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第1423話 ヤクシム島に戻ってヨット組の話を聞く

「私たちも収納袋欲しいぞ」

「頂けるのかしら」

「グレーテ王女とペペロンは帝国の宝物庫から貰いなさいよ」

「人食い樹と戦ったのにー」

「応援しましたわ」


 応援ぐらいで百万ドランク袋を貰おうとはふてえ王女だ。


「まあ、十号ぐらいの奴なら上げるよ」

「やったあ」

「うれしいですわ」

「ポシェット型を作っておきますね、グレーテ様、ペペロン」


 コリンナちゃんがヒルダさんの収納袋を興味深げに見ていた。


「このお財布サイズで中はでっかい袋って簡単にできるの、カロル」

「あまり簡単では……、お財布型に五号の袋を付けて、その収納空間に接続する形で三十号をつないでるのよ」

「入れ子式なので高いですわよ」

「そうかー、お財布型なら目立たないと思ったんだけどなあ」

「リュックの中に仕込むのはどう? 外見はリュックなんだけど、思った以上に品物が入る感じで」

「リュックなら強奪されないかもしれないわね」

「え、手持ちのリュックに付けられる?」

「良いわよ、コリンナは銀の弓入れないといけないから、十五号ね、リュックの内袋みたいに出来るわよ」

「おお、それはいいなあ。リュックだが軽いのは素敵だ」


 下級貴族の娘は色々大変だなあ。

 私もそうだが、私の場合は教会で高位の司祭さまだから、わりと楽だね。


 お洒落組はポーチタイプ、剣術組はウエストバック形が良いようだ。

 鞄はヒルダさんが色々と手配してくれる模様だね。

 楽しみである。

 収納袋があれば迷宮でも大分楽だからね。

 荷物がかさばらないのと、重量が無くなるのはでかい。


 カロルの操縦する蒼穹の覇者号はヤクシム島上空へとさしかかった。

 湾から外にでていたヨットに乗った釣り天狗たちが手をふってくれた。

 結構釣れてるみたいだね。

 操船も上手くなってる感じだ。


 懐かしの浜辺に蒼穹の覇者号はふわりと着陸した。

 さてさて、夕飯まで一泳ぎしようかな。


 船から下りるとヨットも湾に入ってきて浜辺に乗り上げた。


「お帰りっ、迷宮どうだった」

「わりとよさそうよ、四日間ぐらい素材掘りをするわ」

「そうか、二日ぐらいは迷宮に行くかな」

「ヨットは楽しかった? アダベル」

「楽しいっ! 魚を沢山釣ったぞ、晩ご飯はまた魚だ!」


 アダベルとトール王子、村の三馬鹿たちは釣った海の魚をみんなに見せて自慢しはじめた。

 というかカラフルな魚は食べられるのか?


「シルビアさん、ヨット教室ありがとうね」

「ああ、気にするな。明日は迷宮に行くぞ」

「それでは、私たちは明日は海遊びですわね」

「そうですわそうですわ」


 まあ、迷宮門前街って言っても狭いから、二日も三日も観光は出来ないか。

 お洒落組と王家主従は海遊びかな。


「ペペロンたちは明日いつ帰るんだ?」

「いつでも良いけど、まあ、夜かな、ご飯食べて帰るよ」

「そうね」

「じゃあ、夜にアイスをしよう、持って帰ってディーマーに喰わせろ」

「アイスは良いねえ」

「うれしいですわ」


 ドラゴンはアイス好きだな。


 派閥員はそれぞれ水着に着替えて、海遊びを始めたり、甲羅干しをしたりした。

 カロルはテーブルでお茶を飲みながら、魔物の胃袋になんか作業をしているな。

 魔法陣を書いているっぽい。

 エルマーが興味をしめして手伝っておる。


 私は……。


 海が呼んでおるのじゃ。

 

 ジャッパーン!


 ザブザブ泳ぐ。


 ここら辺は海も綺麗だし、砂浜は白くて遠浅だし、良いねえ。

 楽しい、ジャブジャブ。


 アダベルがドロンとでっかい竜に戻って、子供を背中に乗せて泳ぎ始めた。

 いやあ、楽しそうね。

 というか、奴の放った波に私は飲まれた。


 ペペロンも竜になり、グレーテ王女とかお洒落組を乗せて泳いでいる。

 マメちゃんとヒューイが寄ってきて、私と一緒に泳ぐ。

 バチャバチャ。


《海はしょっぱいけど楽しい》

「わんわんっ」

「楽しいね」


 剣術組は浜辺で木剣試合を始めた。

 やつらも元気だなあ。

 シルビアさんが飛びこんでいき、ばったばったとなぎ倒し、エルザさんと切り結んでいた。


 いやあ、海で遊び呆けるのは夏休みっぽくって良いなあ。

 楽しい楽しい。


 魔力探知をしてガラリアさんを探した。

 また藪の中にいるね。


「ガラリアさん、いつもありがとう、これあげる」

「あ、はい、なんですかこれ」

「オルゲートの街で買ってきたサマードレスだよ」

「わああっ、ありがとうございます」

「アイラさんは?」

「テントで寝てます、こ、今夜は奴が歩哨なのでー」

「じゃあ、アイラさんに後で渡してね。それで、ガラリアさんも海で遊ばないとだめだよ」

「いや、あはは」


 何と言うか、甲蟲騎士団の人達は根が真面目だから、あんまり遊ばないのよね。


「バカンスに来てるんだから、ねっ」

「わんわんっ」

「は、はい」


 ガラリアさんは目を細めてマメちゃんの頭を撫でた。

 まあ、暇な時間を作って遊んで欲しいね。


 王家の護衛さんとかも、水着に着替えてジャバジャバ泳いでるし、メイドさんたちも順番に休んでいるようだ。

 護衛も使用人も、バカンスなので遊べ、である。

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