第1397話 食事をしてからゲストを王都に送って行く
お風呂を出て、ダルシーにドライヤーで髪を乾かしてもらった。
ああ、さっぱりした。
共同湯の外に出ると空が真っ赤になっていて、お祭りはただれた感じになっていた。
みんなべろべろに酔っ払って楽しんでいるね。
お祭り会場である村の広場が薄暗くなってきたので、明るめの光球を三つ打ち上げて照らした。
「おお、明るいですな、御領主さま」
「昼間のようですわ、素敵」
「みなさま楽しんでくださいね」
さて、我々もお料理を買い込んで晩ご飯といきますか。
「何を食べようかな」
「猪シチューと、ミートパイが美味しかったな、あとガレットか」
適当に練り歩いて、食べ物を色々と買った。
蕎麦関係の食べ物が多いけど、山菜とか、猪系のソーセージとかもあった。
「猪ソーセージ、うまい」
アダベルが猪ソーセージを一連買ってモシャモシャ食べていた。
大食らいだなあ。
「マコトもカロルもコリンナも喰え」
「ありがとう」
ポンポンと各自のお皿に猪ソーセージを置かれた。
炙ってあって暖かくて美味しそうね。
テーブルに付いて色々食べ始める。
飲み物はそば茶であるよ。
美味い美味い。
「お祭りの料理って、なんだか五割増しに美味しいよな」
「解る、なんか美味しい」
「雰囲気がいいからかしらね」
村人も、派閥員も、お養父様お養母様も、新しい親戚のアルエ家のみなさんも、クリフ兄ちゃんも飲んで食べて楽しそうね。
カーチス兄ちゃんは村の男衆とエールを飲んでどんちゃんしてるな。
クリフ兄ちゃんや甲蟲騎士さんたちも一緒に騒いでいるな。
「きっと来年も再来年も、この村の夏祭りはこんな感じなのね」
「いやいや、もっともっと色々と行事を企画して楽しくするんだ」
「それはいいなあ、楽しげだ」
せっかく貰った領地だから、どんどん発展させて素敵な場所にしたいね。
「エイダさん、そろそろ来て」
【了解しました】
ブローチに声をかけると、程なくして蒼穹の覇者号が着陸してきた。
「お養父様、お養母様、アルエ家の方々、クリフ兄ちゃん、王都までお送りしますよ。あと守護竜牧場へダシャ婆ちゃも送りますよ」
「おお、そうか、明日は月曜日だしな」
「いやいや楽しいお祭りでした、誘って頂けて嬉しかったですよ」
タラップを下ろして、帰る人を搭乗させる。
「おかあさんっ、みんなこれから南の島でバカンスなんだって」
「あらあら、良いわね」
「私も行きたい行きたいっ!」
「ああ、でも、旅行に割り込みできないでしょうに……」
「ティナちゃん、バカンスに行きたいの?」
「みんなともっと遊んで仲良くなりたいのっ」
なるほど。
「どうしますか、ティナちゃんだけとは言わず、アルエ家のみなさんもご一緒でもかまいませんが」
「ああ、私は明日から仕事で、バカンスはどれくらいですか?」
「二週間、南の島で遊びますよ」
「あの、本当によろしいのですか、ティナだけでもとは思いますが、図々しくはありませんか?」
「平気だ、おばちゃん、マコトは心が広い」
アダベルが勝手な事を言う。
「ティナちゃん、一緒にバカンス行こう!」
「うんっ、ティルダちゃん。おかあさんっ、おねがいっ!」
ティナちゃんはブリジットさんを拝んだ。
「本当によろしいのですか、ご迷惑ではありませんか?」
「お子様一人でしたら特に問題はありませんよ」
「それではお願いしましょうか」
「「「やったー!!」」」
子供達が一緒になって歓声を上げた。
ティナちゃんは子供達に任せて帰る人を船に搭乗させた。
ダルシーにラウンジに案内させた。
私と、カロルと、エルマーのパイロット組がメイン操縦室に乗り込んだ。
なんかアダベルも付いて来た。
「じゃあ、ちゃっちゃと送って行こう」
「そうね」
「夜間飛行だ……」
今回の操縦は私だ。
推力を上げて、王都の方に回頭し、ついっと飛んだ。
まあ、すぐそこだから、大神殿の練兵場についっと下ろした。
キンボール家もアルエ家もひよこ堂もご近所だからここで良いらしい。
「それではお休みマコト」
「ちゃんと寝るんですよ」
「はい、お養父様、お養母様」
「たいへんお世話になりまして、ティナの方もよろしくおねがいいたしますね」
「任せておいてください」
「今日は楽しかった、良い村を領地にもらったな」
「そうだろうクリフ兄ちゃん、父ちゃん母ちゃんによろしくね」
「おう」
お養父様、お養母様とアルエ家のみなさん、そしてクリフ兄ちゃんを下ろした。
さて、また離陸して回頭、カメオ村に向けて飛ぶ。
夜はすっかり更けて、月光の下、雲を突くように蒼穹の覇者号は飛ぶ。
守護竜牧場前に着陸した。
「ありがとうね、本当に良いお祭りだったわ。秋にはカメオ村のお祭りもあるから来てね」
「そうか、ここのお祭りもあるのか、私は行くぞ婆っちゃ」
「おほほ、聖女さまとお仲間と一緒に来てくださいね」
お孫さん夫婦が建物の中に入り、牛乳缶を二つ持ってきた。
「予備のアイス液です、よかったらどうぞ」
「おお、良くやった、お孫よ、褒めて使わす!」
「身に余る光栄でございます、守護竜さま」
よしよし、これでアイスパーティが三回出来るな。
先に作って船内の冷凍庫で保存していても良さそうだ。
まあ、腹ぺこドラゴンに食い尽くされる恐れはあるが。
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