表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1411/1513

第1401話 島の漁港でウエルカムランチ

「そうだ、みんなでお昼を食べられる所、無いですか? シルビアさん」

「漁港かな、街には飲み屋もあるんだが、昼は開いてねえし」

「漁港」

「漁師相手の海鮮料理屋があるんだよ、テントだから結構人数入るし大丈夫だろう」

「漁港は、ええと」

「あそこの赤い屋根の所だ、海側に港があって、飛空艇も止められる場所があるぜ」

「了解です」


 カロルが蒼穹の覇者号を離陸させて漁港まで移動した。

 漁師さんたちが、なんだなんだと近寄って来た。


 私は船内放送用の伝令管の蓋を開けた。


「こちらは艇長のマコト・キンボールです。お昼になりましたので、漁港でウェルカムランチを頂きます。みなさん列を組んで下船してください」


 ちなみに派閥員はグループごと、子供はアダベルとトール王子がリーダーになって取りまとめている。

 いっぺんに雑然と動くよりは良いんだよね。


 私たちは一足先にタラップを下りた。


「おお、お嬢がすげえ船から下りてきたぞ」

「飛空艇だ、なんだー、これ、王族乗ってんのか」


 まあ、王族は乗っているがそれは秘密だ漁師のおじちゃん。


「おい、ゴメス、学校の友だちを連れて来た、あと子供、料理店に一報して席を空けてこい」

「おお、学校の友だちか、すげえな、お嬢、わかったぜ」


 真っ黒に日焼けしたゴメスというおっちゃんがテントの方に駆け出して行った。


「メイドさんと護衛さんもお世話は忘れてランチを食べる事、食いっぱぐれるよ」

「ですが、マコト様」

「せっかくリシュエール諸島まで来たんだから、地元料理を食べないと駄目よ、もったいない」


 メイドさんと護衛を合わせると結構な人数がいるからな。

 普段は空きっ腹で働いて、メイド丸とか食べているのだが、せっかくのバカンスなんだから、彼女らも楽しまないとね。

 ちなみに護衛さんは、ディックさんとリックさんである。

 王族というのは護衛無しでは動かない物なのである。

 あと、ガラリアさんとアイラさんも護衛だ。


 ゴメスさんが駆け戻ってきた。


「席は空けやしたが、なんだかお綺麗な貴族の皆さんが食べるもんでもありませんぜ」

「何を食べさせてくれるの?」

「ブイヤベースとすいとんですなあ」

「おお、地元料理は良いわね」

「ここらへんもすいとん食べるみょんなあ、北だけかと思ったみょん」

「姉さん、北かい、料理人が北から流れてきたんでなあ、なれると美味しいよな、すいとん」

「おお、北のすいとんみょんか、これは楽しみ楽しみ」


 まあ、すいとんすいとんと言っているが、小麦の練った奴をスープに落とす料理だな。

 つるつるっと食べられるので私も好きだ。


 みんなで食堂テントにお邪魔した。

 わりと魚くさいテントだが、良い匂いも漂ってくる。


 太ったおばちゃんが、ボールに入ったブイヤベースを持って来てくれた。

 中にはすいとんが入ってるな。

 スープの中には、海藻と魚の切り身、野菜がごろごろ入っている。


「いただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 ぱくり。

 おお、なかなか美味しいな。

 味付けは凝ってないけど、魚の切り身から良い出汁がでてトマトベースのスープと良く馴染んでいる。


「うまいうまい、故郷のすいとんみたいだみょん」

「やあ、あんたあ北かい、なつかしいみょんな」

「こんな南で故郷の味が楽しめるなんて思わなかったみょんな」

「あはは、塩をどばどば入れてなあ、あんたはほんに北の子だみょんな」


 コイシちゃんが料理人のおばちゃんと和んでいるな。


 子供達も、おいしいおいしいとパクパク食べていた。


「やあ、なんだかホルボスの山の中と全然ちがうなあ」

「思えば遠くまできちまったなあ」

「南洋の不思議な味のお料理だあ」


 村の三馬鹿ももしゃもしゃ食べていた。


 メイドさんと護衛衆はテーブルを替えて食事をしていた。

 楽しそうにしていて何よりだが、リックさんがダルシーにコナかけるのがムカつくな。

 うちの子を誘惑しないでください。


 ヒューイが上空からザバーンと海に急降下して、再浮上するという遊びをしていた。

 魚をくわえてやってきて、ライ一郎とヤギ次郎の前に出した。

 ヤギは魚を食べないと思うな。

 ライ一郎がもしゃもしゃ食べていた。

 ヘビ三郎はヒューイの首に掛かったままだが、海に入って大丈夫なのだろうか。


「うまいうまい」

「おいしいですねえ、アダベル親分」

「ニャーリンお魚たべますか?」

「に”ゃ”あ”あ”」


 子供達もワイワイと賑やかに食べている。


「おいしいね、ティルダちゃん」

「こんなの初めてたべたわ、ティナちゃん」


 アダベルの肩にいるクロの動きが単調になっていた。

 さすがのヴィクターでも島までは念波は届かないか。

 頭の上のトトメスさんが魚の切り身とか食べているようだが、このカエルはどうなっているのだろうか。


「潮風が良いわね、水平線が見えて夏空で、ここはすごく良い所ね」


 カロルが遠い入道雲を見つめてうっとりと言った。


「うん、バカンスにぴったりよね」


 いやあ、飛空艇さまさまだよね。

よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まあカエルは分類すれば肉食だし相手が小さければ蛇でも鳥でもネズミにカエルも食べてしまうらしいし。 ヘビ三郎はそのうちうっかり地獄谷で茹でられそう、まあ魔物の蛇だし少しくらいなら平気だろうけど。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ