第1332話 ヒルムガルドで優雅に観光する
ヒルムガルドの石畳をヒューイにスタスタ歩かせる。
交易の中心地だから町並みが綺麗だなあ。
道々の人の格好も豪華で小綺麗だな。
前世の地図でいうと、東京を王都とすると、ヒルムガルドは秩父ぐらいの距離感かな。
最初はどこに行こうかな。
街の奧に小高い丘があって、その天辺が公園になっているようだ。
まずはあそこから街を見下ろすかな。
「いこう、ヒューイ」
《よし、飛ぼう》
ヒューイが力強く羽ばたいて宙に駆け上がった。
あっという間に丘の上展望公園についた。
さすがに飛行騎獣は立体的に動けて良いね。
展望公園は綺麗に整備された公園だった。
ヒューイから下りて、展望台から街を見下ろす。
おお、なるほど、街の真ん中をヒューム川が通って、支流も流れ込んでいるね。
川の合流点なんだな。
川舟が上流から流れてきて、二つの流れが合流している地点の大きな建築物に入っていく。
「あれは商工会議所よ。上流からの物資が一度、あの建物で下ろされて、王都への川舟に乗せ替えられるのよ」
「あ、そうなんだ、ありがとう」
公園の警備のお姉さん衛兵さんが教えてくれた。
上から見ると船の流れが楽しいね。
公園には屋台があって、チュロスみたいな揚げドーナツが売っていた。
偽チュロスとソーダを買って、ヒューイと並んで船の流れをみていた。
モグモグ。
うん、意外に美味しいね。
この公園は景色が良いので、人が上がって来て景色を楽しんでいた。
川舟は王都に向けて、荷物を満載して下って行く。
この高さまで微かに舟歌が聞こえてくる。
再びヒューイに乗って、展望公園から滑空して商工会議所へ向けて下りる。
おお、巨大な建物だなあ。
市場であり、荷運び場である場所なんだなあ。
商人さんたちがひっきりなしに出入りしている。
出入り口が大きいので、ヒューイに乗って商工会議所へと入る。
おー、中は市場だなあ。
小さめのブースが別れていて、小売りしたり、取引したりしているね。
なんだか、凄く活気があるな。
荷馬車なんかも入って来て、荷下ろししているね。
布、衣類、肉に魚、果物、野菜、穀物や塩や砂糖。
色々な物が運ばれてきて、箱に詰め替えられたり、まとめて大箱に入れられたりで、みんな忙しく働いているね。
大柄な騎獣のヒューイはとにかく目立つ上に、首にヘビを巻いているので、市場の人がぎょっとなったりした。
ごめんなさいね。
天井の高い商工会議所の中をとっとと走らせる。
入って来た方向とは逆の出口から外にでる。
おお、市場の食堂なんかもあるなあ。
なかなか美味しそうだね。
こういう市場系の食堂は美味しい所が多いんだよ。
まだ、コリンヌさんと念話は繋がるかな。
《かすかに……、なんとか……、きこえますよ……》
なんとか通じるぐらいかあ。
王都から遠いからね。
《商工会議所が凄いですね……。行ってみたいです……》
ヘビ三郎と感覚を共有しているからいろいろ見えるんだね。
私はヘビ三郎の頭をナデナデと撫でた。
嬉しい、という気持ちが伝わるね。
《私も私も》
「はいはい」
ヒューイの頭もなでなでと撫でてあげた。
《嬉しい》
従魔さん達は感情がシンプルだから楽しいね。
良い子ばっかり、というか、テイムすると、なんかお気楽で善良になる感じだなあ。
テイムの不思議さよ。
確かに命令父さんが自慢するだけはあって、すごい施設だね。
市場と川の港湾設備の複合施設だ。
二階が会議所になっているので、商工会議所と呼ばれているのだな。
しかし、川の街だから、至る所に橋があるなあ。
王都も割と橋があるが、それ以上だね。
橋を渡ると、大きな水車が回っているカフェがあった。
ここが水車亭だな。
馬繋ぎ場にヒューイをつないだ。
《ヘビサブローを何卒お店の中に……》
(やでえっ)
ヘビを首に掛けてカフェでお茶ができるかっ。
ヒューイと大人しくしていろい。
「いらっしゃいませ、あら、聖女さま」
「こんにちは、伯爵に勧められたので来てみたよ」
「あら、それは恐れ入ります、どうぞどうぞ、川沿いのテラスが空いておりますよ」
女給さんお勧めのテラス席についた。
「ご注文は?」
「そうだねえ、うん、この季節のケーキセットをください」
「かしこまりました」
テラス席からヒューイとヘビ三郎がよく見える。
水桶で水を飲んでいるね。
《美味い水》
そうかそうか、ヒューム川の上流だからな。
水もいいのだろう。
季節のケーキセットが出て来た。
初夏の果物を沢山いれたショートケーキとお茶のセットだ。
うん、美味しいね。
ヒルムガルドは結構良いところだなあ。
こんどカロルと一緒に来ようかな。
うんうん。
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