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第138話 武術の授業から帰るとダルシーがドレスを二人捕まえている

「おっはよーカロル」

「おはようマコト」


 いつもながら、我が親友は一時限目の用意をして、教科書を読んでおる。

 えらいねえ。

 可愛いねえ。

 うへへへへ。


 さてさて、今日の授業はと、歴史、音楽、倫理、武術だな。

 

 座学座学~。

 私、座学大好きっ。

 脳の性能が良くなってるので、記憶力も良いし、回転も速いし、何の文句もないね。

 チートだなあ、チート。

 ずるしている気にもなるけど、まあ、生まれつきだしね。

 しょうが無し。


 さて、三コマ座学をこなして、武道の時間であるね。


 体操服に着替えて武道場へ。


 バッテン先生のユウモアをあふれる前説が終わって、実習である。

 カロルと練習したいところだけど、小太刀の技を教えてもらうべくコイシちゃんと組んだ。

 私の代わりにカトレアさんが、カロルと組んでいた。


「手溜まりは緩く、相手の体に当たる瞬間に絞めるかんじみょん」

「マジ? 難しくない?」

「慣れれば無意識にできるみょんよー」


 小太刀の握り方からコイシちゃんに習う。

 ゆるめに握って速度を出し、インパクトの瞬間に絞る感じで力を入れるらしい。

 蓬莱刀術はむずかしいねえ。


 コイシちゃんも左手に盾剣、右手に小太刀木剣であるよ。

 やっぱり小さい頃から刀術をやってるだけあって、動きが綺麗で決まってるね。


「上手い上手い、マコトしゃんは筋がいいみょん」


 まあ、運動神経もチートなので、教わるとすぐに出来るので面白いね。

 上切り、下切、斜め、八双と、切り方を色々教わり、練習する。


 片手に盾剣なので、片手切りになるのだが、ここぞという時は両手切りの方が良いらしい。

 両手の方が動きの自由度がちがうのだな。

 切り返しとか出来るね。


「いたいっ」

「大丈夫、カトレアさん」

「避け損なった、モーニングスターは軌跡を読みにくいな」


 カトレアさんが肩を押さえている。

 ああ、剣の芯で受けないと、モーニングスターの玉って跳ねるんだよね。


「ヒールいる?」

「たのむ、マコト」

「ごめんねえ」

「避け損なったのは私の責任だから、カロリーヌさまがあやまらなくても良いのだ」

「でも」


 カトレアさんの肩にヒールをかける。


『ヒール』


 青白い光にカトレアさんの肩が包まれた。

 彼女はにっこり笑って私に頭を下げた。


「色々な武器と戦うと経験になる、治ったから続きをやろう」

「うんっ」


 よしよし。

 なんかうらやましいけど、まあよし。

 嫉妬はいくない。


 コイシちゃんがなだめるように私の背中をぽんぽんと叩いてくれた。


 終業の鐘が鳴り、武術の授業は終わった。

 うむうむ、今日でずいぶん小太刀の技を覚えたぞ。

 まだ、自由自在に戦闘するにはほど遠いけど、そのうち慣れそうだね。


 更衣室で制服に着替えて、教室に戻る。


 A組の前で、C組らしいドレスさんが二人廊下に立たされていて、ダルシーが見張っていた。


「マコト様、A組の教室に入り込み、マコト様の机を荒そうとした女生徒を二人拘束しました」


 ふえ、机荒しとは陰湿な。


「本当?」

「……その、ええと」


 ダルシーがバンと柱を叩いて大きな音をだした。


「ほほほ、本当です、その、マコトさまが最近生意気なので、その」

「教科書を破ってやろうと、しました、誰にも命令されてはいません」


 命令されたのね。

 デボラさんは何だかなあ。

 毒とか、髑髏団が剣で掛かってくるのと、温度差が違うので当惑するね。


「ダルシー、職員室のアンソニー先生につきだしてきて」

「わかりました。さっさと歩きなさいっ」


 ダルシーはドレス令嬢を連行していった。


「大変ねー」

「しかしダルシーが教室にいたとなると、更衣室は?」

「そっちはアンヌの担当みたい、手分けして警戒してるらしいわよ」


 私たちの諜報メイドは便利だなあ。

 いたずらを防いでくれるのは助かる。

 教科書を破られても命に別状はないけど、不愉快になるしね。


 教室に入ると、エルマーが寄ってくる。

 同時に、どやどやとカーチスと、エルザさん、コリンナちゃんと、ジュリエット嬢、メリッサさんと、マリリンもA組に入ってきた。


「今日こそは……、ひよこ堂だ……」

「ま、そうだねー、パンを買って、公園で食べようか」


 そらは曇りだけど、雨は降りそうにない。


「そうだねー、ひよこ堂は美味しいし」

「ロイドさま~、わたくし、市井のパン屋さんに行くのは初めてですわ~」

「うんうん、僕が教えてあげるよ、ジュリエット」

「やーん嬉しい~」


 また、ロイドちゃんも来るのかあ?

 眉間にしわを寄せて、バカップルを見ていると、ケビン王子とジェラルドもやってきた。


「なんだよう、あんたたちは違うだろ」

「市井のパン屋に行くのは、僕らの自由だろう」

「悪いね、その、国王派ってさ、子供の頃からの派閥員が多いから、あんまり日常的な付き合いとかがなくってさ」


 憎まれ口を利くジェラルドと、もっともな理由を言うケビン王子であるな。


「国王派って、行事とか無いの?」

「公的行事はあるんだけど、日常的に派閥構成員が集ってお昼をするとかは無いなあ」


 まあ、あっても、王子が二年になって生徒会に入ってからなんだろうね。

 一年の内は、あまり集まらないのか。

 そう考えると、王子様たちは寂しいよなあ。


「しょうがないなあ、混ぜてあげるよ」

「ありがとう、キンボールさん」


 ケビン王子はにっこり笑った。

 ったく、イケメンはキラキラしおって。

 ド、ドキドキとか、してないんだからねっ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 遂に暗殺とかじゃなく、普通のイジメに戻れたね。普通かなぁ? 国王派だから他の派閥より暇じゃないかも。
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