第1428話 大物人食い樹を倒したぞ~
ランチを食べて食休みである。
障壁を掛けているので安心だね。
「百号狩り、三日間に参加して欲しいなあ」
「是非、聖女さま」
「やだ、めんどうくせえ」
うすぐらい迷宮で三日間過ごすとか、どんな懲罰なのだ。
「百号ですよ百号、素材で一千万ドランクですよう」
「お金はまあ、そこそこあるしなあ」
各種製品のロイヤリティが結構入ってきているのだ。
「さすが聖女さまだ、俗世の欲が無い」
「偉いお方じゃ」
まあそんな事は無いのだが。
『約束の大地』の勧誘をはねのけて、午後の狩りは続く。
結構能率が良くなって来て、十五号から二十号の階層で安定しているな。
ヒューイとか、ライ一郎とかの従魔も役に立つし。
人食い樹を一体倒すと、枝を払い、胴体を切り刻んで胃袋と魔石だけを頂く感じだね。
他の部位はあまりお金にならないらしい。
鉄腕甲虫は、鉄腕部分がメイスに、あとは甲殻が鎧になるそうだが、あんまり高くは無いそうだ。
収納袋素材のオマケだね。
『キュイキューイ』
私の肩にのったピノが洞窟の奥を指さした。
「ん、こっちに何かあるの?」
「そっちは行き止まりですぜ、聖女さん」
「ピノが行きたいってさ」
物は試しと、洞窟の部屋の奥にズンズン進むと、部屋の隅に屈んでくぐるぐらいの穴があった。
「おお、こんな所に抜け穴が、発見だ」
『キュキュー』
ピノが誇らしそうだな。
「わっしが最初に斥候しまさあ」
トーラさんが穴に入って行った。
「おお、奧は広いですよお」
「マジか、未発見通路かよ、何十年ぶりだ?」
「ピノは偉いね、ヨシヨシ」
『キュウキュウ』
ピノが誇らしそうに胸を張った。
狭い通路を一人ずつ屈んで通っていく。
しばらくすると広いホールにでるな。
「結構広い。奧に大物がいるかもしれやせんな」
「二百号!?」
「いや、そこまではさすがに」
ちえ、体育館ぐらい物が入る収納袋をくれよう。
こちとら聖女様だぞう。
ヒューイが穴に詰まりそうだったがムリムリ通って来た。
光球を打ち上げて見通しを良くする。
おお、結構人食い樹が……。
おおおおお、すごい大きい人食い樹がいるなあ。
大物だ。
「おおっ、聖女さん、五十号クラスが居ますよ、ついてやすなあっ」
「マコトの袋を更新して今の袋をコリンナに上げましょうよ」
「そうだね、五十号は良いね」
とらぬ人食い樹の胃袋算用だな。
とりあえず、このホールには、十五号二匹、二十号一匹、五十号一匹という感じだ。
大もうけだな。
とりあえず手前の十五号二匹から倒して行く。
ヒルダさんが前に出てアラクネ糸で腕を落とした、カーチスとエルザさんがもう一匹に襲いかかり、一瞬で倒す。
カトレアさんとコイシちゃんがヒルダさんの後を繋いで足と脳を撃ち倒す。
十五号終了。
『約束の大地』パーティの全員が学生に負けるか、というかんじに全員で二十号に掛かっていく。
戦士が斧を使っているからダメージがでかいね。
土魔法で土台を崩してひっくり返し、アリエルさんが槍で急所を突いた。
良い感じに二十号も瞬殺。
さて、大型の五十号だ。
こいつには五匹の鉄腕兜虫も一緒についていて結構厄介だな。
「カーチス、エルザさん、カトレアさん、チャージする」
「おう」
「ええ」
「たのむ」
寄ってきた三人の聖剣にタッチして光魔法をチャージする。
これで、十全に聖剣の力を使える。
私も収納袋から普段使いの聖剣フロッティを取りだし抜いた。
《主よ、乗れ、突撃!》
「よし!」
私はヒューイに飛び乗った。
マメちゃんが影から飛び出て併走を始めた。
ドカーン!!
ヒューイは大型人食い樹に体当たりをかました。
ぐらりと巨体が揺れた。
さすがはでかいから強そうだな。
私は近場の鉄腕兜虫を一匹叩き斬った。
マメちゃんも兜虫に飛びつき吹き飛ばした。
小さいけどマメちゃんはパワフルだな。
ヒューイが振り返りながらブレスを吐いた。
火が大型人食い樹の片腕を焼く。
バババババと人食い樹が体を震わすとトゲの付いた実が無数に振ってきた。
無詠唱で障壁を作り、跳ね返す。
エルザさんがリジンの高速モードで接敵し、飛び上がって片目を切りつけた。
「ホウズ光臨!」
『おうよ!』
ホウズの光の剣が人食い樹の片腕を斬り飛ばした。
「トーラどの、弱点はどこだ!」
「目と目の間だなす!!」
「よし、いくぞ、エッケザックス!!」
エッケザックスの刀身が二つにバクンと割れてビーム発射機構に光が集まり始めた。
「斉射!!」
狙い違わず、エッケザックスのビームは大型人食い樹の目と目の間の弱点を撃ち抜いた。
一瞬、ブルリと体を震わせると人食い樹は動きを止めてゆっくりと倒れた。
「「「「うおおおおお!!!」」」」
五十号の人食い樹、採ったど~~!!
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