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第1416話 ヤクシム島に戻り寝てしまおう

 温泉に浸かってさっぱりして浴室を出た。

 髪の毛をドライヤーで乾かしてもらって、新しい下着とサマードレスを着込む。

 ああ、さっぱりしたなあ。

 やっぱり夏もお風呂だよねえ。


 ロビーの椅子に座って、みんなが上がってくるのを待つ。

 意外に男子も長風呂だね。


 ライ一郎とヤギ次郎がこっそり私の座っている横に寄り添ってくるのがうっとうしい。

 暑いんじゃ、おまえらは。

 でも、指摘すると悲しそうな顔をするので言えないのである。


 アダベルと孤児院の女の子が出て来て、売店で牛乳を買って一気飲みしているな。

 というか、この世界にもあるのね、瓶牛乳。


 カーチスやケビン王子、ロイドちゃんとか、オスカーが上がって来た。


「いやあ、良い温泉だな、また来ようぜ」

「そうね、でも毎日は面倒かな」

「シャワーでも良い……」


 一応船から温水を引いてシャワーは使えるからなあ。

 一日置きぐらいにするかな。


「良いお湯だったな、ホルボス村の温泉には敵わないが」

「うん、良いお湯よね、アダちゃん」

「地獄谷はちょっとお湯が強すぎるんだよな、疲れる感じ」

「わかるわかるっ」


 なんだか、アダベルが温泉の専門家みたいなレビューを言いだしおった。


 エバンズもホカホカになって出て来たな。


「エバンズは身ぎれいにしないと、お嫁さんが来ないぞ」

「奥さんか、まあ、しばらくは無理だろうな」

「給料を上げようか?」

「いや、まだ不自由は無い、蒼穹の覇者号をいじれるから、それが報酬と言っていいな。大金を貰って、一軒家を買って、お嫁さんを貰うのは、なんだか、飛空艇研究家強度が落ちる気がする」

「しゃ、社会にコミットしなさいよ」

「もう少ししてからだな」


 そう言ってエバンズは満足そうな微笑みを浮かべた。

 まったく、飛空艇オタクだよなあ。

 こっちは助かっているけど、そろそろちゃんとした給料を出した方が良いな。

 財源は教会に出して貰おうかな、蒼穹の覇者号は教会の船だし。

 うししし。


 皆がお風呂から上がったので、夜風に吹かれながら蒼穹の覇者号へと乗り込む。

 コリンナちゃんが名簿を持って点呼しているね。

 子供は紛れやすいから、ちゃんとチェックしないとね。


「明日はシルビア姉にヨットを教わるんだな」

「楽しみだなあ、ヨットは気分が良い」

「ヨットに乗って釣りに行こうぜ」


 釣り天狗たちが、興奮したように喋っていた。

 良いねえ、好きな事があるって。

 シルビアさんも姐御肌で世話好きだからな。


 エルマーが機関士席に座って操舵輪を握った。

 蒼穹の覇者号は離陸していく。


 良く太った月が中天にかかっていた。

 白々と月光が海に反射して綺麗だな。


 蒼穹の覇者号はヤクシム島に到着し、浜辺に着陸した。


 浜辺に下りてみると、潮騒が聞こえて不思議な感じの雰囲気だね。

 子供達は、おやすみなさいと言ってテントに入って行った。

 私はデッキチェアに寝転んで、夜の海を見ていた。

 隣のチェアにカロルが寝転んだ。


「星が降ってきそうなぐらい、綺麗ね」

「そうだね」


 二人で黙って夜空を眺めた。

 色とりどりの星が綺麗だ。

 知らない間に、お互いの手を探して、つないでいた。

 カロルの体温が手の平に伝わる。


 そして手の甲にふわふわの毛並みが……。


 ライ一郎であった。

 そしてヤギ次郎が体を寄せて、ヘビ三郎がデッキチェアに乗ってきおった。


「うがーっ!!」


 私は立ち上がって、ヘビ三郎を蹴り飛ばした。

 まったくもう、コリンヌカルテットはよう。


 カロルは目を細めてクスクス笑った。


「もう、寝ようか」

「そうね」


 せっかくのイチャイチャシチュエーションを猛獣どもに邪魔されて私はイラっと来たが、しかたがない、寝てしまおう。


 私たちはテントに入り、コットの上に体を投げ出した。

 

 ああでも、今日も良く遊んで疲れたな。

 明日は迷宮偵察だな。

 簡単に収納袋の素材が取れれば良いんだけどなあ。


 夜半、おしっこに起きて、トイレに入った。

 うん、トイレテントを張ってもらってありがたい。


 手を洗ってテントに帰ろうとしたら、沖合に何かがいた。


「エイダさん、アレ、何?」

【海竜ですね、わりと大きい個体です】


 ネッシーみたいな奴が長い首をクネクネさせて泳いでいた。

 結構大きそうだな。

 竜モードのアダベルぐらいの大きさがあるっぽい。


「蒼穹の覇者号で倒しに行くか?」


 気が付くと隣にカーチスが居て、海竜を眺めていた。


「今の所無害そうだから、倒さなくて良いかも。こっちに寄ってきて危なそうだったら倒そう」

「ホウズも、リジンも、エッケザックスもあるから、倒せそうだな」

「まあ、魔導機関銃とか、魔導ミサイルとかもあるし、心配はなさそうだよ」

「近づいて来たら警報くれるか?」


 近くの藪からガラリアさんがひょこっと顔を出した。


「ち、近寄ってきたら、い、一報いれますよ、せ、聖女さん」

「うは、今夜も歩哨してくれてるの、誰かに手伝って貰ってちゃんと寝てくださいよ」

「い、いえいえ、仕事ですからあ」


 ガラリアさんは仕事熱心で頭が下がるな。

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― 新着の感想 ―
なにもわざわざ藪の中で「歩哨」せんでもよいでせうに
空気読んでくれや魔獣さんたちよ・・・古式テイムされてんでしょ? まさかの焼餅ではあるまいな
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