第1399話 出発の朝が来た
目を覚ますと邸宅のエクストラベッドであった。
寝心地がいいからこのベッドは好きだな。
マットレスだけでも女子寮に持って行きたい所であるよ。
起き上がり伸びをすると、カロルが隣のベッドで寝て居るのが見えた。
カロルの寝顔はレアだなあ、うひひひ。
観察していたら、コリンナちゃんが起き出して、すが目でこちらを見た。
「おはよう、マコト」
「おはよう、コリンナちゃん」
「カロルの寝顔を見て、ニマニマしてんのは気持ち悪い」
「ほっといてくれ」
うーん、と唸ってカロルが寝返りをうち、目を開いた。
「おはようカロル」
「おはようマコト……、コリンナも」
「はよう」
目を覚ましたので、洗顔したり、用を足したり、ベッドを畳んだり、着替えたりした。
ベッドを畳んで部屋を広くすると、子供達が起き出してきたので手分けをして着替えを手伝ってあげる。
「今日は諸島に出発だな、楽しみ楽しみ」
アダベルがトトメスを頭に乗せ、クロを肩にのせて、尻尾でビョンビョンしていた。
「一度王都に寄って忘れ物を取りにいかないと」
「誰だ、忘れ物の奴は」
「コリンナちゃんの運動着ね」
「げええ」
「あと、ティナちゃんの着替えとか、ブリジットさんに頼んでおいたから」
「そうなんだっ」
「水着とかは予備があるからね」
「わーいわーい」
ティナちゃんはティルダ王女と一緒にはしゃぎまわっているね。
ダイニングでみんなで朝ご飯を食べる。
この村のパン屋さんも結構美味しいね。
村の産物の朝ご飯で美味しくて滋味がある。
ベーコンなんかも美味しいな。
朝食が終わったらみんなでホルボス山基地に行き、蒼穹の覇者号に乗り込んだ。
ホルボス邸宅ではリーディア団長と甲蟲騎士団さんたちがお留守番だね。
ガラリアさんとアイラさんがトール王子とティルダ王女の護衛として船に乗る。
ヒューイも飛来してきて甲板に乗った。
今日のパイロットはカロルだ。
まずはカタパルトを使って王都に向かう。
「学園のグラウンドに着けようか」
「そうだね、第三グラウンドに駐めてコリンナちゃんが運動着を持ってくるまで待ちましょう」
「ぐぬぬ」
スパーンとカタパルトで撃ち出してもらい、一路王都へ。
ってもすぐそこなのであっという間に王都上空で、カロルは操舵輪を回し学園に南から入って第三グラウンドにふわりと飛空艇を駐めた。
やっぱ上手いねえ。
コリンナちゃんが船から下りて駆けていった。
子供達は相変わらずメイン操縦室でごろごろしていた。
なんで床に転がるかな。
ライ一郎に跨がったりしてるね。
しばらくしてコリンナちゃんが女子寮から出て来てこちらに駆けてきた。
手には運動着が入っているとおぼしき袋があるな。
よしよし。
「次はアルエ男爵家に行こう」
「駐められる場所あるかしら」
「うちの馬車溜まり、結構大きいよ」
ティナちゃんの誘導でアルエ男爵家に行き、馬車溜まりに蒼穹の覇者号を着陸させた。
屋敷からブリジットさんが出て来た。
ティナちゃんと一緒にタラップを下りて出迎える。
「これ、着替えです、ティナ、お利口にしてなさいよ」
「はあい、おかあさんっ」
「それでは、ティナちゃんをお預かりしますね」
「よろしくお願いします」
アルエ男爵家の人が全員出て来て頭を下げられた。
「じゃあ、お父さん、お母さん、お爺ちゃん、行ってきますっ!」
「楽しんでおいで」
「よろしくおねがいします、聖女さま」
「お土産を楽しみにしておるよ」
「うんっ!」
私は、着替えの入ったリュックをしょったティナちゃんと一緒にメイン操縦室に戻った。
子供達の荷物は二等船室に置いてあるのでティナちゃんはティルダ王女と一緒に置きに行った。
「さあ、諸島だ諸島だっ」
「ええ、行きましょう」
アダベルの宣言にカロルが合わせた。
蒼穹の覇者号はアルエ家の馬車溜まりから垂直に離陸してリシュエール諸島を目指して回頭し飛行した。
いつもメイン操縦室は人口密度が高いが、今日は特に高いね。
「王家主従とシルビアさんとか、操縦に関係の無い人はラウンジに行ってください」
「え~~、ここが景色良くていいんだが」
「邪魔ですシルビアさん」
「さあ、船室でくつろぎたい人はいらっしゃいな」
ゆりゆり先輩の声かけで、お洒落組と、エルザさん、ヒルダさんとジュリエットさんが腰を上げた。
ついでにロイドちゃんも付いて行くようだ。
「男衆はラウンジに行くか」
「そうだね、操縦の邪魔をしてはいけないし」
カーチス兄ちゃんと王家主従、オスカーとライアン、ブリス先輩がラウンジに向かった。
ついでにシルビアさん、カトレアさん、コイシちゃんも付いて行った。
「ダルシー、甲板にテーブルを出して、子供達にジュースを飲ませて」
「かしこまりました、マコトさま」
「うおいっ、ジュースジュース!」
「行こう行こう」
ダルシーとアンヌさんが子供達を引率してメイン操縦室を出ていった。
ガラリアさんとアイラさんも付いて行った。
メイン操縦室はパイロット組とコリンヌカルテットだけになって、なんか静かである。
「いると騒がしいけど、居ないとさびしいわね」
「まあ、しょうが無い」
「到着まで二時間掛かるからな、船内でくつろいでいればいいんだ」
コリンナちゃんが航法士席でマップを見ながらそう言った。
モニターに甲板に居るヒューイに跨がる子供達が映っていた。
今日は良い天気で飛行日和だね。
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