第1356話 キンボール家に行き、お義姉様(ねえさま)の結婚式の打ち合わせ
ランチを済ませたので、ヒューイに乗ってキンボール家に出発だ。
「半ドンだから午後は暇だな、マコトは忙しいのか」
「ジャンヌお義姉様の結婚式の打ち合わせにいかないと、暇だったら、派閥員は百貨店に行って雨合羽を買っておきなさいよ」
「そうか、水曜日は嵐になりそうだからか」
「私らも雨合羽欲しい」
アダベルが近くに来て言った。
「欲しい欲しい」
「子供用かあ、まあ、みんなで百貨店に行くか?」
「あ、でもホルボス村に行かなくては」
「後で、みんなを連れて大神殿に来て、下町で買いなさいよ」
「おお、そうだなー。みんな行こー!」
「「「「はーい」」」」
「アダベル、後で大神殿に行くから、オルブライト商会で雨合羽をしつらえましょう」
「おお、ありがとうカロル」
うんうん、というか何でも商っているなオルブライト商会、中世のドラッグストアなのか?
「俺らは百貨店で良い雨合羽を買おう。そして帰りにアイスクリンを食べよう」
「良いね……」
みんなが別れて月曜の午後を過ごすようだ。
私はキンボール家だな。
「そいじゃ、またなー」
「おーう」
というか、私も雨合羽買わないと。
あと、神学校とか農学校とかに嵐があるから雨具を用意しとけって一報しときたいな。
騎士学校? あいつらは人の話を聞かないからなあ。
うん。
ヒューイをダカダカッと走らせてキンボール邸である。
馬丁さんに手綱をわたしたけど、ヘビ三郎がくっついていたので、ぎょっとしていた。
コリンヌさんに渡すのを忘れていた。
まあ、良いか。
「まあまあ、マコトちゃん、お帰りなさいっ」
「土曜日は事情で泊まりにこれなかったので、今日来ましたよ」
「そうなのね、さあ、入って入って」
お養母様に熱烈歓迎をして貰って、私は家に入った。
「やあ、マコト、お帰り」
「ただいま帰りました、お義父様」
「マコト、お帰り」
「王都入りしてたんですか、ブラッドお義兄様」
「昨日戻ったよ、結婚式前は色々と書類を出さなくてはならないからね」
応接間でソファーに座ってお茶を飲みながら一家団らんである。
「水曜日に騎獣レース、金曜日にブラッドの結婚式、土曜日はホルボス村の夏祭り、そして日曜から一週間、リシュエール諸島でバカンスか、忙しいね」
「お父様は騎獣レースの方は?」
「見たいね、ハンナは?」
「見たいわ~、ブラッドもジャンヌさんも来なさいよ」
「そうですね、準備の手を止めて観戦しましょうか」
「それでは、水曜早朝に蒼穹の覇者号で行きましょう。雨具を用意して大神殿で待っていてください」
「雨具? 雨が降る予報なのかね?」
「というか、大嵐になりそうですよ」
「それは……」
「あらあら」
「ペガサスが不利になるな、これは面白い。マコトが魔法で悪さしている訳ではあるまいね」
「私は無実ですよ、なんの関連もございません」
キンボール家は家格が低いからラウンジに置くのは難だな、二等船室に家族四人入れておこうかな。
「ブラッドお義兄様の結婚式は王国ホテルでしたか?」
「そうだね、終業式が終わったら、ドレスを持ってここにきなさい」
「はい、お養父様」
「なんだか慌ただしいけど、楽しみね」
「ホルボス村の夏祭りはどうしますか? お養父様とお養母様は参加なされますよね」
「そうだね、マコトの領地だから顔を出さないと」
「夏祭りは良いわね」
「ブラッドお義兄様は?」
「新婚旅行の船の予約があるから、また来年だね」
「それは残念です」
うん、キンボール家側の予定は大体詰めたな。
大型なのはブラッドお義兄様の結婚式だが、私は結婚当事者では無いから割と気楽であるね。
私はお茶を飲み干し、クッキーをバリバリとかみ砕いた。
「それでは、私はこのへんで、何かあったら寮の方に連絡をください」
「あら、晩ご飯を食べて行きなさいよ」
「ちょっと、雨合羽を調達しないといけないので、ごめんなさい」
「水曜日の騎獣レースは頑張りたまえ」
「はい、頑張りますよ、お養父様」
「いつもながら、我が妹は忙しいね、頑張ってね」
「はい、ありがとう、ブラッドお義兄様」
外に出て、馬丁さんからヒューイの手綱を貰う。
「お、おお? ヘビは飾りじゃないのかね」
「バラのキメラの一つです、ヘビ三郎ですよ」
ヘビ三郎はぺこりとお養父様に頭を下げた。
お養父様は恐る恐るヘビを撫でた。
「おお、すべすべだ」
「あら、本当ね、ヘビちゃん、お家の子にならない?」
「お養母様ヘビ三郎を誘惑するのはやめてください、困ってますよ」
「あら、おほほほ」
やっぱりキンボール家はまったりしていて居心地がいいなあ。
私は家族に手を振ってヒューイに乗って路上を走った。
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