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第1367話 ワイバーン嵐の朝

 轟々という音で目をさました。

 カーテンを開けると早朝なのかまだ薄暗い。

 強い風が立木を揺らして轟々と吹いていた。


「おおー」

「雨はまだみたいだな」


 コリンナちゃんも起きていて、窓の外を見つめてぽつりと言った。


「厩舎集合は良く無かったかもなあ」

「軍馬が多いから地下道に入れるのが難しいんだよね」

「ああ、たしかに」


 丸くなって寝ているマメちゃんを影に落として私はハシゴを降りて着替えた。

 今日は乗馬服だな、ヘルメットゴーグル付きで、雨具も着込む。


「格好いいね」


 カリーナさんとマルゴットさんも起きてきた。


「おはよう、マコト。厩舎前に集合かい?」

「いや、派閥員は大浴場前にいて、地下道から蒼穹の覇者号に乗り込みましょう」

「それがいいわね、外は荒れ始めているから」


 二人のメイドさんは服を着替えて出勤していった。


《起きた起きた、行くぞ行くぞ》


 ヒューイの元気な念話が飛びこんできた。


《がおがお》

《めーめー》

《おはようございます》


 コリンヌさんはライ一郎とヤギ次郎を出すのに厩舎前だな。


 部屋がノックされて、返事をするとカロルが入って来た。


「おはよう、良い大嵐ね」

「そうだね、雨が降る前に一便をプートリー山に飛ばしましょう」

「そうね」


 三人でエレベーターを使い地階に行くと、エルザさんとメリッサさんとマリリン、あとヘザーさんがいた。


「おはようございます、マコトさま」

「いよいよレースですわね、楽しみですわ」

「誘ってくれて助かったわ、マコトさん」


 ヘザーさんはいつものように宝塚っぽいよね。


 みんなで地下道に行くと、地下道前で、ヒルダさんとジュリエットさん、カトレアさん、コイシちゃんがいた。


「どうせ地下道を使うのだからと、入り口で待ってましたわ」

「それは正しいかも、厩舎前は風が凄そうだからね」


 女性陣はこれで全員ピックアップかな。

 念話を繋いでみると、コリンヌさんは厩舎前でライ一郎とヤギ次郎、ヘビ三郎を出していた。

 ヒューイも出て来て、あちこち歩き回っている。


 地下道を行き、蒼穹の覇者号に乗り込む。


「今日は私が操縦するわ、マコトは楽にしていて」

「ありがとうね、カロル」

【本日、アップルトン王都地方は爆弾低気圧に見舞われ、嵐となっています。今は風だけですが、もうすぐ雨も降るでしょう】

「飛行の方はどうかしら?」

【これくらいの悪天候なら問題ありません】


 おお、やっぱりエイダさんは頼りになるなあ。


 カロルが出力レバーを押し上げ、トンネルの中を微速前進していく。

 格納庫内にも風が入ってきて布切れなどが吹き飛ばされた。


 蒼穹の覇者号が着陸台まで出ると風が強く吹いて、少し揺れた。


【自動姿勢制御がありますのでご心配なさらずに】


 エイダさんがそう言うと、船体から三枚の羽が出て展開された。

 スタビライザーかな。


「まずは厩舎ね」

「男衆と、騎乗部の騎獣と選手を積まないと。あとコリンヌカルテットと」

「了解よ」


 カロルは少し高度を上げて操舵輪をくるくる回して回頭した。

 ゆっくり前進して、厩舎前の広場にふわりと下ろした。


 男衆と騎乗部のみんな、あとコリンヌカルテットは風であちこちめくれ上がりながら、船に駆けよってきた。


 私は外に通じる伝令管の蓋を開けた。


「騎獣は後部ハッチから貨物室に入れてね」

『わかった、たすかる』


 マヌエルも驢馬に乗ったままタラップを上がって船にのってきた。

 器用だなあ。


 カーチス兄ちゃんとエルマーもメイン操縦室に入ってきた。


「凄え風だな、これはペガサス飛べねえぞ」

「良かった良かった……」

「まだ、雨も降るみたいだから、どうなるやら」


 コリンヌさんもカルテットもやってきてメイン操縦室でくつろいだ。


 私は艇長席を下りて、貨物室の騎乗部を見に行った。


 軍馬三匹にケルピー一匹だと貨物室がパンパンだけど、なんとか入った。


「おう、ありがてえな、聖女さん」

「あんたらはラウンジに行って朝飯たべなさいよ、ハムエッグとお茶ぐらいは出せるよ」

「そりゃ、ありがたい」


 騎乗部員たちは愛馬に大人しくするように言ってから螺旋階段を上ってラウンジに行った。

 マヌエルも驢馬に乗って付いて来た。


「あんた、そのうち自分の足が萎えちゃうよ」

「大丈夫だ、そこまでは乗ってねえし」


 見る限り、ずっと乗ってるように見えるのだが。


 ラウンジでは、メイドさんたちが、ミニキッチンで朝ご飯を調理していた。

 派閥員にも出すから結構量があるね。


《行くぞ行くぞ》


 ヒューイが甲板に降りて来て張り切っていた。


「マコトも喰っちまいなよ」

「そうするかな」

「やあ、暖かい朝ご飯は助かるな」

「今の風ならレースはやりそうだね」

「ふひひ、騎士学校め、今にみてろ」


 私はラウンジのソファーに座って、騎乗部員達と、ハムエッグとトースト、お茶の朝飯を食べた。

 なかなか美味しいね。

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― 新着の感想 ―
なんかハゲがごちゃごちゃ言ってきそうな予感がするんだよね。 中止だーっ!中止だー!とか、聖女が嵐を呼んだんだー、とか。 王様、ハゲがごちゃごちゃ抜かすようならヤクザキック喰らわせてやってお願いします。
「いくぜいくぜ!やるぜやるぜやるぜ!」 ヒューイがテンション高いハスキー犬みたいになっとるwww
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