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第1384話 お客様とお別れ

 お風呂でみんなピカピカになって大浴場を出た。


「あ、聖女さま」


 大浴場の前で、聖女の湯解放戦線のエイミーさんにばったり出会った。


「あ、エイミーさん、丁度良い所に、昨日は騎乗レースで聖女の湯が出来なかったので、本日入れました。夏休みに向けて鋭気を養ってくださいね」

「わっ、それは嬉しいですね」

「エイミーさんは帰省の方は?」

「うちは法衣貴族なので王都に居ますよ」


 それは丁度良い。


「ダルシー、聖女の湯の素を四本出して」

「はい、マコトさま」


 私はエイミーさんに聖女の湯の素を差し出した。


「聖女派閥は週末からバカンスに行くので、二週間分の聖女の湯の素を入れるのを、お願いできませんか?」

「わ、それは良いですね、学園に残った人達が喜びそうです。喜んでやらせて頂きます」


 エイミーさんはニコニコ笑って聖女の湯の素を四本受け取ってくれた。

 これで休みの間も生徒さんは聖女の湯に入れるぜ。



 メリンダさんは王城にある『成層圏の招雷号』で帰るので、女子寮を出て送っていく。


「今回は素晴らしい訪問でした。蒼穹の覇者号を操縦できましたし、エバンズ博士と知り合えましたし」


 王城へと向かう道を歩きながらメリンダさんと話す。

 彼女ははにかんでとても嬉しそうに喋るね。

 本当に飛空艇が好きなんだなあ。


「二学期にまた色々楽しみましょうね」

「はい、よろしくお願いします」

「留学いいわねえ」

「良いなあ」


 グレーテ王女とペペロンがうらやましそうに言った。


「ギュンターと一緒に留学しにくれば良いのに」

「お兄様を一人にしておくと死んでしまいますからね。私とペペロンが付いて無いと」

「ディーマーは不用心で危ない」

「そんなに危ないの?」

「ギュンターは皇太子レースからはずれましたけれども、まだまだライバル皇子は多いんですのよ、お父様はお盛んでしたから」

「大変ですねえ」

「メリンダさまも公爵家なのですから、女王陛下になる目もあるのではないですか?」

「いえいえ、皇太子が決まりましたので、私の出番なぞはありませんよ、継承権も十五番目とかですし」


 あ、でも王家の血筋だからメリンダさんにもアライドの継承権はあるのね。


 王城に着いた。

 侍従長さんが執事さんを走らせて、ケビン王子とジェラルドがやってきた。


「メリンダさん、グレーテさん、ペペロン、ご帰国ですか?」

「はい、アライドに帰ります」

「私たちも帰りますよ」

「マコト、明後日の村祭りも来ていい?」

「村祭りに来るなら、帰らないで連泊しなさいよ」

「怒られますわ」

「怒られる」


 勝手に計画を変えると良く無いらしい。

 ペペロンワープで帰って、明日一日魔力を溜めて、村祭りか、忙しいね。


「かまわないけど、ペペロンは連続してワープして大丈夫?」

「魔力の問題だけだから、大丈夫。じゃあ、村祭りくる~」

「お邪魔いたしますわ」

「うう、いいなあ、いいなあ」


 メリンダさんは帰らないと駄目だろう。

 というか、ほっとくとグレーテとペペロンはバカンスにも付いてきそうな感じがするな。


 ケビン王子と一緒に階段を上がり、飛空艇発着場にある『成層圏の招雷号』まで送っていった。


「では、また秋にお会いしましょう。聖女さま、みなさん」

「またね、まってるわ」

「はい」


 にっこり笑ってメリンダさんはタラップを上がっていった。

 私たちは手を振って飛空艇の発着デッキから王城の広間に入った。

 プロペラが回り、作動音がして、ふわりと『成層圏の招雷号』の巨体が浮き上がった。

 上空で回頭して、アライドの方角へ飛空艇は速度を上げて飛んでいった。


「さて、私たちも」

「だねー」


 ペペロンが発着デッキでトンボを切るとボワンと煙がでて、大きな黒い影竜になった。

 背中にグレーテ王女とナージャを乗せた。


『じゃあ、また明後日に来るよ』

「またね、聖女さん」

「では」


 パシュリと音を立てて、ペペロンは影に溶けて消えた。

 影の世界ワープは影空間の中で加速して跳躍するらしい。


 なんだか、お客さんが帰ると寂しいな。


「ケビン王子、ジェラルド、あんた達は村祭りに来るの?」

「行かせてもらうよ、というか、その後のバカンスにも行くのだから、当然だね」

「明日のブラッド卿とジャンヌさまの結婚式も、ケビン王子と共に参加したいのだが」

「うわ、騎士の結婚式に王子様とか来ると、いろいろ勘ぐられるよ」

「聖女が参列するのだ、今更であろう」


 ジェラルドにそう言われると反論できないなあ。

 まあ、良いか。


「ビビアンさまは今は大人しくしてるの?」

「今の所は騒ぎは無いな、動くなら二学期か」

「条約を結んだのだから、二年生になってからじゃないかな、ジェラルド」

「だと良いのですが、一応警戒は必要でしょう」

「そうかもしれないね」


 二学期はなんだかんだで行事が多いから、悪さしかけてこられると困るなあ。

 学園祭もあるし、魔術大会もあるしなあ。

 年末は聖夜祭と年越しの祭りもあるなあ。


 まあ良いか、何かあったらその時はその時だね。

 起こる前から心配していてもしょうが無いし。

 うんうん。

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王子達がバカンスに来ちゃうのか。その間ビビアンのお守りはいいんか?
二学期は更に行事が多いからまた大変そう
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