第1424話 夜半の海竜が増えておる
海で遊んで日も暮れそうで、晩ご飯であるよ。
今日も愛想の無い鉄製プレートに、ステーキが二枚、白パン、魚のスープ、ブロッコリーサラダが乗っている。
「なんでお肉二枚?」
マリオンさんに聞いて見た。
「守護竜牧場のお肉とオルゲート牛の食べ比べです」
「なるほど」
婆っちゃの所の牛肉と食べ比べると違いが凄く解りそうだなあ。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリ、モグモグ。
うん、お昼に食べたオルゲート牛のどっしりとした味わいだ。
パクリ。モグモグ。
おー、おー。
これは凄い、やっぱ婆っちゃの牧場の牛は凄いのが解る。
オルゲートの牛も良い感じなんだけど、なんだか水準が違うね。
「婆っちゃの所の肉、うめええええ、オルゲートもなかなかだけどなあ」
「本当に味わいが違いますわね」
「どちらも美味しいですわ。幸せ」
暮れて行く夕日の中、晩餐を食べていると、まるで昭和のテレビ洋画劇場のOPに紛れ込んだようであるよ。
海がキラキラして雰囲気あるなあ。
さて、晩餐も完食だ。
鉄のプレートとカップを厨房テントに戻していく。
メイドさんが流しで洗い物をしているね。
「マリオンさんはお料理上手いですね」
「あら、嬉しいですね聖女さま」
王城メイドさんだからね、いろいろと高水準なのだろうなあ。
食後はデッキチェアで海を見ながらまったりする。
夜風が涼しくて良いねえ。
「みんな今日は温泉は?」
「いやあ、今日はシャワーでいいかな」
「毎日温泉はねえ」
なんだよう、へたれるなあ。
でもまあ、シャワーでも良いか。
女子は船のシャワー、男子は浜辺で水のシャワーだ。
今日は私が最後にシャワーに入ろう。
子供達がメイドさんに連れられて船のシャワーに向かった。
三つしかシャワーブース無いからなかなか順番が回ってこないのよね。
カロルがテーブルで何か作業をしていたので、光球を打ち上げた。
「わ、明るい、ありがとうマコト」
「収納袋?」
「そうそう、剣術組の袋は早く作ろうと思ってね」
「助かるみょんよ」
「まずは殿からだな」
「思ったより簡単に素材が集まりそうだね」
「簡単って、マコトお前、聖剣が四本投入されてるんだからよう、普通の学生パーティの戦力じゃないぞ」
「そりゃまあ、そうか」
「あと、エルマーも、カロリーヌも凄腕だし、マコトも居るしよ」
「聖女派閥フルメンバーなら何の心配もないみょんな」
「うむ、オルゲートの底の二百号の巨大人食い樹も狙えるだろう」
そんなやっかいそうな相手はやだな。
つうか、二百号かあ、ちょっとした倉庫並の収納力があるのだろうな。
ヒルダさんがお財布収納袋から厚手の生地を出してハサミでカットしはじめた。
なにをしてはりますのん?
「せっかくですから、領袖のデザインした腰鞄を試作しますわ。カロリーヌさまが収納袋の制作が終わったら内蔵しましょう」
「そ、そう……」
なんだかちゃきちゃき作ってる~~。
チャックは無いのでボタン式だけど、サクサク作れるね。
「お、良いな、外にポケットもあるんだな」
「コイン入れにもなりますよ」
さすがは糸使い、針を出してすいすい縫ってるね。
カロルの方の製作も出来上がりつつあるのか、手近な石を入れたり出したりしてるな。
ヒルダさんがサクサク作ったウエストポーチにカロルが収納袋本体を縫い付けて、出来上がったっぽい。
「はい、カーチス、二十号の収納袋よ」
「おー、これは良いな」
カーチスはできたてほやほやの収納袋を腰に付けてご満悦だ。
「ホウズも入るかな」
『やめろ、収納袋の中は嫌いだ、暗い』
「そうかー、それは残念だ」
「殿、剣を袋に入れると咄嗟の時に困りますぞ」
「剣以外を入れるみょんよ」
「それもそうだな。ヒルダ先輩、カロリーヌありがとう、大事に使わせてもらうぜ」
「いえいえ」
「使い勝手を後で教えてくださいね。改良点などが在れば量産の時に反映しますから」
量産決定なのか。
日が落ちてもしばらくおしゃべりをしてたが、一人二人とテントに入って行き、私たちも寝よう、となった。
が、その前にシャワーを浴びに船に乗った。
カロルとコリンナちゃんの朝のランニングトリオだな。
外に比べると船内は明るいな。
シャワーブースで汗を流し、体を洗い、髪を洗った。
ダルシーが手伝いたそうにうろうろしていたが、シャワーブースは狭いからな、ダルシーと一緒に入るとパンパンになるから駄目だ。
体を拭いて髪にドライヤーを掛けてもらい、新しい下着を穿いてパジャマに着替えた。
パジャマにサンダル履きで船を下りてテントに向かう。
沖合に海竜がまたいるな。
なんだか、二頭増えて三頭になってないか?
沖合だから、何用かと誰何も出来ないからなあ。
なんで、海竜が来ているのだろうか?
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