第1403話 海遊び海遊び
テントが張れたー!
近所のテントも手伝って立てた。
子供テントも手伝って立てたよ。
砂浜からちょっと入った木陰にテントがニョキニョキと立っていた。
なかなか良いね。
「さて、それじゃあ、水着に着替えて泳ごうっか」
「そうね、着替えましょう」
「良いですね」
「私は寝てる~」
「着替えなさいよ、ものぐさコリンナめ」
「だり~~」
コリンナちゃんはデッキチェアの上でだるーんと寝転んでいるな。
まったくもう。
テントに入って水着に着替える。
軍用テントで成人男子用なので、わたしらちびっ子は立って着替えができるぐらい天井に余裕がある。
その代わり色がモスグリーンで、ザ・軍用って感じなんだけど、化繊の無い、この世界のテントは大体こんなもんなので文句を言ってはなりませんな。
よし、赤いパレオ付きビキニに着替えたぞ。
ビーチサンダルが欲しい所だけれど、この世界のゴム製品は貴重なので、そんな物は無いのだ。
スニーカーで良いね。
カロルの着替えをじろじろ見ていたら、見ないでって怒られた。
解せん。
カロルの水着は臙脂色でパレオビキニタイプだ。
良く似合っているなあ。
コリンヌさんも着替えていたが、彼女の体は私が産みだしたような物なのであまり興味が無いぞ。
黄色のパレオビキニでたゆんたゆんである。
「さあ、海に行こう!」
「そうねっ」
テントを出ると、コリンナちゃんがすやすやと眠りこけていた。
この女はもう。
「コリンナはいつも忙しくしているから、寝かせておいてあげましょう」
「カロルは優しいなあ」
焼けた砂浜を海に向けてたったと走っていると、子供達がテントから出て来て全速力で海に向かって走り、波に飛びこんだ。
「うっぎゃーっ!! 海海、塩辛いっ、ぎゃー」
「わあ、波、波がすごいーっ」
「たのしー」
子供の楽しみ方は全身全霊で凄いな。
さあ、海に入ろうと思ったら、なんか、違和感がある。
ああ、そうか、準備運動だ。
私は波打ち際で準備運動をした。
ラジオ体操なんだけどさ。
おいっちにおいっちに。
「その体操はなに?」
「準備運動、いきなり海に入ると危ないから」
「へえ、教えてマコト」
「私も私も」
私はカロルとコリンヌさんにラジオ体操を教えた。
二人とも筋がいいね。
体がほぐれたので、さあ、海に入ろう。
浜辺にスニーカーを蹴り棄てて海へと一歩足を入れた。
冷たいっ、そして足の下で砂が流れる。
あはは、良いなあ。
この島の砂浜は遠浅になっているっぽい。
良い海水浴場だね。
深い所まで足を運んで、ざんぶりこと海の中に入り、泳いだ。
いっひひひ、快適快適。
ああ、空には真っ白な入道雲、穏やかな海、渡っていく風、素敵だなあ。
カロルも私の近くでジャブジャブと泳いでいた。
コリンヌさんもだ、結構、みな泳げるんだね。
ジャッパーンと空からヒューイが飛んで来て海中にダイブした。
ぎゃああ、波に体が持って行かれる。
《およごうおよごう》
「もっと大人しく泳ぎなさい」
《わかった》
ヒューイはすいすいと海面を泳いだ。
子供が取り付いてヒューイの上に乗る。
ジャババババと、波を蹴立ててモーターボートみたいな速度でアダベルが泳ぎ回っていた。
なんだ、その速度は。
「わんわんっ」
マメちゃんも出て来て海の上を犬かきしていた。
あはは、一緒に泳ごうよ。
さすがは無人島で、海の中は透き通っていて、大きい魚が逃げまどうのが見えた。
水中眼鏡を買っておくんだったなあ。
シュノーケリングも楽しそうだ。
島街に売っているかな。
久々の水泳は楽しかった。
何年ぶりだろうかな。
こっちの世界の人はあまり海水浴とかしないみたいだからね。
キンボール家では一度も海には連れて行って貰えなかった。
ゲームのデートシーンにはあるので、まったくそういう文化が無いわけでは無いだろうけどね。
ぷはあ、気持ちが良いなあ。
みると子供達もじゃぶじゃぶ楽しんでいるね。
泳げない子は泳げる子に教えてもらっている。
あと、アイラさんが蜂を出して監視してくれているな。
うん、子供は急に黙って溺れるので怖いんだよね。
私も気を付けて見ていよう。
カロルもコリンヌさんも結構泳げるなあ。
というか、コリンヌさんが泳いでいるとライ一郎とかヤギ次郎が近くに寄ってくるので邪魔くさそうね。
王家主従も水着になって泳いで楽しんで居るね。
なによりだ。
「楽しいね、キンボールさん、こんな海は初めてだよ」
「ケビン王子はあまり海にいかないの?」
「警備の問題で」
「こんな手薄な警備で遊ぶのは初めてではないですかな」
「そうだね、ジェラルド、なんか楽しいよ」
まあ、王子様といっても中身は若い兄ちゃんだからな、さもありなん。
「ところで、その、コリンナ君はどこかね?」
ジェラルドが辺りを見まわしてそう言いおった。
「テントのとこでデッキチェアで寝てる」
「なに、具合でも?」
「いや、怠けているだけだよ」
「そうか、それなら良い、たしかに彼女は働きすぎだから、たまにはゆっくりするのも良いだろう」
「気になるなら行って、おしゃべりしてきなさいよ」
「い、いやそんな、休んでいるのに悪いではないか」
まったくもう、奥手だなあジェラルドは。
まあ、コリンナちゃんもあまり前に出ないたちだから丁度良いのかもしれないね。
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