第1433話 お昼は開陳亭で食べる
「お弁当買っておいたんですが、迷宮を出ちゃいましたね」
「どこかで食べれないかな」
「開陳亭の弁当ですから開陳亭で食べますか。飲み物も頼めますし」
ということで、迷宮の外に出て、開陳亭に入った。
「マスター、予定が早まって昼前に探窟が終わってしまったんだけど、弁当ここで喰っていいかい?」
「ああ、かまわねえよ、エールでも取ってくれや」
「ありがとうね、マスター」
結構な人数だったので、お弁当も多いのだ。
キャンセルすると困るだろうから食べていったほうがいいね。
みんなでテーブルに着いて、お弁当を貰う。
サンドイッチにソーセージで美味しそうだね。
ウエイトレスが、飲む人にはエール、飲まない人にはお茶を配ってくれた。
もしゃもしゃとお弁当を食べる。
暖かいスープも付けてくれてありがたいね。
「思ったより早く素材が揃ったな」
「明日からはバカンスだけだね」
「俺らは近所の迷宮に行くかな」
カーチスがモシャモシャ弁当を食べながら語った。
カロルはトーラさんと賃金の精算をしているようだ。
「聖女さまとの冒険ももう終わりですかあ、物足りませんよう」
「まあ、素材がそろっちゃったからね、アリエルさんが居てくれて凄腕パーティと知り合えて助かったわ、ありがとう」
「い、いえいえ、ガドラガ実習は来年の春からですか?」
「そうなるわね」
「トーラ、来年はガドラガに籠もろうぜ」
「えー、ガドラガ? あそこは不便だからなあ」
ガドラガ大玄洞は山の上にあるから物価も高いしいろいろと大変なんだよね。
というか、アリエルさんは来年ガドラガに詰めるのか。
「来年のガドラガの護衛は任せておいてくださいっ」
「あ、はい」
ガドラガには五本指も居るしなあ。
まあ、動かせる知り合いがいると便利かもね。
『約束の大地』は結構実力派のパーティだし。
さて、迷宮探索は今日で終わりである。
協力してくれた『約束の大地』さんに深くお礼を言って、われわれは蒼穹の覇者号に乗り込んだ。
蒼穹の覇者号はエルマーの操縦で空に飛び上がった。
「まっすぐ島……?」
「マリーテに寄ってみましょうか」
「買い物の人達まだ居るかしら」
「もう帰ったんじゃないかな。釣り部の子たちもヨットで釣りでしょうし」
エルマーはうなずいて操舵輪を回し、高度を上げていった。
割と遠い所も高高度航行すると早めに着くわね。
マリーナ上空で高度を落とし、港に向けて旋回して、蒼穹の覇者号用に開けてくれている第三桟橋に着けた。
エルマーは上手いなあ。
ピノのラインをたぐると、セルジュ君は沖合あたりにいるので釣りしてるね。
買い物のメイドさんはまだ市場かもしれないね。
「さてさて、街を一回りして買い物しますか」
「そうね、メイドさんに行き会ったら蒼穹の覇者号で送ってもいいし」
人員はヨットで動かせるけど、食糧貨物は飛空艇で運んだ方が楽だと思うね。
マリーテの街に上陸した。
港街独特の開放的で明るい雰囲気がするね。
ヒューイも甲板から降りて来て私の横に並んだ。
屋台を覗いたり、ブティックを冷やかしたりした。
剣術組は武器防具屋に引っかかっていたが。
「メイドであれば生鮮市場ですね」
ダルシーが現れて先導してくれた。
迷宮でも一緒に居たっぽいんだけど、戦力が足りてたから姿は現さなかったっぽい。
市場で、大荷物のメイドさんたちを見つけた。
「あ、マリオンさん」
「あら、マコトさま、迷宮の方は?」
「早く終わったから、こっちに寄ってきたんだ」
「それはありがたいです。荷物はヨットより蒼穹の覇者号の方が良いですから」
メイドさんたちが大荷物を背負っていた。
「買い物は済んだの?」
「はい、概ね、漁船が着くのを待っていたんですが、さっき着きまして、旬の魚を買いました」
マリオンさんは身軽だが、王宮メイドだから収納袋があるのだろう。
「釣り組との待ち合わせは?」
「三時にお茶とおやつを食べてみんなで帰るつもりでしたわ」
「じゃあ、みんなでお茶してからヤクシム島に帰ろうか」
「そうですわね」
剣術組が荷物を持って上げて、第三桟橋の蒼穹の覇者号まで運び、船内に積み込んだ。
水上だと荷物を貨物室まで持って行くのが大変なので、メイン操縦室の後ろに積み上げた。
しばらくすると、ヨットも入って来て、シルビアさんと釣り天狗どもが桟橋から上陸してきた。
「おお、マコト、迷宮は?」
「早く終わったのでこっちに来たよ。釣りはどう、アダベル」
「結構つれた、楽しかった」
アダベルはニンマリと笑った。
それはなによりだね。
「じゃあ、みんなでお茶を飲んで、ヤクシム島に戻ろう」
「お茶とケーキ、お茶とケーキ」
私たちは小洒落た喫茶店に入り、お茶とケーキを楽しんだ。
なかなか美味しいお店であった。
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