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第1348話 女子寮に戻りお風呂に入る

 ホルボス基地のカタパルトから発射されると王都はすぐである。

 カロルは王都の南側から侵入して、大神殿の練兵場へ蒼穹の覇者号をふわりと下ろした。

 上手いね。


「マコねえちゃん、今日は楽しかったっ」

「マーラー領大好きっ、ヒルダさまありがとう」

「どういたしまして」


 孤児達が口々にお礼を言って船を下りていく。


「アダベルは?」

「女子寮から帰る、そっちの方がガクエンチョの家に近い」

「さいですか」

「ヒューイ号はどこで下ろせば良いかな」

《勝手に下りる》

「勝手に下りるってさ、カロル」

《ヘビサブローを持って行ってください》

《むろんだ》


 カロルは肩を竦めた。


「手間いらずで便利ね」


 まったくである。


 蒼穹の覇者号は大神殿の練兵場を離陸し、自然公園の上を通って学園裏の渓谷上空へと飛行した。

 ヒューイが後部貨物室から飛びだし厩舎に向けて飛んでいった。

 首にはヘビ三郎を巻いている。

 手間いらずだなあ。


 蒼穹の覇者号は垂直降下をして、バックで格納庫にしずしずと入って行く。

 そして危なげなく格納位置にタッチダウンした。

 素晴らしい。


「上手いね、カロル」

「日に日に上手くなる……」

「そんな事は無いわよ、マコト、エルマー」


 パイロット組の面々も操縦に慣れて来たね。

 なんだかんだで結構飛んでいるからなあ。


「エイダさんありがとう」

【いえいえ、いつでもどうぞ】


 メイン操縦室のデジタル時計を見ると、四時頃ね。

 夕方前だなあ。

 あ、ホルボス邸宅で温泉に入ってくればよかった。

 でもまあ、私は昨日地獄谷温泉に入ったからな。


「良い時間だからお風呂に行こうかな」

「そうね、入浴したら晩餐の時間になるわね」

「よし、私も入ろう」


 アダベルもか。


 蒼穹の覇者号を下りて地下道を歩く。

 男衆とは武道場口で別れるのだ。


「んじゃ、また月曜日になあ」

「おう、またなあ」

「また……」

「男子も大浴場へ行け」

「やだよ、めんどくせえ、自分の部屋に風呂あるのに」

「うむ……」

「でかい風呂の方が気持ちが良いのに」

「聖女の湯の日にたまに行くぐらいだなあ」

「そうだ……」


 わりと男子はお風呂嫌いなのかね。

 女子の方がお風呂好きというのはありそうな感じだけどね。


 男子どもに手を振って地下道を行く。

 階段を上がって女子寮地下へと入る。


 地下大浴場の脱衣所に入った。

 テスト休暇だから、ずいぶん空いているね。

 みんな街に繰り出して遊んでいるのかな。


 服を脱いで浴室に入る。

 おお、先客が一人しかいないね。

 かけ湯をして湯船に入る。


 あー、暖かいねえ。


 私の隣にカロルが入って来た。


「暖かいね」

「そうだね。でも邸宅で温泉に入れば良かったかな」

「邸宅の温泉も良いけど、私は寮の大浴場も好きよ」


 マメちゃんが影から出て、じゃぶじゃぶ犬かきをしていた。

 アダベルがつついて遊んでいる。


「やっぱ、飛空艇持ってるのはでかいなあ」

「それはそうですわ、他の派閥には真似出来ませんもの」

「燃料費はどうしてんだ、魔石代がとんでもなく掛かるだろう」

「光魔力で飛んでるから只だよ、シルビアさん」

「ま、マジか!! それはべらぼうな話だな!」


 まあ、燃料費掛からないのはべらぼうだよな。

 火魔石、風魔石で動くスタンダードエンジンだったら、いくら小型の蒼穹の覇者号といえど、もの凄い維持費が掛かったはずだな。

 光魔力エンジン、ありがたし、だ。


「燃料費只の飛空艇に、治療費只の光魔法、なるほど、聖女派閥が大きくなる訳だな」

「まあ、実利だけでももの凄いですわね。でも領袖の魅力はそれだけではありませんわよ、シルビアさま」

「人柄の魅力かあ、これはポッティンジャー派では敵わないだろうなあ。ジェームズ翁本人とかでもねえと」


 うっは、そんなに褒めるなよう。

 照れてしまうぞ。

 ぶくぶくぶく。


「シルビア、それは間違いだ、マコトといると楽しい、それが大きいんだぞ」

「そうか、守護竜」

「そうだぞ」


 カロルが私を見てニマニマしているな。


「マコトが照れているわ」

「そんなに偉くは無いぞよ」

「胸を張りなさい、みんな、マコトの事が大好きなのよ」


 いやいや、それはなんか嘘だから。

 うん。

 ぶくぶくぶく。


 照れくさいので洗い場に出たら、ダルシーにみっちり洗われた。


 ふたたび湯船で暖まり、脱衣所に出た。


 ダルシーにドライヤーで髪を乾かしてもらった。

 シルビアさんが興味深そうにしていたので、ダルシーに乾かしてもらった。


「おおお、これはすごい、快適だなあ。流行ってるのは知っていたが、こんなに良い物だったか」

「鍛冶部で売ってるわよ」

「よし、明日行って買ってこよう」


 お、シルビアさんもドライヤーが気に入ったみたいね。

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ナチュラルにドライヤーの販促に励む勤労聖女候補マコトちゃん。 簡易版もお土産にどうかな?シルビアさん。 ロイドちゃんいたけど、ダルシーちゃんがリックさんにうざ絡みされなくてよかったよかった。 そして…
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