第1385話 ロビーで帰省する生徒達を見つめる
女子寮に戻ってくると、大荷物を抱えた生徒が何人も玄関から出て行くのが見えた。
「帰省する生徒ね」
「私たちも聖女派閥で無かったら、今日明日に帰省に出発していたはずですわ」
「蒼穹の覇者号で領地まで送って貰えるのは幸運ですわねえ」
飛空艇なら、一っ飛びだからね。
帰省する生徒は、一週間かけてご両親の領に戻り、二週間夏休みをして、また一週間掛けて王都に戻ってくるらしいね。
コイシちゃんみたいに片道二週間以上掛かるような生徒は最初から帰省し無いらしい。
行って帰るだけで夏休み終わるからねえ。
「あら」
ロデムを連れた命令さんが通りかかった。
メイドさんが大荷物だから、ヒルムガルドに帰るのかな?
「ケリーさん、帰省ですか」
「そうよ、実家でロデムちゃんと一緒に優雅に過ごしますのよ、おほほ」
まあ、命令さんとはなんだかんだあったが、最近は態度が軟化したのでよしとしよう。
「それでは、また二学期におあいしましょうね、マコトさん」
「いってらっしゃい」
私はロビーのソファーに座って命令さんを見送った。
他にも続々とトランクを下げたり、メイドさんに荷物を持たせた女生徒が出発していく。
行ってらっしゃい、また、二学期にね。
「お肉とか牛乳を買いに行きたいなあ」
「そうね、バカンスで使う食材がいるわね」
お魚なんかは現地調達で良いだろうけど、お肉と牛乳は品質が解らないからね。
良い肉と牛乳を蒼穹の覇者号の冷蔵庫に入れておきたいなあ。
とはいえ、大所帯なので、相当な量が要るのだろうなあ。
アダベルもいるし。
「まだ時間はあるから、守護竜牧場へ行く?」
「そうね、あそこのお肉なら美味しいし」
ビーフジャーキーも美味しいしね。
「どうせだったらアダベルたちも連れて行きましょうか」
「そうね、今はホルボス村かしら」
「行ってみようか」
突発的に決まった買いだしだけど、私、カロル、コリンナちゃん、メリッサさん、マリリン、ヒルダさん、コリンヌさんと従魔たちが来たがった。
《がうがう》
《めーめー》
《俺も俺も》
ヒューイもかあ。
まあ、良いか。
というか、もうヒューイはヘビ三郎を首に巻いておるな。
「じゃあ、コリンヌさんはライ一郎とヤギ次郎を運んできてね」
「わっかりましたーっ」
パイロット部で、エルマーも呼びたいが、男子寮に連絡する方法がないんだよなあ。
カーチス兄ちゃんには長耳さん経由で知らせて貰えるが……。
「長耳さん、カーチスに肉の買い出しに行くけど、来るか聞いてくれませんか、あと、エルマーに知らせるように言っていただけるとありがたいです」
『かしこまりました』
あ、やっぱり聞いてたか。
長耳さんは、どこに住んでるんだろうなあ、ブロウライトのタウンハウスかな。
「リチャードお兄さんは元気かな?」
『はい、病弱だったのが嘘のように精力的に動いてらっしゃいますよ』
ポッティンジャーのリチャードさんの憑依が抜けたから、とても元気になったみたいね。
『カーチスお坊ちゃまは買い出しに参加する、との事です。エルマーさまにも知らせる、との事です』
「ありがとうね、長耳さん」
コリンナちゃんがこっちを見ていた。
「なんだか、虚空に喋る危ない人みたいだな」
「しゃーないだろう、そういう人なんだから」
「まあ、派閥員は事情がわかっているから大丈夫よマコト」
カロルに力強く言われてしまった。
みんなで女子寮の地下から地下道に入ると、男衆とライ一郎、ヤギ次郎が通路に入っていた。
ああ、そうか、男衆がいれば従魔も扉を抜けられるのだな。
「おーう、肉の買い出しだって?」
「うん、守護竜牧場へ行くよ」
「あそこの肉は、うまい……」
ライ一郎とヤギ次郎はコリンヌさんとまとまって歩き始める。
やっぱりバラのキメラなんだなあ。
(ヒューイは後で甲板に乗るの?)
《甲板にのる》
いつも通りらしいね。
私たちは蒼穹の覇者号に乗り込み、飛行準備を始めた。
「今日は僕で……」
「いえ、シフトからすると私だ」
「マコトは後で監督すべき……」
「いやよっ」
飛空艇の操縦しないと腕が落ちるしね。
ちゃっちゃと、計器類のスイッチを入れていく。
「守護竜牧場に直行かい?」
「いや、ホルボス村でアダベルたちをとっ捕まえて行くわ」
「ああ、それはいいな、ダシャ婆ちゃんは子供大好きだしな」
「そういう事よ」
前方の四枚のゲートが開いていく。
私は操舵輪を倒して微速前進する。
発着台の上にヒューイとヘビ三郎がみえた。
少し羽ばたいて、ヒューイが甲板に乗って来た。
発着台から垂直に高度を上げていく。
ある程度、高度が上がったらホルボス山目指して回頭し、直進である。
さあ、夏休み最初のお出かけは、守護竜牧場だ。
ミルクと砂糖を手に入れてアイスクリームも作りたいね。
冷やす方はホーリーアイスブレスを放てるドラゴンが知り合いにいるしね。
やっぱり、夏はアイスだよ。
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