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第1372話 レーススタート!

 私は第三チェックポイントまで障壁通路を作り、選手を運んで行った。


「ありがとうな、聖女さん」

「パスカル部長も良い所見せないとね」

「まーな」


 パスカル部長は照れくさそうに笑った。


 さて、ヒューイに乗って障壁の通路を逆に走る。

 私が通過したら、移動用の障壁を消していく。


 とっとこ走って山頂に戻り、今度は、第四チェックポイントと第五チェックポイントの選手を輸送する。


 第四チェックポイントまで輸送したら、私は第五チェックポイントの待合所へと入った。


 さて、準備完了だな。


 待機所の壁に魔導モニターが設置されて、蒼穹の覇者号のドローンからの動画が映し出されていた。


 モニターにはスタートゲートに並んだ五騎の騎獣がいた。

 騎手はそれぞれ、首にタスキを掛けている。

 このタスキを次の走者に渡してリレーして繋いで行く。

 プートリー山を駆け下り、そして駆け上がるのが今年のレースなのである。


 ケビン王子がスタートゲートの横の台に立つ。

 

「位置について」


 彼はゲートオープンのレバーを握った。


「用意! スタート!!」


 王子がレバーを押し下げると、ガチャンと音を立ててゲートが開き、各馬一斉に嵐の中に飛びだした。

 障壁の無風状態からいきなり暴風雨の中に飛びだしたので、軍馬はいななき、ペガサスが少し流された。

 が、各馬は姿勢を正して山道を駆け下りていく。


 一番手は神学校のスレイプニル、二番手は魔法学園の軍馬、三番手が農学校の軍馬、四番手に師範学校の軍馬、五番目に騎士学校のペガサスであった。

 ペガサスは姿勢を低くして道を探るように走る、だが、軍馬の速度には着いていけずに引き離された。

 スレイプニルはさすがに安定して早い、足が六本あるからね、下りで大嵐でもどっしりと安定して走っている。

 我が魔法学園騎乗部の軍馬も良い感じで飛ばしている。

 さすがは古式テイムで人馬一体な感じで安定感あるね。


 第一騎馬は第一チェックポイントに飛びこみ、次の騎馬へタスキを渡す。

 神学校のスレイプニルが一位通過、軍馬にタスキが渡った。

 魔法学園の軍馬が二位通過、また軍馬にタスキが渡る。

 農学校、師範学校、騎士学校と第二騎馬にタスキが渡った。


 とにかく嵐の山道だ、道が狭いので追い越し難い。

 騎士学校のペガサスが羽を広げ、滑空するようにつづら折の下の道へとショートカットしようとした。

 が、風に煽られて藪に落ちた、姿勢を建て直し、道に戻るが、結局最後尾に付く感じになった。


 第二チェックポイント前で、神学校と魔法学園の軍馬による競り合いが起こる。

 なかなか狭い道だが、魔法学園の軍馬が隙を突き、姿勢を低くして追い抜き一位に躍り出て、チェックポイントを通過、次の騎手にタスキを渡した。


「やったあ!」

「くっ、やりますねっ」


 神学校の部長さんがモニターを見て悔しがった。


 神学校が二位通過、スレイプニル騎手にタスキを渡した。

 農学校、師範学校、騎士学校と順序変わらず第三騎手にタスキが渡る。


 第二から第三チェックポイントまでの道は麓道になり、結構広くなってきている。

 魔法学園の軍馬は神学校スレイプニルに肉薄されているが、農学校の騎馬も、師範学校の騎馬も距離をつめてくる。

 麓近いので風が弱くなって騎士学校のペガサスが空に舞い上がった。

 空中で、師範学校、農学校の騎馬を追い越して行く。

 が、一陣の強い風で飛行がよれて吹き飛ばされそうになった。

 なんとかコントロールしてペガサスの馬体を立て直したが、その隙に師範学校、農学校の騎馬が速度を上げ、魔法学園、神学校の騎馬に肉薄する。


 もう、一団の団子状態で第三チェックポイントに騎馬たちは飛びこんだ。

 鼻の差ぐらいで魔法学園が一位で通過し、タスキをパスカル部長に渡す。

 神学校の次の騎馬は軍馬だった。

 最後のスレイプニル騎馬は私の隣に居るな。


 師範学校と農学校は同着ぐらいで三位、四位で通過、次の騎手にタスキを渡した。

 騎士学校のペガサスは着地に失敗したのか、足を引きずって第三騎手にタスキを渡した。


 騎士学校のペガサスが羽を広げた。

 麓辺りは木々が多く、風が和らいでいるから飛行できるのか。

 第三チェックポイントは麓から登り返す感じになる。

 ペガサスが飛行してショートカットをして飛ぶ。

 が、少し上ると木々が減り、風が強い。

 ぐらぐらと揺れて見ていて怖いな。


 そして、第三から第四チェックポイントには他には無い地形がある。

 沢だ。

 大嵐で増水した沢が道の隣を轟々と流れている。


 パスカル部長が操るケルピーのジョガーは氾濫する沢に飛びこみ、水面の上を駆け始めた。

 揺れて飛行するペガサスの下を矢のようにジョガーは走り抜ける。


「うわあ、ケルピー良いね、聖女さん」

「水辺だと強そうね」


 農学校の部長さんが声を掛けてきた。


 パスカル部長は背を丸くしてジョガーの上で騎乗し、第四チェックポイントに飛びこんで、次の走者にタスキを渡した。


 第三位は師範学校、第四位に騎士学校が入った、第五位は農学校だ。


 第四から第五へはまた登り道だ。

 道も細くなっていくから、抜かされると挽回が大変だ。

 ふとっちょさんが軍馬を巧みに操り、つづら折の細い道を駆け上がってくる。


 よし、早くきて。


《よし、俺はやるぜ!》


 ヒューイは闘志満々で羽を広げた。

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― 新着の感想 ―
川獺先生の作品で「競争の場面」って初めて読むような気が(俄か並み感想
なんかヒューイだけ嵐の中でも普通に飛べそうだなww 「悪く思うなよ。インベタのさらにインは、空中に描くラインだ。高低差の大きい山道特有のヘアピンカーブ。ペガサスだからこそ実現可能な、掟破りの地元走り…
このレースでケルピーの悪天候や水辺での有用性が再確認されたろうね。湖沼や川べりなど水の多い地形で採用が増えるといいな。ペガサスの航空戦力が強大なのは勿論だが、単一兵種に寄りすぎると実戦では対策され付け…
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