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第1395話 ホルボス村の夏祭りがたけなわ

 お祭りの雰囲気は明るくて良いね。

 私が領主になって二ヶ月なので、夏祭りへの貢献はあまりないのだけど、それでも楽しいは楽しいね。


 ステージでは日々練習したみんなが歌ったり踊ったりしていた。

 あまり上手い人はいないけど、一生懸命で良いね。

 みんなプロじゃないからな。


 アダベルのアイス屋さんが大盛況で長蛇の列が出来ている。


「一回目のアイスは売り切れでーす! 三十分後に二回目が出来ますのでまたお寄りください」


 コリンナちゃんが、そうアナウンスしてもだれも列から離れない、三十分なら待つつもりのようだ。

 アダベルとエルマーが一生懸命次のアイスを作っている。


「大変ね、売りながら作らないと駄目かも」


 私がコリンナちゃんに話しかけると彼女は肩をすくめた。


「やあ、これはしばらくはけないね。今日一日中これかも」

「あー、お祭り回れないっ、アイス製造機になる~」

「まあ、頑張って、お昼になったら何か奢るよ」

「私もアイス食べたいのに、食べれない~~」


 なるほど、つまみ食いする暇も無いぐらい売れているのね。


「味が濃厚で、とても美味しいですし、この村では夏に氷菓なんて初めてですからね」


 セルジュの父ちゃんがそんな事を言って笑った。

 彼はじゃがバターを売っていた。

 私は三つ頼んで、よそって貰ったジャガバタをアイス露天で頑張ってる三人に差し入れした。


「ありがとう、むしゃむしゃ」

「食べながらブレスを吐くな……」

「売り切れたから私はちょっとお休み、美味しいね、ジャガバタ」


 コリンナちゃんがジャガバタを食べてにんまりしていた。

 まあ、ほどほどにガンバレ三人とも。


 お養父様とうさま養母様かあさま、あと、アルエ家の人達が歩いていた。


「どうですか、楽しんでいますか」

「良い村祭りですね、聖女さま、なかなか豊かで素晴らしいです」

「美味しい物が一杯で楽しいですわ。そば粉が特産品なのね」

「お土産に差し上げますよ」

「あら、悪いわ。あとそば粉の料理が解らないのよ」

「ガレットにすると美味しいですよ」

「食べて行ってくださいなー」


 丁度ガレットを焼いている露天前だった。

 お養父様おとうさまもお養母様かあさまも、アルエ家の人もガレットを食べて、美味しさに驚いていた。

 新しい料理に挑戦するのは良い事だ。


 アルエ家のティナちゃんは子供組と一緒にうろうろしていた。

 ティルダ王女と仲良しになったようだ。


「みんな従魔持っていて良いなあ、ホルボス山で捕まえたの?」

「ちがうよー、王都近くの森でテイムしたんだー」

「いいなあいいなあー、私もテイムしたいー」

「今度、一緒に行こうよ、大神殿まで来てくれればすぐよ」

「みんな大神殿の子なんだ、そうかー、ぜったいに行くよ~」


 クヌートがガドラガから帰ってれば良いんだけどな。

 五本指はガドラガに行ったきりだし。


 アイスの二回目ができあがったので、カロルと一緒に列に並び、ゲットした。

 暑い野外でアイスを食べながらぶらぶらするのはいいね。

 露天でコケモモのジャムが売っていたので買って、アイスにかけてみた。

 美味い。


「わあ、私はイチゴジャムをかけてみようっと」

「それも美味しそうね」


 私たちが新しい食べ方を発明したので、ジャムの露天に人が殺到して馬鹿売れしていた。


 露天に木皿と木匙を返すついでにジャムの瓶をわたした。


「おお、ジャムか、いいな」


 アダベルが自分のアイスにジャムをどばどば掛けて一飲みにしていた。


 何回も並んで食べてるお客さんとか、結構いるね。

 アイス液が売り切れてしまうかもしれない。


 広場の端にはベンチがあって、ダシャ婆ちゃが座ってニコニコしていた。


「楽しんでいますか? ばっちゃ」

「ええ、素晴らしいお祭りね、沢山新しいお友達ができたわ」

「それは良かった、色々な産物で共存共栄していきましょう」

「そうね、カメオ村は牧畜が強くて、ホルボス村は農産が強いみたいだから、いろいろな協力が楽しそうだわ」


 守護竜牧場の産物もホルボスヘルスセンターで売られたらいいなあ。

 いつでもジャーキーが買えるな。


 お昼になったので、とりあえず、シチューとミートパイを買ってテーブルでカロルと一緒に食べた。

 隣のテーブルでガラリアさんがへべれけになっていたので『ヒール』で酒気を飛ばしてあげた。


「あ、ありがとうございます、聖女さま、あはは、飲み過ぎちゃって」

「楽しいですからね、また酔っても、治してあげますよ」

「い、いえ、まあ、ほどほどに飲みますよう」


 そこへアシル親方と獣人ドカンチン軍団が現れた。


「ガラリアさん、一緒に飲むにゃっ」

「親方~、もふもふさせてくださいよう」

「いいから飲むにゃあ」


 ガラリアさんはアシル親方たちと飲み始め、歌を歌って盛りあがっていた。


「リーディア団長!! 勝負だ!!」

「ああ、いや、今甲冑を着てませんので、シルビアさま」

「秘密騎士団の代名詞である、甲蟲騎士団の実力が見たいのです、勝負勝負」

「ああ、聖女さま、シルビアさまを何とかしてください」


 リーディア団長が困っていた。

 シルビアさんは戦闘馬鹿で困るね。


「シルビア殿、リーディア団長は途轍もなく強いですぞ、私も勝ったことがありません」

「なにい! カトレアでも勝てないのか、それは楽しみ!」


 戦闘女子はしょうが無いねえ。


「そういえば、甲蟲騎士団の人達はどこで稽古してるんですか?」

「邸宅の裏山に修練所を作りましたよ、そこでやってます」

「よし、では行こう」

「案内しますぞ!」

「ちょっと、お祭りが終わってからにしなさいよ、リーディア団長がアイス食べられないじゃない」


 甲蟲騎士のアイラさんが二人に突っ込むと、リーディア団長は渋い顔をした。


「団長は意外に甘い物大好きなんだからね」

「アイラ~~」

「まあ、アイス食べてからにするか」

「そうですな、シルビア殿」


 四人は仲良くアイス露天の方に歩いて行った。

 アイス大盛況だな。

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― 新着の感想 ―
温泉にアイスは正義だけどアイスクリームメーカーを置くほどなのかは悩むとこかな。冷凍庫があれば屋敷に機械を置いて村の温泉と地獄谷にもアイスを置いとけるけどどのくらいの値段なんだろ?
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