第1329話 木曜日は私の試験終わり
さてさて、マメちゃんが大暴れで目を覚ましたら、コリンナちゃんを起こして体操服を着てカロルと合流しグラウンドでランニングだ。
わっせわっせ。
さすがに初夏が来て結構暑いね。
汗がだらだら流れる。
体が春から夏用に改造され行く感じがする。
コリンナちゃんはなんとか一周弱ぐらいは持つようになってきたね。
「とりあえずフォームが悪いから、すぐ疲れるっぽいな」
「ひいはあ」
「でもだんだん距離が伸びてきたわ、頑張ってコリンナ」
「ひいひい」
ホカホカになったコリンナちゃんを介護していたが、暑いので手放す。
まあ、水でも飲めい。
武術場口から地下に入り、蒼穹の覇者号で三人でシャワー。
ああ、運動の後のシャワーは格別だぜ。
さっぱりしゃっきり。
ラウンジに上がり、三人でお茶を飲む。
「マコトの期末は今日までか、いいなあ」
「といっても、金曜日の属性魔術の試験は大した事ないでしょ」
「まあね、属性魔術の授業は実習がメインだし」
「今日をしのげば試験は終わりね」
「試験の後は、バカンスだっ!」
「そうね、海ねっ!」
私はその前に騎獣レースだけどな。
嫌な試験が終われば夏休みが目の前だ。
やったね。
お茶を飲み終わったので、マメちゃんの朝ご飯が済むまでまって、蒼穹の覇者号を後にする。
普段はシャワー施設としてしか使ってないな。
まあ、夏休みはあちこち飛ぶからエイダさんも今は我慢してくれ。
地下道を通って女子寮へと向かう。
なんかコリンナちゃんの的が通路の隅に追いやられているな。
「い、いや、この前やったときに片付けたんだ、うん」
「せっせと練習しないと、秋のナージャ戦で泣くぞ」
「うぐぐ」
「ナージャさんは苛烈だから、下手をすると死んじゃうわよ、頑張ってねコリンナ」
「弓矢の勝負とかしたくないよう」
「そんな事を言われましても」
コリンナちゃんの問題だからなあ。
まあ、対決に協力はするが。
「大丈夫、死んでなければ私が治すから、安心して戦って」
「痛いのは嫌なんだよう」
「ファイトよ、コリンナ」
コリンナちゃんは頭が良いから、体力さえ付けばナージャと戦えると思うんだよ。
狙撃戦って基本的に知能と勘の勝負じゃんよ。
まあ、せめてグラウンド十周ぐらい出来ないとね。
階段を上がって女子寮に入り、大浴場の前からエレベーターに乗る。
地下階は大浴場に洗濯場があるから、色々な匂いがするよなあ。
洗剤の匂いとお湯の匂い。
スチーム魔導アイロンのゴワーという蒸気の大きな音もいとおかしだね。
エレベーターホールでは派閥員が待っていて、即座に食堂入りである。
今日は塩ポリッジかな、副食はソーセージエッグであった。
美味しい塩ポリッジをパクパク食べて、元気を入れて校舎へと登校である。
上級生、B組の子と別れていって、A組へと入る。
いそいそと席に付く。
「そういえばキンボール、ジーン皇国からグレーテ王女が騎乗レースの観覧を申し込んできたが、これはお前絡みか」
「私がらみだよ、グレーテ王女とナージャと、新しくジーンの帝都の守護竜になったペペロンが来る」
「飛空艇の発着はどうするか? アライドの飛空艇令嬢も来たいと言っていたしな」
「おお、メリンダさんも正式に来るのか」
「ジーンの飛空艇を駐める場所がな」
「あ、たぶん、ペペロンに乗ってくるから大丈夫」
「ジーンから竜行して来るのかい、大変だよ」
ケビン王子が口を挟んできた。
「いや、ペペロンは影竜で、瞬間移動できるから」
「「瞬間移動!?」」
王家主従が声を揃えおった。
「影空間で跳躍できるそうだ、ジーン帝都から、王都まで五分かからないらしいぞ」
「そ、そんな凄い竜を、お前はジーンにくれてやったのかっ」
「アップルトン王都にはアダベルがいるじゃんよ、二匹も守護竜は要らないよ」
「それはそうだが……、もったい無い」
「まあまあジェラルド、そのペペロン嬢はキンボールさんがテイムしているんだよね」
「ああ、一応ね」
「そうか、それは安心だ。アップルトン攻めに瞬間移動を使われたらどうしようかと思った」
「都市守護竜は防衛的な存在で、侵略には使えないよ、たぶん」
「それもそうだね、アダベルくんに敵国に攻め入ってくれと言っても断られそうだ」
「それもそうですな」
王家開催の騎獣レースだからいろいろと決める事があるのだろうなあ。
こっちとしては王家に連なるハゲを何とかして欲しいのだが。
だけどなあ、あのハゲは馬鹿なだけで犯罪者じゃないんだよな。
致命的に気が利かないだけでさ。
まったく、厄介おじさんだよ。
アンソニー先生がやってきて起立礼着席でホームルームだ。
木曜日を越えると、期末が終わるまであと少しなので、気を抜かないで頑張りましょう、との事だ。
まあ、私は今日で終わりだがなあ。
うっしっし。
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