第1387話 ホルボス山経由で王都に戻る
食肉、チーズ、牛乳を満載して蒼穹の覇者号は離陸した。
ダシャ婆っちゃとお孫さんはずっと手を振って見送ってくれた。
メイン操縦室では子供達とコリンヌカルテットがごろごろしていて、くっちゃくっちゃとビーフジャーキーを噛んでいた。
私もカロルもくっちゃくっちゃ噛んでいる。
やっぱり美味しいね。
くっちゃくっちゃしながら操縦する。
ヒュンという感じで、夕暮れにホルボス村広場に到着した。
トール王子とティルダ王女と村の三馬鹿を下ろした。
「じゃあまた、明日もアイスを喰おうな」
「「「「くおうくおう」」」」
「喰えません」
「え~~」
なんだな、アダベルに任せると一瞬でアイス液を消費して食べ尽くされそうだ。
お祭りにも出したい気はあるのだが……。
量がねえ。
「ほっとくとバカンスで食べるアイスが無くなるわ」
「バカンスでも、明日でも、お祭りでも食べたい」
「アイス喰いドラゴンだ」
「暑いから」
とりあえず蒼穹の覇者号を離陸させて王都へと向かう。
くっちゃくっちゃとジャーキーは美味い。
王都の南門付近から侵入して大神殿を目指して飛ぶ。
大神殿の練兵場にスイッと着陸させる。
「マコト、着陸上手だったわ」
「本当に……」
「えへへ、ありがとう」
パイロット組に褒められると嬉しいな。
子供達がどやどやと下りて行く。
「じゃあまた、明日もアイスを喰おうな」
「「「「くおうくおう」」」」
「喰えません」
「え~~」
天丼化するではないよ。
「アダベルは学園を通って帰るの」
「うん、帰る。……学園長におねだりをするとアイスクリームの機械を買ってくれるかな」
「やめときなさい」
夏中アイス作っては喰うドラゴンが爆誕するぞ。
「でも、守護竜牧場印のアイスクリームは流行になりそうですわ」
ヒルダさんが影フクロウのキューちゃんを頭に乗せたまま、そう言った。
「流行りますわ、大評判ですわね」
「他のアイスクリームよりもずっとこくがあって美味しゅうございますから、大行列ですわね」
「そうか、大もうけか……、王都にアイスのお店があれば、私も行って食べ放題だな!」
「やめときなさい」
「え~~」
とはいえ、これから盛夏だから、アイスクリームは売れそうだなあ。
守護竜牧場のミルクは美味しいからな。
飲食店だと、やっぱりカマラさんに相談するかな。
名前はツバメパーラーとかどうだろうか。
おいしそうなのを出してくれそうだ。
大神殿からツイッと上昇して、ビアンカ邸基地へ。
途中ヒューイが甲板から飛びだして勝手に厩舎に戻った。
手間いらず騎獣でラクチンだよなあ。
格納庫にバックで入れて着陸、みなさんお疲れ様。
「マコトお疲れ様」
「上手くなってる」
「ありがとう、カロル、エルマー」
そうか、上手くなっているか、ウヒヒ。
地下道を通って男子と別れ、女子寮へと入る。
エレベーターに乗って食堂前へ。
「アダベル、たまには食堂で食べていけば?」
「ガクエンチョが寂しがるからいい、また明日なー、結婚式なー」
「はい、学園長と一緒に来なさいよ」
「うん、新しいドレス着る」
「わ、買ってもらったの、いいなあ」
「うん、えへへ、あ、ガクエンチョとカミラにもアイスたべさせたい、お礼に」
ドレスのお礼かあ。
アダベル自作のアイスクリームとか、学園長は喜びそうだな。
はあ、しょうがない。
「明日、結婚式で一回作りましょう」
「わああ、やったーっ!」
まあ、タンクの半分はアダベルが食べちゃいそうだが。
結婚式の披露宴で一回作るか。
あと、土曜日のお祭りで一回。
バカンス前に、もう一回守護竜牧場でアイス溶液を補充して行こうかな。
アイスはみんな喜ぶしね。
「そいじゃ、また明日~」
アダベルは手を振って、女子寮の玄関に向けて走って行った。
私たちは食堂へと入る。
「クララ、今日の献立は何?」
「ビーフシチューとチキンスープ、青菜のサラダ、黒パンだよ」
「おお、ビーフシチュー」
女子寮食堂のビーフシチューは美味しいので好きだな。
さっそくトレイにお料理を取って行く、最後にケトルからカップにお茶を注いでテーブルまで運ぶ。
皆が揃うのを待つ。
この時間が一番お腹が空く、良い匂いだなあ。
皆が揃ったのでお食事の挨拶だ。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリ。
ほふほふ、お肉が口の中でほどけるね。
美味しい美味しい。
ジャガイモ、人参、牛肉が美味しいなあ。
青菜のサラダもシャキシャキしていて美味しい。
うんうん。
ああ、毎日美味しいご飯を食べられて幸せだなあ。
「女子寮食堂でも、毎日、アイスが食べたいですわ」
「アイスですわ」
「いや、アイス作っても、下級貴族食はデザート付かないから」
「ぐぬぬですわ」
「口惜しいですわ」
女子のアイスに掛ける情熱は凄い物だなあ。
とはいえ、女子寮食堂にも、守護竜牧場の食材を卸したい気はするね。
イルダさんだったら、どうお料理するかが知りたい気持ちもある。
今度、持ってくるか、ああ、だけど二学期になるなあ。
うーんうーん。
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