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第1342話 ホルボス村で王子王女村の子供をピックアップ

 カロルの操縦で大神殿からホルボス渓谷基地に、すいっと着陸した。


「洞窟ですの?」

「ホルボス山にある飛空艇基地だよ」

「村の広場にも駐められるけど、トールとティルダを呼ぶからこっちの方が良いんだ」

「そ、そうですの」


 命令さんとアダベルの会話はかみ合って無い感じでなんかおかしい。


 みんなで船を下りて邸宅に上がる。


「なんだか、大がかりな施設だなあ」

「元々がビアンカ様の邸宅だからね、贅沢なのよ」

「ああ、悪聖女か、それは納得だな」


 地下礼拝堂から邸宅に上がると、命令さんもシルビアさんも息を飲んでインテリアを見回していた。


「聖女さま、おはようございますっ」

「今日はマーラー領ですねっ」

「あら、お初にお目にかかります、ホルスト伯爵家のケリーと申しますわ」

「お、おはよう」

「おはよう……」

「私はシルビアだ、トール王子、ティルダ姫、よろしくな」

「は、はい」


 サイズの王子王女はなんだか人見知りするね。


「ああ、気にしない、二人とも馬鹿だから堅くなることはない」

「アダちゃん、悪いよ」

「失礼だよアダベル」

「あはは、実際馬鹿だから、気楽にしてくださいよ」

「私はこの先のヒルムガルドが領地なのよ、ご近所さんですから仲良くしましょうね」

「交易都市、ヒルムガルドですか」

「まあ、よく知ってらしたわね、偉いわ」


 なにげに命令さんは子供に優しいな。

 厳しいのは聖女にだけか。


「わ、すごい黒豹!」

「ロデムだー、この姉ちゃんの従魔」

「わあ、触っても構いませんか」

「良いわよね、ロデムちゃん」

「がう」


 しょうがねえなあ、という感じでロデムは返事をした。

 孤児もアダベルも寄ってきて、ロデムはもみくちゃにされた。


 だだだーと村の三馬鹿が走り込んできた。


「きょ、今日はマーラー領へ行くんですよねっ」

「い、一緒に行っていいですかっ」

「問題ないぞ、お前達」

「「「アダベル親分!」」」


 村の子供達を連れて、蒼穹の覇者号に戻った。


「マーラー領初めて~」

「ティルダは、まだだったか、私はこの前行ってドレスを作った」

「わあ、あの綺麗なドレスね」

「ティルダ王女も、トール王子も礼服とドレスはマーラー領にご用命を」

「リーディアに聞いて見るっ」

「作りたいっ」


 まあ、サイズ王国のお二人にだったら、私から出しても良いしね。

 リーディア団長と後で相談しよう。


 甲蟲騎士団からはガラリアさんが付いて来た。


「団長は?」

「む、村で用事が、あって……、私が、代わり」

「そう、よろしくね、甲蟲騎士団の人も衣類が欲しかったらマーラー領に頼めるわよ」

「そ、それはいいかも……」


 みんなが乗り込んで、蒼穹の覇者号はカタパルトを使う。


 ブイーンブイーンとサイレンが鳴って、カタパルトで空中に撃ち出された。


 が、方向が違うのでカロルが操舵輪を回して船を旋回させた。


「なんだかすげえな飛空艇。ホルボス山だって、馬で半日の距離なのになあ」

「マーラー領は馬で三日の距離ですわよ。なんて快速なのかしら」


 飛空艇初心者の命令さんとシルビアさんがしみじみと言った。

 子供を満載したメイン操縦室は色々とカオスであった。

 なんで子供は床でごろごろ寝転ぶかな。

 ヒューイとヘビ三郎は甲板でくつろいでいるようだ。


「マコト、ルートはどうする?」

「突剣山脈を飛び越そう」

「そうね」


 そう言うとカロルはぐいと操舵輪を引いた。

 グイーンと蒼穹の覇者号は上昇を始めた。


 眼下に山塊が広がり、船は上昇を続け、雲の上に出た。

 エイダさんのマップ通りに飛んで、高度を落としていく。

 山頂を飛び越した所は雲の上なので見えなかったな。


 眼下に小さくマーラータウンが見えて来た。


「そろそろ着くわよ」

「はええ、まだ昼になってないぞ」

「馬鹿げた速力ですわね」


 命令さんとシルビアさんは感心することしきりであった。


「俺は、王都を除くと初めて別の街に行くかも」

「そうでも無いぞ、宿場のケラスとか行くだろう」

「そ、そうだった、ティファール宿より遠いのは初めてかも」


 村の三馬鹿が相談していた。

 この時代の人間はあまり旅行しないからね。

 一生に一度ぐらい、遠くの大聖堂に巡礼に行くぐらいか。

 王都の大神殿も巡礼の目的地として人気があるんだよね。


「ばっかおまいら、マーラー領どころか、この夏は諸島だ、諸島、海に行くんだぞ」

「そ、そうだった、海、見た事も無い」

「タラが取れる場所なんだよなあ、タラ塩っぱいからな」

「あはは、坊主ども、おまえらも来るのか、諸島は私の領地だぞ」

「げええっ、諸島のお姫さま!」

「おうよ、海の楽しい所、いろいろ連れていってやんよ」

「「「はは~~」」」


 村の三馬鹿は土下座をしおった。

 シルビアさんはケラケラ笑っている。

 この人もあんまり身分差とか気にしないたちっぽいな。


 カロルはふわりと領の舘の練兵場に蒼穹の覇者号を着陸させた。

 さてさて、水着を受け取ってついでに衣料の買い物をしよう。

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「アダベル親分=シルビア親分」になりつつある三莫迦であった
聖女に保護された亡国の遺児たち。 健やかに(-人-)
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