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第1353話 晩餐を食べて寝てしまおう

 お風呂から出て、お洒落組の二人とロビーでわちゃわちゃ話していたら晩餐の時間となった。

 膝の上で撫でていたマメちゃんを影の中に放り込んで立ち上がる。

 エレベーターホールに行くと、派閥員がみんな揃っているね。


「レースの練習はどうだったの、マコト」

「それがさあ、騎士学校の奴らがいて、いろいろ嫌がらせをされたよ、まいっちゃう」

「あらあら、ケビン王子に言って抗議してもらう?」

「いいよ、別に」


 抗議したところで、ハゲ由来の馬鹿が治る訳じゃあないからなあ。

 それに王子に頼ると騎士学校にレースで敵わないから素行を抗議した、みたいで格好が悪い。

 抗議するにしても、レース後だね。


 とか考えながら食堂へ入った。


「クララ、今日のお献立は?」

「舌平目のムニエル、コンソメスープ、トマトサラダ、黒パンよ」


 おお、舌平目。

 海の魚とは贅沢だなあ。

 というか、バカンス先では海鮮食い放題だろうなあ。

 じゅるり。

 蓬莱素材屋に行ってお醤油とワサビを手に入れておくかな。


 この世界は偽欧州なんだけど、思っているよりも、ずっと東洋との交易が盛んだ。

 お寿司屋が王都内にあるぐらいだからねえ。

 お醤油もワサビもあるってもんさ。

 とはいえ、ワサビは西洋ワサビ(ホースラディッシュ)かもしれないが。


 トレイにお料理を乗せて行き、最後にケトルからカップに冷めたお茶を注ぎ、テーブルへと持っていった。


 わあ、バターの良い匂いがするな。

 おいしそうである。


 派閥員が揃ったのでお食事のご挨拶だね。


「いただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 キコキコ、パクリ。

 んーー、脂がのっていて美味しい舌平目だなあ。

 塩の塩梅もちょうどいいね。

 ああ、おいしい。

 パクパク。


 コンソメスープも深みがあって美味しいなあ。

 イルダさん謹製のコンソメ大好き。


 トマトサラダも新鮮で美味しい。


 ああ、美味しいねえ。

 充実してしまう。


「諸島に来れば、これくらいの舌平目は食い放題だぜ」

「あ、やっぱり、シルビアさん。マグロは獲れる?」

「マグロも(カツオ)もとれるぜ、あと(アジ)だな」

「タラはみょん?」

「タラは北海だ、コイシ」

「しおしおだみょん、新鮮なタラが食べたいみょんなあ」

「タラは冬だろ、今の時期は塩ダラだ」

「まあ、美味しい物一杯あるからよ、期待しとけ」

「楽しみだなあ」


 漁業の領の姫様がいるのは助かるな。

 しかし、(アジ)か。

 (アジ)フライ……。

 ソースもツバメ食堂に買いに行かないと。

 揚げ物用油も持ってかないと駄目かもね。


「夏休み、楽しみね、マコト」

「派閥のみんなと、孤児院の子と、アダベルと、トール王子とティルダ王女と、村の三馬鹿と、遊びに行くのは楽しそうだよ」

「そうよね」


 一年生の夏は一回だけだから、楽しまないとね。


 晩餐を完食した。

 あー、美味しかった。

 食器を返却口に持っていき返した。

 テーブルに戻るとダルシーがお茶を入れてくれていた。


「聖女候補、あなた騎士学校に馬糞をかけられたんですって」


 命令さんがパーティションの向こうから顔を出して唐突に言った。


「「「「何いっ!!」」」」


 派閥員がいきり立ち立ち上がった。


「いや、障壁で避けたよ」

「ああ、そうだったんですの、騎乗部員から聞いたって、ジェルマンが言ってましたから」


 小デブめ、騎乗部員と繋がっているのか。

 だれだろう、ぽっちゃり君かな。


「というか、ペガサスから馬糞を投げつけたのか、騎士学校どもは」

「いや、上空で馬糞たれただけだよ」

「なんて奴らだ、コイシ、騎士学校に殴り込みだっ!」

「行くみょんか、カトレアしゃん」

「やめなさい」

「しかし、マコト……」

「レース前に抗議したら、レースに敵わないもんだから抗議して嫌がらせって思われるわ、そういうのは嫌よ」

「「あ」」

「あ」


 カロルもジャリジャリーンとチェーン君を解いた。

 あんたも、それで殴り込みに行くつもりだったのかい。


「レースが終わったら、王家を通じて正式に抗議するから、今は自重して頂戴ね。あと、食堂で馬糞馬糞って言うのもやめてね」

「「あ、すまん」みょん」


 ヒルダさんが手を上げた。


「騎士学校に暗闘を仕掛けてもいいですか」

「なにするつもりよ」

「綺麗どころを使って騎乗部員全員を骨抜きに……」

「やめなさい」


 そんなアダルトな攻撃しようとすんな。


「騎士学校騎乗部は態度がなってませんが、対処はレースが終わってからにしますので、軽挙妄動はやめてね」

「「「「はーい」」」」


 なんだか、みんなしぶしぶという感じだな。

 みんな中世の人だから、舐められたら殺すの世界だからなあ。

 やれやれだよ。

 はやく、近代人権意識の夜明けが来ないだろうか。

 まあ、来ても、いろいろと大変は大変なんだけどさ。

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― 新着の感想 ―
派閥員の皆々様なかなか血の気が多いようで。まあ金的令嬢の派閥だから仕方ないかな(? ) 楽しみは後に取っておきましょう。
タラのムニエルもいいよね。 教会の方にもレース後に誰かチクらないかな。
アジの開き(干物)やくさやが天日干しされてる風景が・・・。 釣って、捌いて、料理していただく、ワイルドに育っていきそうな孤児や遺児たち。 あとケリーさんはもう少し淑女力を・・・馬◯、馬◯と他のお食…
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