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第1345話 ヒューム川上空を飛びヒルムガルドに向かう

 おっと、ヒューイに乗って散歩するのを忘れていた。

 奴はふてくされて甲板で座り込んでいるな。

 ちょっとご機嫌を取りに行こう。


「カロル、操縦をお願いね」

「わかったわ」


 私は艇長席を下りてメイン操縦室を出た。


 ……。


 なんで子供がぞろぞろ付いてくる?


「マコトが上に行くという事はおやつが出るという事だからな」

「ヒルムガルドでおやつ休憩にするからそれは無いわよ」

「そうなのか」

「ダルシー、ラウンジで子供達にジュースを出してあげて」

「わかりました」

「「「「わあいわあい」」」」


 私は甲板に出た。

 ヒューイが座っている。


「ヒューイの事を忘れていたわ、ごめんね」

《うむ、新しい街だから飛びたかったが、またにしよう》

「ありがとう」


 うん、快く許してくれたぞ。

 ヒューイの頭をなでなでと撫でた。

 マメちゃんが影の中から現れてヒューイにまとわりついた。

 ヒューイは鼻先でマメちゃんをつついて遊んでいた。


 蒼穹の覇者号はヒューム川上空高度五十クレイドを風のように飛ぶ。


 ヒューイにもたれかかって私も座り込んだ。

 君は体温が高くて暖かいね。


 すやあ……。


「マメちゃんマメちゃん」

「聖女さま寝てるね」

「う?」


 おっと、ヒューイにもたれかかってうとうとしていたようだ。


「あ、ごめんなさい」

「おこしちゃったよ、お兄ちゃん」


 トール王子とティルダ王女がマメちゃんを撫でていたようだ。


「大丈夫よ、ふわああ」


 立ち上がって辺りを見回すと、もうすぐヒルムガルドに着くぐらいの場所であった。

 寝過ごさないで良かった。


「トール王子もティルダ王女も、服は買えましたか」

「うん、普段着買ったー」

「お兄ちゃんとお揃いー」

「それは良かったですね。ガラリアさんも買った?」

「かか、買いましたー、マーラー領は安い」


 トール王子とティルダ王女の後にガラリアさんがいた。

 彼女も色々買い込んだようだね。


「そろそろヒルムガルドだから、着いたら下りてきてね」

「「はーい」」


 まあ、ガラリアさんが付いているから大丈夫でしょう。

 私は頭を振って眠気を飛ばしてラウンジへ入った。

 ラウンジでは子供たちがジュースを飲みながら大暴れであった。


「お、マコト、起きた」

「ちょっと寝てたわ、そろそろ着くから、着陸したら下りてきなさいね」

「「「「はーいっ」」」」


 子供達はいい返事をすると、大暴れ活動に戻った。

 まあ、子供は暴れまわるのが仕事だからね。


 ラウンジを下りて船室前の廊下を歩き、メイン操縦室に戻った。


「お帰りマコト、もうすぐ着くわよ」

「甲板でヒューイにもたれてたら、居眠りした」

「マーラー領は高山で涼しいですからね」


 ヒルダさんが教えてくれた。

 子供達がラウンジにいるので静かなものだね。

 よっこらせ、と艇長席によじ登った。


 前面ディスプレイにだんだんと大きく近くなるヒルムガルドの街が見えて来た。


 私は黄色い蓋の伝声管を開けて声を出す。


「こちらは艇長のマコト・キンボールです、そろそろヒルムガルドに着陸しますので下りてきてください」


 モニターに映るラウンジの子供たちが立ち上がるのが見えた。

 トール王子とティルダ王女もヒューイに手を振ってラウンジに入り、下りてきた。


 また子供達が戻って来て、メイン操縦室が騒がしくなった。

 まあ、いいけどね。


「ケリーさま、街のどこに下りたら良いですか?」

「そうね、丘の上公園が良いかしら、西橋亭も近いですしね」

「了解です」


 ポワンとマップが更新され、丘の上公園の広場に着陸するルートが現れた。


「良く出来てますのね」

「地図を出してくれるのかあ」


 命令さんとシルビアさんが蒼穹の覇者号の設備に感心したようだ。

 まあ、エイダさんが凄いからね。

 魔導頭脳を積んだ現行飛空艇は蒼穹の覇者号が唯一だと思うね。


 カロルは丘の上公園の広場に蒼穹の覇者号をふわりと着陸させた。


「お疲れさま」

「いえいえ、まだまだよねえ」

「上手いじゃんよ」

「もっと上手くなりたいわ」


 私の嫁の何と言う向上心か。


「着いた! おやつ!」

「「「「おやつおやつ!!」」」」

「おほほ、ひっぱらないでくださいましな」


 命令さんが孤児の女の子たちに引っ張られて良い笑顔を浮かべた。

 派閥員もどやどやと下り始めた。


《一緒にいく》

(うん、来て来て)


 ヒューイが舞い上がりハッチ方向に下りるのがディスプレイに映った。


 私は艇長として、一番最後にチェックをして船を下りる。


「おお~~、すげえ、綺麗な街だなあ」

「おほほ、ブロウライト様、ここが我が街ヒルムガルドですのよ」


 衛兵が押っ取り刀で駆けつけてくるのだが、命令さんが説明をして追い返した。


 ヒューイが歩いてきた。


「ヒューイ、子供達を乗せても良いかな?」

《良いとも、姉上も乗れ》

「よーし、乗るぞー、みんなー、ヒューイが乗っても良いって」

《う、みんなは無理か》


 そりゃ、重さよりも乗る場所と数が合ってないからなあ。

 ヒューイの上に子供が鈴なりである。

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― 新着の感想 ―
子供に優しい命令さんがイイ…! 優しい世界っていいなぁ・・・。
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