第1427話 オルゲート迷宮で素材を採りまくる
「ドリン、ズボンを履け、迷宮で海パンは涼しすぎる」
「そうか、カーチス。これか、ありがとう」
セクシーブーメラン海パンのドリン君にカーチス兄ちゃんがズボンを貸した。
よし、これでセクシーが収まったぞ。
「じゃあ、僕たちは観光してきます、聖女さま」
「あいよう、迷宮都市はガラが悪いから気を付けてね」
「ガラが悪いのか」
「そりゃ冒険者が一杯だからな」
「あぶないあぶない、俺らは目を付けられないようにしないと」
「ははは、君たちは私が守るから大丈夫大丈夫」
甲蟲甲冑を着て兜だけ脱いだアイラさんが胸を張って請け負った。
トール王子とティルダ王女と村の三馬鹿だからなあ。
もめ事に弱そうだ。
アイラさんはガラリアさんよりは武闘派だから頼りになるだろう。
ちょっと甲蟲甲冑は目立ちすぎだが。
私たちは冒険者ギルドに入り、酒場に居るはずの『約束の大地へ』さんたちを探した。
「聖女さま、こっちこっち!」
アリエルさんが満面の笑顔で手を振った。
『約束の大地』さんたちが全員座って朝飯を食べていた。
「お、新顔がいる……、というか綺麗だなあんた」
「そうかい、ありがとうよ、可愛い姉ちゃん」
「ほわわわ」
シーフのトーラさんがドリン君にメロメロにされたぞ。
あ、ズボンは履いたがパーカーの下が素肌だ、隠れセクシーか。
「私も新顔だぞ、女!」
「なんだあ、ちびっ子め、街の観光でもしてろー」
「貴様あ、王都の守護竜さまに何と言う口の利き方かっ!」
「え?」
「ちびっ子守護竜なのよ」
「え?」
トーラさんの目が泳いだ。
「すいませんでした、守護竜さまっ」
「わっはっは、解ればよろしい、私は寛大な守護竜だから、お前を許すぞ、シーフ」
アダベルが、ものっそい偉そうだなあ。
トーラさんはペコペコしていた。
「さあ、一狩り行こうよ」
「「「「おうっ」」」」
《おうっ!》
みんなでぞろぞろと迷宮の入場券を買って中に入る。
わりと人数が多いから一連隊だな。
低層階は『約束の大地』の戦士さんが若木の人食い樹をえいやと投げ散らしながら進む。
お、ずいぶん小さい人食い樹が居るな。
私の手の平大だ。
ヒューイから下りて、ちびっ子人食い樹をつまみ上げた。
おお、手に噛みつこうとする、なかなか凶暴だな。
「そんな小さな奴だと一号にも行きませんよ、聖女さま」
「いや、素材じゃなくてさ。おい君、一緒に来るか」
『きゅる?』
「可愛いやつめっ、お前の名前は『ピノ』だ!」
『きゅうううい!!』
『ピノ』の脳に魔力線を繋いだ。
奴は痺れあがって喜んでいるな。
「領袖、テイムしたんですの?」
「うん、街の観光組に付けようと思って。従魔が一匹いれば状況が解るから」
「わんわんっ」
私を使いなされっ、とマメちゃんが暴れてピノに噛みつくが、ピノの外皮は硬いのか、あまり痛く無いようだ。
というか、マメちゃんがガジガジ噛みながらうっとりしはじめたな。
よしよし、仲良くしろよー。
「人食い樹ってテイムできるのかあ」
「聖女さまだからだろ」
「それもそうか」
階をどんどん下がって行き、十階を越えると、人食い樹や巨大昆虫たちが大きくなってきた。
まあ、みんな強いから、あまり苦戦しないし、アダベルがホーリーアイスブレスで凍らせたり、ドリン君が海水ブレスで吹っ飛ばしたりしてくれた。
ドラゴン達の攻撃は大雑把だな。
ペペロンは影空間に人食い樹を引き込んだり、影ブレスで粉砕したりしていた。
わりと素材が取れるな。
午前中でももう、十五号が四個、十号が二個、二十号が一個出た。
昨日は四個出したから、全部で十一個か。
大漁大漁。
「しかしみなさんお強いですな。人食い樹は外皮が硬いからなかなか時間が掛かりますのに、ほぼ一撃ぐらいで倒しますな」
「まあなあ、聖剣だし」
「聖剣を持って狩りってのが規格外よね」
「ちげえねえ」
ちげえねえ。
ヒルダさんも前に出て戦う。
というか、アラクネ糸だと普通に人食い樹をバラバラにできるな。
切れ味凄いぞ。
カロルはチェーン君も出しているけど、大体は倒した人食い樹の解体をして、素材の胃袋を採りだしている。
「うふふ、二十号二十号」
楽しそうだ。
地下十二階にちょっと開けた所があって、トーラさんとアリエルさんが収納袋からみんなのお弁当を出して並べてくれた。
「さあ、開陳亭のお弁当ですよ。時止めの袋だから、まだ熱々です、聖女さま」
「おお、時止め! でもお高いんでしょう?」
「時止めが着いた収納袋は普通の十倍はしますね、オークション案件ですよ」
さすが、地元パーティはレア収納袋をもっているなあ。
ここは岩場で、大きなテーブル状の岩の上でお弁当を頂いた。
ダルシーとアンナさんが、ケトルでお湯を沸かし、お茶を入れてくれる。
うーん、地の底だけど、お弁当が美味しいなあ。
観光組もちゃんと食べているかな。
アイラさんと何か良い物を食べていて欲しいね。
人食い樹や鉄拳兜虫などが襲って来たが、お腹がくちくて撃退が面倒臭いので障壁を作ってそこで食休みとした。
「うわあ、頑丈な障壁ですね」
「マコトの得意技なのよ」
「障壁張れると安全地帯になるから良いですな。泊まりがけでも良く休めそうですよ」
うひひ、そんなに褒めちゃ駄目だぜ。
照れちゃうよ。
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