「そうだろう、ドリン、美味いんだ」
なぜアダベルが誇らしげなのだろうか。
あと、バリバリと食べているのは鰺フライっぽいな。
釣り組のオマケはなかなか良いね。
根菜スープもしみじみと美味しいね。
「剣術組は明日からどうするの?」
「近場の迷宮を一個ずつ潰していくかな」
「私はどうしようかな」
「ヨットで釣りしようぜ、マコト」
「どうするかな」
迷宮行っても良いし、魚釣りも楽しそうだし。
【明日は大嵐が来ますよ】
「え、またワイバーンでも群れてるの?」
【いえ、ハリケーンが発生して北上中です】
ああ、南方だから台風もあるのかあ。
「ヨットは駄目か、エイダ」
【避けた方がよろしいかと】
「ここら辺のハリケーンは激しいからなあ、明日からか」
シルビアさんがしみじみと言った。
嵐でテントが吹っ飛ばされると厭だな。
一度、船にテントを収納して、嵐が過ぎてから再設置した方がいいかもね。
よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。
また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。




