第1359話 晩餐を食べて寝てしまおう
晩餐まで時間があるので、図書館の椅子に座ってカロルと一緒に読書である。
ん~~~~。
本を要約すると、先史魔導文明では色々進んだ魔導の製品が流通して、この世の極楽みたいな世界になっていたが、大戦争が起こり、ほぼその頃の魔導技術は失伝したらしい。
時々、遺跡からオーパーツみたいな高度な魔導兵器が掘り出される事があり、高値で売買されている、との事。
この手の魔導製品は高性能がために戦争を巻き起こす事もあり、戦争のたびに飛空艇がどんどん落ちていき、現在のような状況となっているそうだ。
結局まあ、なんだか解らないが解っている事らしいね。
『古代の飛空戦艦』であるが、まあ、昔はもの凄い大きい魔導戦艦が浮かび、艦隊を率いて大戦争をしていたらしい。
現在各国に平均二隻ある飛空艇は、その頃の空中戦艦や空中駆逐艦のエンジンを掘り出して新造された物が多いらしい。
古文書に書かれた大きな魔導空母の絵があった。
『コウラルエイダ』って書いてあるな。
エイダさんの昔の機体なのか。
「エイダさん、これを見て思い出す事は?」
【うーん、何も思いだしませんね】
だめかあ。
カロルが本をのぞき込んできた。
「これって、エイダさんの昔の機体かな」
「そうかもしれないけど、解らないね」
【解りませんね】
この巨大船の魔導頭脳をビアンカさまはどこかで見つけて飛空艇を組んだんだろうなあ。
というか光魔力エンジンはどこで掘り出してきたんだろう。
勇者と聖女ならば、燃料費が只になるという恐るべきエンジンで便利に使わせて貰っているけどさ。
ちなみにマジックミサイルはバカスカ使うと無くなるなあ、と思っていたら、ホルボス山基地に備蓄が二百発ぐらいあるらしい。
もう、マジックミサイルは撃ち放題だね。
撃たないけど。
カロルは錬金術の専門書を読んで、ノートに抜粋している。
真面目だよねえ。
「魔法学園は貴重な錬金術の専門書が揃っていてありがたいわ。卒業までに全部読まないと」
偉い!
光魔法は専門書もアンチョコもないからなあ。
総本山にマリア様が書いた中級上級の教科書があるっぽいのだけど、なかなか送ってこないね。
悪い枢機卿か誰かが止めてんのかね?
本を読んでいたら良い時間になったので、地下道を通って女子寮へ。
エレベーターで一階に着くと派閥員が集まっていた。
皆で食堂へと入る。
「クララ、今日のお献立は?」
「ゆで卵入りミートローフ、レンズ豆のスープ、オニオンサラダ、黒パンだよ」
おお、卵入りミートローフかあ。
美味しそうね。
カウンターでお料理のお皿をトレイに乗せていく。
ミートローフは厚切りが二枚、卵がみえるね。
デミグラス系のソースが掛かっている。
トレイに料理を取っていき、最後にケトルからカップにお茶を注いでテーブルに持っていく。
毎日美味しい物が食べられるのは贅沢だよね。
イルダさん万歳。
皆が席に付いたので食前のご挨拶だ。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
ああ、ミートローフが良い匂い。
パクリ。
ああ~~、美味しいねえ。
ミートローフというのは、まあ、ハンバーグを四角くまとめてオーブンで焼いたもんなんだけど、良い塩梅で火が通って卵が良い味を出している。
デミグラスもよく合うね。
レンズ豆のスープも具沢山だなあ。
ちなみに光学製品のレンズは、レンズ豆の形から来た単語で、豆の方が元祖なんだね。
美味い美味い。
「マコト明日はどうするの?」
「レース前だけど、プートリー山の会場に行って、観客席を障壁で補強してくるよ」
「ああ、そうなのね」
「どう考えても雨ぐらいしか対応してないだろうから、下手をすれば大嵐で客席が飛んでいってしまうよ」
「領袖はお忙しゅうございますね」
「派閥員でレースが見たい人は、水曜日早朝に食堂に集まって、蒼穹の覇者号で連れて行くから」
「レースは見たいみょんな」
「覇者号で観戦できるのか、それは良い」
「メイン操縦室では子供達とも一緒だから、ちょっと狭いわよ。二等船室を開放するから、落ち着きたい時は使ってね。ラウンジは王族とか、VIPを収容するから立ち入り禁止ね」
「「「「了解」」」」
大嵐はうっとうしいけどペガサスが不利になるからなあ。
けけけけ。
食事が終わったので食器を返却口に返した。
もどってくるとダルシーがお茶を入れてくれていた。
「いつもありがとうね」
「いえいえ」
ダルシーは少し照れてはにかんだ。
私は伸び上がって、ダルシーの頭をよしよしとした。
彼女は目を細めて気持ち良さそうにしていた。
外では、少し風が出て来たようだ。
あわてんぼのワイバーンがもう近場に来てるのかもしれないね。
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