第1336話 試験最終日は一足先に試験休み
さて、金曜日である。
昨日は晩餐に美味しいスズキのソテーを食べて寝てしまったのである。
で、朝は早くからコリンナちゃんの追い込みだね。
カロルと一緒に三人でわっせわっせと走る。
だんだんコリンナちゃんの走るフォームも安定してきたかな。
時々カロルがきちんと教えている。
私は基本的に感覚派なので教えるのは苦手だ。
こう、わーっと盛り上げてやるとか、説明されても他人は解らないのよね。
コリンナちゃんはグラウンド一周の偉業を成し遂げて、水飲み場で水をガブガブ飲んでいるね。
「ふぇ~~、水うめ~~」
運動の後の水はなんか美味しいよね。
地下道を通り、蒼穹の覇者号でシャワーを浴びて、ラウンジでお茶を飲む。
朝のルーチンとして固まってきたね。
「マコトは一日早く試験休みか」
「そうそう」
「今日はどうするの?」
「どうしようかなあ、昨日はヒルムガルドへ遠乗りしたけど」
「まあ、休日だから楽しんで来なよ」
「そうだね、王都をぶらぶらしようかな」
「マコトが散歩すると事件を拾うから心配よ」
「いや、さすがに無いでしょ」
そろそろ王都のヤクザたちも、リンダさんが暴力で解らせたからな、聖女さまに逆らう奴らはポッティンジャー派閥ぐらいだろう。
「ホームルームはどうすんだ?」
「一応出る、で、終わったら放浪する」
「伝説の放浪聖女様みたいね」
「乞食女かと思ったら、実は聖女さまで、各地に笑いと幸せを運んだっていう、聖女グレンダ様だな」
「そんなに偉い聖女さまじゃないぞ」
「今でも聖女の平均値よりは上だと思うぞ」
「そうかな」
「機動力はビアンカ様に並んでトップクラスね」
「ビアンカ様と同じ船を使ってるからね」
地下道を通って女子寮に戻り、食堂でナッツポリッジで朝食を済ます。
今日もポリッジは美味しいね。
みんなと登校して、ホームルームだけを受ける。
今日で期末が終わりで、夏休み直前なので頑張りましょうとの事。
やっぱりこの世界でも夏休みはでっかい行事なんだろうなあ。
聖女派閥でも、ホルボス村の夏祭り、リシュエール諸島でのバカンスと盛りだくさんだな。
わくわくするなあ。
さて、みんなテストの為にぞろぞろと各属性教室に移動する。
属性によってテスト問題が違うからね。
「あ、キンボールさんは、もう試験休みでしたか」
「一日早くお休みを頂いてますよ」
「勇者や聖女の魔法の教育も難しい問題ですね。百年に一人なので」
「他の地帯での勇者聖女の教育とかどうなってるんでしょうね」
「暗黒大陸では、伝承の洞窟に知識を蓄えた魔導具があって、それを使って光魔法を伝承してるそうですよ」
「他の地帯の光魔法は使えるのかなあ」
「使えるかもしれませんよ、飛空艇があるのだから、行ってみる手もありますね」
他の地帯、前世の地球と同じぐらいの大きさの惑星を八つの地帯に分けているんだよね。
私は、欧州にあたる地帯の光魔法使い、なのであるよ。
現在、こっちの地球には勇者聖女が八人いるはずなのだ。
まあ、魔王も八人いるらしいがね。
せっかく、ライオン獣人のヨールト閣下と知り合えてるからなあ。
でもまあ、一番会いたい勇者聖女は、東洋の奴だ。
今世では、芙蓉に勇者が出ているらしい。
まあ、魔王も芙蓉の北にいるらしいけどね。
なんで魔国は北にあるんやろうか。
蒼穹の覇者号の速力なら会いに行けるなあ。
ちょっと二年の夏休みとか計画して見ようかな。
各地の勇者聖女と繋がって、魔王達を倒せばなかなか良い感じだろうしな。
アンソニー先生と別れて、私は校舎を出た。
実習棟の方を見たら、カロルとコリンナちゃんが試験をうけているのが見えた。
土属性教室だなあ。
さて、どうしようか、と思ったら、のっそりとヒューイが脇に立っていた。
《いこう》
「そうしようか」
私はヒューイに跨がった。
鞍も付けてあるぐらい手間いらずな騎獣であるよ。
スタッタンスタッタンとヒューイは走る。
王都大通りを走って離陸した。
ああ、やっぱり空中から見下ろす王都は良いねえ。
飛空艇に乗るよりも、騎乗の方が飛んでるって感じが強いね。
空中では体重を移動してヒューイに方向を伝える。
まあ、魔力で繋がってるんだから、こっちの気持ちは伝わるんだけど、体重移動での操縦がそれっぽいのだ。
バッサバッサと羽ばたいて西門に着陸する。
《昨日の街か》
「うんにゃ、地獄谷へ」
《温泉だな!》
視察だ。
ふと気が付くとヒューイの隣にダルシーが立っていた。
「わ、乗って乗って」
「はい、マコトさま」
私の後ろにダルシーが跨がった。
おっぱいが頭の上に乗るので、なんか屈辱的だが、わざとやってる訳ではないのだろうから指摘はしない。
西門からホルボス山に向けてヒューイは飛び立った。
ヒューム川上空を渡る。
お、川舟のオッちゃんが手を振っている。
昨日聖別した船だね。
バッサバッサと飛んで、もうホルボス村上空である。
このまま上昇気流を掴まえて山頂を飛び越す感じだな。
こういう気流を読む感じも飛行騎獣の醍醐味だね。
ペガサスなんかもそうなのかね?
良い風を掴まえて、エレベーターのようにすいっとホルボス山山頂を飛び越した。
さてさて地獄谷が見えてきたぞ。
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