第1405話 魚釣りと甲羅干し
この世界には、日焼け止めがある。
なんで在るのかは解らないが、きっと日本から転生してきた奴が作ったのであろう。
ちなみに錬金薬品である。
なので、カロルさんが山ほど収納袋に詰めて持ってきおった。
浜辺にシートを引いてコリンナちゃんが甲羅干しをしていたので日焼け止めを塗ってあげる。
「ひやっ、つめた、でもありがとう、くすぐったい」
「後で私にも塗ってね」
「ああ、私が塗ってあげるわよ」
「おお、カロルが嬉しいな」
「まかせてー」
そう言ってカロルは手に日焼け止めをたらりと垂らしてすり込んだ。
つうか、子供達にもぬりたくらないと、赤く腫れるかもなあ。
まあ、その時は『ヒール』掛ければ良いんだけどね。
「ダルシー、子供達に日焼け止めを塗ってあげて」
「かしこまりました……、マコト様にも塗りたいのですが」
「だーめ、私が塗ります、これ、日焼け止めね、みんなに渡してつかってね」
カロルは腰に吊した収納袋から日焼け止めを木箱で出してダルシーに渡した。
「……かしこまりました」
何か不満そうであるね。
まあ、いいけど、コリンナちゃんの背中に日焼け止めを塗ろう、ぺたぺた。
コリンナちゃんを塗り終わったので、私もデッキチェアに腹ばいになった。
カロルが横に座って背中に日焼け止めを……。
うっは、なんだかくすぐったいというかなんというか、アレだ。
カロルさんがなんだかねっとり塗ってますね。
「あふっ♡」
「ふふふふ」
なんか怪しい雰囲気になってしまうなあ。
「はい、おしまい」
「よし、じゃあ、私がカロルに塗ってあげるよ」
「うん、おねがいね」
日焼け止めを両手の平にたらりとおとして。
ぬりぬり、ぬりぬり。
こう、きめ細やかな肌がですね、官能的だなあ。
肌がスベスベだね。
ああ、波の音、白い雲、さんさんと照らす日差しよ。
ビバ夏休みである。
「塗り終わり~」
「ありがとう、気持ちよかったわ」
「そう、えへへへ」
三人でデッキチェアに寝転んでごろごろしていた。
日差しが強くて熱いけど、気持ちは良いね。
トール王子と、村の三馬鹿、そしてアダベルが釣り竿とバケツを持って通りがかった。
「あら、どこ行くのよ」
「磯の方、釣りをするんだ」
「せっかくの海だからな、聖女さま」
「何が釣れるんだろうなあ」
「地元のシルビアさんに聞いてみなよ」
シルビアさんは……。
あ、浜辺でディックさんと木剣でチャンバラしておる。
近衛騎士筆頭と渡り合えるのは凄いなあ。
「聞いて見るよ、聖女さま」
小僧どもとアダベルはシルビアさんの近くに寄って聞いていた。
シルビアさんも付いて行ってくれるようで、一緒に磯の方に歩いて行った。
「お魚釣れると良いわね」
「晩ご飯のバーベキューで一緒に焼こう。貝とか取れないかな?」
「マコねえちゃん、ここの砂浜凄いよ、ハマグリがいっぱいっ!」
孤児の子がバケツにハマグリ状の貝をいっぱい持って来た。
「わ、凄いね、どうやって採ったの?」
「海底を足でザッザとひっかくと、なんか在るので拾うんだよ」
そうか、ここは無人島だから繁殖しておるのだなあ。
それは良いね。
『オプチカルアナライズ』
ピッ。
「うん、ハマグリ、毒はないみたいよ」
「「「やったあっ!」」」
「お夕飯の時に焼いて食べようか」
「うんうん、楽しみ楽しみ」
そういや収納袋の中にお醤油がちょっとあるな、うひひ、焼き魚に焼きハマグリ、お醤油をちょっと垂らすと美味しいかもね。
厨房テントで、カリーナさんとか、ミーシャさんが何か料理をしているな。
なんだろうか。
「ちょとスープを作ろうと思ってね」
「いいねえ、カリーナさん」
水着のダルシーが貝をテーブルに積み上げた。
「ありがとう、ダルシー、貝のスープになるね」
「いえいえ」
なかなか良い感じだね。
アンヌさんが船からお肉とか、野菜とかを運んで来てカットしはじめた。
そろそろ三時を回ったから晩ご飯の仕込みだね。
エバンズが椰子の木にシャワーヘッドを取り付けて簡易のシャワーを五カ所ほど作っていた。
そうだね、海水は洗い流さないとヒリヒリするからね。
いっちょ浴びるかな。
私は裸足でシャワーの所に行ってハンドルを回した。
ショワーと温水が出て来てびっくりした。
おお、船から温水を引いたのか、エバンズ凄いな。
じゃぶじゃぶと体を洗ってテントに戻り、真っ白なサマードレスに着替えた。
布地がサラサラしていて気持ちが良いね。
というか、それに付けてもビーチサンダルのほしさよ。
本島とかに売ってないかな、サンダル。
テント脇のテーブルに座って海と雲を見ていた。
波の音を聞きながら、ダルシーが持って来てくれたジュースを飲む。
ああ、良いバカンスだなあ。
うんうん。
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