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第1338話 食堂のシチューを食べて街道の方へ下りる

 お風呂から出て、新品の下着を履いて制服を着込んだ。

 ああ、偉い目にあった。

 まあ、人の目が無いから素っ裸でも良いんだけどさ。

 ヘイスさんとかに拝まれるのは勘弁である。


 食堂に戻って、マダムエドワルダにランチを頼む。


「貴族のお方に出す代物ではございませんが」

「領主ってのは住民の食べている物を食べないとね」


 マダムエドワルダはシチューとサラダ、黒パンを付けて持って来てくれた。

 アップルトンの田舎料理って感じだ。


 パクリ。

 お、これはなかなか美味しいね。


「美味しいね、故郷の料理?」

「死んだ旦那様が好きだったシチューなんですよ。喜ぶ顔を見たくて懸命に覚えた物ですわ」


 そうかそうか、旦那さんの領のソウルフードだったのかな。

 香辛料の使い方が面白いね。


「これは地獄谷の名物になりそうね」

「ああ、マダムの料理は売りにならあね」

「もう、ロイクさんまで」


 ダガンさんが入って来た。


「ああ、これは御領主様、お帰りなさいませ」

「ダガンさん、調子はどう?」

「ここは楽しくて良い場所ですな、温泉もありますし」


 ダガンさんもランチのようだ。


 麻薬で道を誤った二人だけど、静かな田舎でやり直して欲しいね。

 根っからの悪人ではないからなあ。

 悪いのは山高帽と前世の麻薬だからな。

 罪がない、訳じゃあないけど、生きていた方が良いよね。


 とはいえ、アントニア嬢はなあ。

 今度、スラム教会を覗いて性根が変わったか見るかな。

 命令さんも変わるのだから、アントニア嬢も……。

 まあ、無理かなあ。

 馬鹿にも色々種類があって、ハゲは不愉快で馬鹿なんだけど、悪いやつではないのだな。

 馬鹿だからうんざりするけど。

 アントニア嬢は馬鹿の上に人品が卑しいのでなあ。

 難しいね。


 地獄谷ランチを完食して食堂を後にした。


 ヒューイが真水の池でダルシーにゴシゴシ洗われていた。

 近づくと匂いがあまりしなくなってるね。


「うん、大丈夫大丈夫」

《ちべたい》


 まあ、池の中だからね。


 ヒューイに跨がって、ダルシーを後ろに乗せる。

 食堂からみんな出て来て見送ってくれた。


「またくるからねー」

「おまちしております」

「いってらっしゃいませ」

「聖女さん、またねー」


 ヒューイを集落の裏門に向けて歩かせる。

 お、石畳の道が出来ているね。

 山麓をつづら折りとなって、麓の街道まで繋がっている感じか。

 ヒューイを早足でシタシタ走らせる。

 ああ、石畳は乗り心地が良いね。

 まあ、ヒューイは悪路でも柔らかく走れるんだけどさ。


 地獄谷はホルボス山の北麓の真ん中あたりにあるので街道まで出るのは結構あるね。

 飛んで行けばすぐなんだけど、新しい道路を走ってみたいじゃんよ。


 シタシタシタシタ。

 結構な速度でヒューイは走る。

 蹄じゃなくて足だから、パッパカとはいかない、シタシタだね。


 小さめの渓谷を石橋で渡って、街道に入る。

 この小渓谷は山をぐるりと回ってホルボス山基地のある渓谷に繋がるんだよね。


 街道には結構人が通ってるな。

 まっすぐ行くとアライド王国との海峡のある海に出る。


「さて、地上を走って王都まで戻ろうか」

《それも一興》


 シタシタシタシタシタ。

 音は密やかだけど、速力はなかなか早い。

 まあ、ディラハンモードの時も機動力が凄かったからね。

 マヌエルが上手いのもあったんだろうけど。


 マメちゃんが影からちょこんと顔を出して目を細めて前方を見ている。

 ちょっと頭を動かすと、ダルシーのボインに当たるので、なんかちょっと、イラッとするが、まあしょうがない。

 そのうち私もボインになる予定だし。

 うん。

 ゲームのスチルだと、ほどほどにはあったし。

 うん、大丈夫大丈夫。


 ホルボス山の麓を巻くように街道は走っている。

 徒歩の人、騎馬の人を追い越してヒューイはシタシタと走る。


「ヒューイ、疲れの方はどう?」

《まったく疲れていない》


 おお、さすがのスタミナだなあ。


 シタシタと走ってホルボス村への分岐点に出た。

 新しい道案内が立ててあるね。

 こっちの道もしっかりした石畳だ。

 丁度、乗り合い馬車が分岐点を曲がって村の方に走っていった。

 お昼の馬車だな。

 今は、朝、昼、夕と三回乗合馬車が村と王都を往復している。

 前は朝に一本だけしか無かったから王都へは泊まりがけだったんだけど、今では、王都に日帰りが出来て便利になったと村民たちが大喜びだと、村の三馬鹿が伝えてくれた。


 お、上空をアダベルが飛んでいる。

 ホルボス村に行くんだな。


 うーん、地獄谷にも乗合馬車が欲しいね。

 一日一本でも。

 それで、大分生活が楽になると思うんだ。

 乗合馬車は、まあ言うて前世のバスだからな。


 地獄谷からだと、宿場街のケラスを繋げばいいかな。

 王都とだと距離がありすぎだね。


 私は、一応領主なので、住民への行政サービスを色々考えてしまうね。

 うんうん。

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― 新着の感想 ―
上品なお胸のほうが足元が見えやすく肩凝らなくて良いですよ。 地獄谷が観光地化するならマダムとダガンさんは変装するなり、髪染めるなり、身バレしないように注意しないと危険ですよ。 シタシタシタシタシタ…
>ゲームのスチルだと・・・ ほんとにぃ? それきっとフラグだよ・・・。揉めるお乳も少やかなるお乳も尊いものでありますよ。きっと。 アントニア嬢の更生は難しい気がするなあ。ショック療法で頭脳に衝撃を与…
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