第1365話 学園に帰ってお風呂に入る
蒼穹の覇者号は森を飛び越してビアンカ邸基地の入り口のある渓谷上空を飛んでいる。
エルマーが操縦してくれるので、私は艇長席でふんぞりかえっていれば良いのでラクチンであるよ。
メイン操縦室では、ライ一郎、ヤギ次郎が遊んでいるな。
ヒューイとヘビ三郎は甲板である。
「明日は早朝からプートリー山ね」
「そうだよん」
「じゃあ、操縦は私に任せてね」
「ええ、悪いよカロル」
「マコトは騎獣レースの選手なんだから、私たちに任せて」
「任せろ~……」
「ありがとう、カロル、エルマー」
なんだか嬉しくなって、胸がジーンとしちゃうね。
ありがとうありがとう。
「明日の朝は騎乗部の人達も乗せて行く感じね」
「そう、あと派閥員。子供達はアダベルがつれて来てくれるよ」
「……、天気次第で子供達も送迎した方がいいわね」
「あ、そうだね、あんまりの大風だと危ないか」
「天気を見て考えましょうか」
「そうね、ありがとうカロル」
色々と補足して考えてくれるので助かるよ。
たぶん、ドラゴンが飛べないぐらいの大嵐なら、白銀の城号とか、成層圏の召雷号も飛べないだろう。
飛空艇が飛べるぐらいで、かつペガサスの飛行に支障が出るぐらいの丁度良い大嵐が来れば良いのだが。
そう、上手く行くかな。
エルマーはスルスルと高度を落とし、バックで蒼穹の覇者号をトンネルに入れて行く。
安定してるなあ。
ヒューイが勝手に甲板から飛んで行った。
厩舎に戻るっぽい。
なんという手間いらずの騎獣であろうか。
着陸位置マークぴったりに着地させてエルマーはふうと一息つついた。
「すごく上手くなってるね、エルマー」
「嬉しい……」
「負けていられないわっ」
「もー、艇長は私なんだからねっ」
パイロット組は顔を見あわせてほがらかに笑い合った。
「それじゃ、ライイチローとヤギジローを厩舎に入れてきまーす」
「はい、行ってらっしゃい、明日も行くの?」
「がうがう」
「めーめー」
当然ですぞ、とばかりに、ライオンとヤギは騒いだ。
解った解った。
「僕は男子寮だから……」
エルマーはライ一郎のタテガミをもしゃもしゃしながら歩いていった。
「また明日ね、エルマー」
「また明日……」
エルマーは微笑んでコリンヌさんたちと一緒に待合室に消えていった。
「さてと、お風呂に入って晩餐かな、カロルは?」
「一緒に入ろうかな」
最近カロルは一緒にお風呂に入ってくれるようになって、より仲良くなった感じで良いねっ。
マメちゃんが目を覚まして、影から出て来てよちよちと歩いていた。
君はだんだん大きくなるね。
地下道を行って女子寮へと入る。
地下大浴場に入って脱衣所で服を脱ぐ。
浴室に入るとヒルダさんとお洒落組が居た。
「領袖、お疲れ様です」
「お疲れ様です~~」
「ついにレースが明日ですわね」
「明日だよー、早朝に厩舎前集合ね」
「朝食はどういたしましょうか?」
あ、考えて無かったなあ。
「ラウンジにパンとハムエッグを準備しておきます」
「わあ、ダルシー、お願いできる?」
「お任せください」
「シャーリーにも手伝わせましょう。蒼穹の覇者号はVIPが乗るので人手がいりますわね」
「ミーシャさんもお借りしようかな」
「派閥員のメイド達を使うべきですね」
たしかにそうだね。
早朝にプートリー山に運んでいる間に、騎乗部の人達にも朝ご飯を食べさせられるな。
「お昼はどうしようか」
「騎乗レースは午前中に終わり、例年だと王宮で授賞式と食事会がありますよ」
「おお、そうだったのね」
レースの後半は王宮での行事になるのか。
それは楽しみだなあ。
王宮料理美味しいからなあ。
かけ湯をして湯船につかる。
マメちゃんがばちゃばちゃと泳いで遊んでいる。
「なんだか、マメちゃん、大きくなりましたね」
「ピーちゃんはどうよ」
「ええ、だんだんふっくらしてきましたわ、もうすぐもこもこになるんですわよ」
ヒルダさんはピーちゃんが好きだなあ。
「ああ、私も従魔がほしゅうございますわ」
「ですわねえ、もこもこさんがほしゅうございますわ」
「古式テイムを試してみれば良いよ、小物なら結構簡単だしさ」
「素敵ですわねえ」
「こんど、クヌートさまに教えて貰いましょうよ、マリリン」
「そうですわね、メリッサさま」
メリッサさんには小動物が似合いそうだけど、マリリンはなあ、大型肉食獣とか似合いそうだが。
凄い豹とかね。
「というか、影獣が面倒臭くなくていいのよ」
「いいですわねえ、影の中に引っ込んでいて、用があったら出ていらっしゃる」
「いや、影を伝って勝手に外に出ておトイレするから」
「「あーあー」」
乙女たちにとってペットの用便は悩みの種なのだ。
臭いし、掃除がね。
まあ、大体メイドさんがやってくれるけどさ。
影獣はそこらへん勝手にやってくれるので大分楽なのであるよ。
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