第1382話 終業式が終わると夏休み突入!
登校したら講堂に集まるように言われ、ぞろぞろと廊下を歩いていく。
さすがに全校生徒が集まるとわりと密集しているが、木の折りたたみ椅子に座って終業式の開始を待った。
壇上に学園長が現れて終業式の挨拶を始める。
「みなさん、一学期が終業いたしました、色々な事件があって、例年に比べて盛りだくさんな一学期だったと思います。一年生は初めての学園生活に慣れるのに精一杯でしたね。これから一ヶ月の夏休みを、実家や寮で過ごして、それから二学期になります。二学期からは授業も本格的に難しくなりますので油断をせず、予習復習をしてください」
学園長は背筋を伸ばして朗々と挨拶をするなあ。
「二年生は授業にガドラガ迷宮実習が入り、いろいろと切り替えが大変でしたね、二学期にも二回、迷宮実習はありますので剣と魔法の腕を磨き、事故の無いように迷宮実習をお願いします」
二年生は学期に二回ガドラガに行くんだね。
私も二年になる前に抜け道の調査でガドラガに一度入らないとなあ。
なんとなくビアンカさまの遺産があるような気がずんずんしてくるよ。
飛空艇基地と部品が残されてるんじゃないかなあ。
「三年生はそろそろ卒業後の進路を見据えて技術や知識を選択して覚えて行きましょう。二学期を過ぎると、卒業まではすぐそこなのです。油断していると貴族の面目を失う事となりますから注意しましょう」
学園長はここで話を切った。
「さて、本日で一学期も終わり、明日から夏期休暇となります。みなさんはどんな休暇をお過ごしになるのか、予定を立てて計画的に過ごしていきましょう。高等学校の夏は三回しかありません、くれぐれも無駄に過ごさないように、沢山の良い思い出や、有意義な勉強をして二学期を迎えてくださいね。それでは、終業式の挨拶を終わります」
全校生徒から拍手が起こった。
やあ、良い終業式だった。
夏、やすみ、だっ!
と、思っ、たら、ホームルームが、あった!!
一年A組でアンソニー先生が夏休みの栞を配り、休みの注意点をこまごまと伝えてきた。
早く夏休みに入らせろよう。
「それでは、これで一学期は終わります。みなさん良い夏休みを過ごしてくださいね」
日直の号令で「起立、礼、着席」で、夏休みである。
「やったーっ! 夏休みだー!」
「夏休みね、楽しみだわ」
「楽しい事を一杯して、一生の思い出をわんさか作ろう」
「うふふ、一学期中にも沢山一生の思い出が作れたけどね」
「もっともっと、わんさかわんさか作るんだーっ」
夏休みの期待で私の胸ははちきれそうだね。
まあ、あまりふくらんではないけど。
「あの、聖女さま……」
「はい」
あまり喋ってなかった秀才さんが声をかけてきた。
レースの時には喋ったけど。
「昨日はその、聖女の湯が……」
「「あっ!!」」
「わああ、今日、替わりに入れますから、ごめんなさい」
「い、いえ、昨日は騎乗レースでお忙しかったのに催促するようでごめんなさい、でも、聖女の湯が最近楽しみになって、持病の湿疹も綺麗に治ってしまって、感謝してますの」
「あ、ありがとうございます」
しまった、昨日はレースの後で学園に寄らないで邸宅でお風呂入ったり晩餐したりで、大浴場に聖女の湯の素を入れるのを忘れていた。
「ランチが終わったら必ず入れますから」
「はい、ありがとうございます」
秀才さんははにかんで一礼して帰っていった。
「いかんいかん、忘れていたよ」
「聖女の湯のファン、多いからね」
「ひよこ堂ランチを済ませたら、すぐ入れよう」
「そうね」
どやどやとB組の派閥員が入って来たので連れ立って廊下を歩く。
「今日はひよこ堂だな、しばらく食べれなくなるので寂しいな」
カーチス兄ちゃんがそんな事を言い出した。
バカンスが終わって、それぞれの領地に帰る派閥員はしばらく、ひよこ堂のパンは食べられないね。
「みんなはバカンス行ったら、その後は領地?」
「僕は王都……」
「私は帰るわよ、領の仕事が溜まっているから」
王都残留組と、領地に帰る組がいるのかあ。
送る道筋とか考え無いとね。
エイダさんと相談しよう。
階段で、二年生と三年生の派閥員を吸収して玄関から外へ出た。
女子寮前で、グレーテ王女とペペロンとナージャ、あとメリンダさんがいて合流した。
「聖女さまの実家のパン屋さん、楽しみですっ」
「パンパン~~」
「私は食べましたけど、美味しゅうございましたわ。おすすめはクリームコロネですわ」
グレーテ王女は甘い物好きだからね。
終業式後なので、ひよこ堂の混み方は凄かった。
やっぱり帰省する生徒とかはお別れに食べるのかねえ。
列に並んで待って、やっと店内に入れた。
「わあ、良い匂いです、色んなパンがありますよ」
「いっぱい食べていい? グレーテ?」
「ほ、ほどほどにね、あまり金貨は持って来てませんのよ」
いや、ひよこ堂のパンは金貨一枚で結構買い占められるぞ、グレーテ王女。
順番が来たので、お父ちゃんに聖女パンと卵サンドを頼んだ。
「あいよ、マコトも夏休みだな」
「そうなんだよ、ホルボス村が夏祭りだから、父ちゃんたち来ないかい?」
「マコトの領地かあ、一度は挨拶しておきたいが、パン屋を休むのはなあ。そうだ、クリフ、お前が行ってこい」
「ああ、そうするかな、馬車で半日ぐらいだっけか」
「飛空艇に乗せるよ、兄ちゃん」
「お、おう、飛空艇か、怖いな……」
「怖くありませんわよ、蒼穹の覇者号はとても安全ですわっ」
メリンダさんがクリフにいちゃんに喰ってかかった。
「は、はあ、そうですか」
「あ、あら、ごめんなさいませ」
「あ、いえいえ、ありがとうございます」
クリフ兄ちゃんは笑って、クロワッサンをオマケしてあげていた。
さて、自然公園でランチにしよう。
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