第1354話 月曜日はコリンナちゃんの追い回しから
さあ、キリキリ走れい。
という所だが、なんかコリンナちゃんが変わった。
一定のフォームで二周とかしおったぞ。
そんなに息も切れてない。
「おおお、コリンナちゃん進化した!」
「すごいわねっ」
「さすがに、解ってきたよ」
どうもフォームを固持した方が最終的に楽だと気が付いたようだ。
大幅前進だねえ。
「すごいよコリンナちゃん!」
「これで朝のランニングは終わりだね」
「「え?」」
「何言ってんの、目標はグラウンド五周だよ」
「それに終わりは無いわよ、ずっと五周よ」
「うへえ」
コリンナちゃんはへたり込んでしまった。
そりゃそうだろう、グラウンド二周出来たのは快挙だけど、一週間も休んだら元通りになっちゃうよ。
カロルと二人でコリンナちゃんを引っ張って蒼穹の覇者号へと連れて行き、三人でシャワーである。
洗濯したての下着と制服を着けてさっぱりしてラウンジでダルシーの入れてくれたお茶を飲む。
マメちゃんもダルシー謹製の煮こごりを貰ってワシワシ食べている。
「思ったより早かったね」
「そうね、二学期までかかると思っていたわ」
「意外と走れるので、自分でも驚いているよ」
「なによりなにより、良い文官には体力が要るからね」
やあ、友だちが結果を出すと嬉しいね。
コリンナちゃんはしかめっ面でお茶を啜っているけれども。
「授業の方は学期末シフトで、試験の答え合わせぐらいで、午後の魔法の授業も無いよ」
「おお、それは助かる」
「元々マコトは午後の授業ないじゃんよ」
「無いけどさあ、おおっぴらに校外には行きにくいし、いろいろとね」
「週末はお義姉様の結婚式よね」
「あ、しまった土曜日にキンボール邸に泊まりに行くの忘れてた。今日行ってスケジュール聞いてくるかな」
「それが良いわよ」
「水曜日はレースと、学期末なのに忙しいよな」
「まったくだよ」
お茶を飲み終わったので、地下道を通って女子寮へと向かう。
エレベーターホールには派閥員が揃っていて、朝の挨拶をして、食堂へと入る。
今日はナッツポリッジの口だな。
みんなで朝ご飯を食べる。
何となく夏休み前の浮ついた明るい感じが食堂にも漂っているね。
朝食を食べ終わったら登校であるよ。
みなでぞろぞろと歩く。
階段で、B組で、それぞれ派閥員と別れ、私とカロルと剣術コンビだけがA組に入る。
「ああ、キンボール、あとで騎乗レースの打ち合わせをしよう。王様から、外国の要人まで来るのでな」
「あんたらも来るの?」
「とうぜんだ」
「とうぜんだよ、キンボールさん、おはよう」
「プートリー山山頂が貴賓席って話だけど、白銀の城号は停泊できないだろ」
「たしかに、飛空艇令嬢の飛空艇も大型だから麓に置かねばなあ」
「頂上に貴賓席を作って、蒼穹の覇者号でピストン輸送する?」
「頼まれてくれるとありがたい、丁度良い大きさの飛空艇が無くてなあ」
麓に大型飛空艇を停泊させて、そこから蒼穹の覇者号で山頂にピストン輸送だなあ。
偉いさんを山道歩かせる訳にはいかないしね。
「ジーン皇国のグレーテ王女は何で来られるのだ」
「ペペロンって影竜に乗ってくるな。だから山頂へは手間がないよ」
「もう、敷設部隊をプートリー山山頂に送るべきではないかな」
「あ、今日から入りますよ、王子」
アダべル以下の子供達も早めに輸送して、派閥員も先に輸送しておくか。
つうか、アダベルは籠で子供たちを運んでくれないかな。
ちょっと、後で打ち合わせをしよう。
「二日前から貴賓席って出来るもんなの?」
「ああ、毎回レースに使われる組み立て式の木製貴賓席があってな、持って行って設営するだけだからそれほどの手間でもない」
おっと、アンソニー先生が来た、続きは後でだな。
私は席に付いて、ホームルームを受けた。
学期末の短縮授業になりますが、浮つかないでテストのふり返りをちゃんとやって学力に変えましょう。だそうだ。
さてさて、午前の授業である。
国語、数学、魔術理論、と、学科はテストの答え合わせの授業だね。
わりとラクチンだ。
武道の授業も、まあ、割といつも通りである。
コイシちゃんと組んで、木刀を使ってカンカンやったよ。
武道大会は春にあるだけで、秋にあるのは魔法大会といって、魔法戦闘メインの勝ち抜き戦だね。
魔法大会の方は出ても良いかなあ。
A組に戻ると、アンソニー先生が来て、終わりのホームルームである。
夏休みまでの一週間は半ドンなんだな。
「マコトー、昼飯はどうする」
カーチス兄ちゃんがやってきて聞いて来た。
「どうしようか、良い天気だからひよこ堂でパンを買って自然公園に行く?」
「そうだな」
「異存はないぞ」
「そうだね」
王家主従も付いて来る気まんまんだなあ。
まあ、月曜だから良いけどね。
派閥員を拾って校外に出て、ひよこ堂でパンを買った。
うーん良い天気だなあ。
というか、初夏なんで暑いな。
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